次世代継承学

【第148話】人間と自然は本当にトレードオフの関係なのだろうか?

「実は、地球上の生命の総重量に対して、人間の割合は非常に小さいんです。しかし環境への影響がとてつもない。そして、人間と家畜の重量が野生哺乳類を大きく上回っていることによる生物多様性への影響は計り知れないものになっています。」

環境哲学を専攻している方とお話をした際に、地球と人間の関係について考えさせられました。

「地球上の全生命体(水分を除く)の総重量は約550ギガトン(GT)に達するという研究結果が、国立科学アカデミー紀要に発表された。」
この数値には、最小の細菌から巨大なレッドウッドの木までが含まれます。
人間の重量は全体のごく一部であり、細菌(70 GT C)、菌類(12 GT C)、節足動物(1 GT C)、軟体動物(0.2 GT C)、さらには家畜(0.1 GT C)にも及ばない0.06 GT Cに過ぎません。

ちなみに最も重量を占めるのは植物で、450 GT Cにも上るという研究結果でした。

1996年にスイスの環境学者マティス・ワケナゲルは、エコロジカル・フットプリントという指標を用いて定量的に評価し、資源の限界や環境の危機を警告しています。
それは、人間の過剰な消費と廃棄物の生産が地球の生態系に与える影響について考察したものです。

ここで重要な二項対立は、人間中心主義と生態中心主義です。
人間中心主義とは、人間の利益や価値を最優先する考え方のことであり、産業革命以前から存在した思想ですが、産業革命を機に強化されました。

当然ながら、現在の加速主義や資本主義の根幹には、この思想があります。
人間を中心とする思想は、人間の技術的進歩や経済成長を促進した一方で、生態系を破壊して人間と自然の関係を乱しました。

生態中心主義とは、人間以外の生物や自然環境にも利益や価値を認める考え方のことです。
産業革命の後期から現代にかけて、環境問題の深刻化に対する反省や批判から注目された思想です。

有り体に言えば、生態中心主義は、人間の技術的進歩や経済成長に制限や条件を付けることで、生態系の保護や回復を目指すもの。
しかし、一部の人間には受け入れられたものの、現在は建前として使われる事が多く、詭弁の一部に取り込まれつつある思想です。

人間中心主義は、人間の幸福や発展を促しますが、生態系の破壊や危機を招く。
生態中心主義は、生態系の保全や回復を促しますが、人間の自由や選択を制限する。
つまり、人間の技術的進歩と生態系の関係において、人間中心主義と生態中心主義の間には、トレードオフの関係が存在する。

・・・と我々は常に思い込んでいますが、それは本当なのでしょうか。

「何かを得るには、何かを捨てなければならない。」
交換様式はすべてこのセリフに集約されます。
人間と自然の関係性も同様に教えられています。

しかし、私はそこに一歩踏み込みたいと考えています。
ということで、今回は人間と環境の関係性について一緒に考えて行ければと思います。

「生きれない人類を生み出すことは悪だ。」

意見1: 人間の技術的進歩は、生態系への負荷を減らすための解決策を提供する。
意見2: 経済発展は人類の生活水準を向上させ、環境保護への意識を高める。
意見3: 人間は自然を管理し、保全する責任がある。

■「生きれない生命を生み出すことが悪だ。」

意見1: 人間の過剰な消費と廃棄物の生産は、地球の生態系に回復不能なダメージを与える。
意見2: 人間と家畜の重量が野生動物を圧倒している現状は、生物多様性の喪失を加速させる。
意見3: 人間の活動による環境破壊は、長期的には人類自身の生存を脅かす。

人間の活動の正当化

目的: 生物多様性の保護と環境破壊の防止
建前: すべての生命は価値があり、保護されるべきである
本音: 人間の活動による環境破壊が深刻で、即時の行動が必要
信条: 自然との調和の中で持続可能な発展を追求する

人間の活動の批判

目的: 技術革新と経済発展を通じて生活水準を向上させる
建前: 技術革新により環境問題を解決できる
本音: 環境保護のコストが経済活動に負担をかけることへの懸念
信条: 人間の知恵と技術は自然を制御し、利用するためにある

■乖離を埋めるためのきっかけ

■未来を担うべき主体

[政府]: 環境保護政策の策定と実施、技術革新への投資促進

[企業]: 持続可能な製品とサービスの開発と提供

[消費者]: 環境に優しい選択と消費行動の採用

[研究機関]: 環境問題と技術革新に関する研究と開発

[非政府組織 (NGO)]: 環境保護活動の推進と公衆の意識啓発

■理想と現実の間

[環境保護の観点から]

理想: すべての生命が調和して共存する地球
現実: 人間活動による生態系の破壊と生物多様性の喪失
対処法: 再生可能エネルギーの利用拡大、持続可能な消費、自然保護区の設置

[経済発展の観点から]

理想: 経済成長と環境保護のバランスが取れた社会
現実: 経済活動による環境負荷の増大
対処法: グリーンテクノロジーの開発と投資、環境に優しい製品とサービスへの移行

[技術革新の観点から]

理想: 革新的な技術による環境問題の解決
現実: 技術開発と実装の遅れ
対処法: 研究開発への投資増加、クリーンテクノロジーの普及促進、政策による支援

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