事例分析

【CASE 4】ヤマト運輸の置き配サービスからみた考察

今回は、2024年問題の解決に向け、6月より置き配サービスを拡大するヤマト運輸について考察していきます。

結論:物流会社が置き配を実施すると何が起きるのだろうか、それは◯◯です

ドライバー不足が懸念される「2024年問題」への対応が課題となっています。

それは、働き方改革関連法の改正によってトラックドライバーの時間外労働が960時間に制限され、労働時間が短くなることで輸送能力が不足することです。


そこで顧客の利便性を高めるとともに、再配達削減を通じて現場の負担軽減を図ろうとして、置き配というアプローチが主流になってきています。

しかしその結果、実は物流業界の問題が不動産業界にまで波及する可能性が見えて来ました。

背景考察

▶考察1
そもそも置き配は、物流のどこの範囲を最適化するアプローチなのでしょうか。 物流の流れを簡単にすると下記になります。


荷主から倉庫、倉庫から集荷所の間。

そこがトラックドライバーの領域で長距離輸送の分野です。

集荷所から目的地の間。 そこが配達(個配とも言われています)ドライバー達の領域で、ラスト1マイルと言われている分野です。

つまり、置き配とはラスト1マイルの部分を解決するアプローチだということです。


▶考察2
そもそもなぜ配達員の労働時間は長くなってしまうのでしょうか。

もちろん幹線道路を使うのか下道を使うのかなど、ルート(経路)の混雑状況によって大きく左右されていきます。

しかしもっと具体的に言えば、その理由は主に三つあります。

それは荷待ち、荷積み、荷下ろしです。

「営業は競争、物流は共同。」というように、人材不足を解消するために物流各社が連携する姿勢はあるものの、根本的な問題解決には至っていないのが現状です。

また、再配達問題については限られたリソースの中で集荷所から消費者に物を届ける場合に受取人不在という現象が起きたらどうなるのかを考えていくと分かりやすいです。


▶考察3
置き配で起きるトラブルに対して自治体と地域企業はどう取り組むべきなのか。

一般的に土地価格は観光需要・人口増加・インフラ発達で決まりますが、犯罪率と地価は相関関係にあるとも言われています。

置き配トラブルを窃盗罪とみなす場合、自治体および不動産業界は早急な改善が求められるでしょう。

また、これまでのインフラとは公共交通機関の発達および生活必需品の補給という観点で測ることができましたが、 2024年問題を機に配送経路という新たな観点が生まれる可能性があります。

つまり、私たちの社会がネットショッピングに支えられる社会になればなるほど、配送経路は地価に直結する新たな指標として考えられる可能性があるということです。


まとめ

物流業界の人手不足を解消するために各社がさまざまな施策を売っていますが、現状打開策が見つかっていません。

そして、テクノロジーの発展と共に私たちの生活がオンラインショッピングに依存すればするほど物流の重要性が高まってきます。

そうなると、集荷所の設置数や犯罪率は我々が豊かな生活をしていく上で重要な指標に繰り上がってくることでしょう。

場合によっては人口動態や再配達率によって各地域における配送費用が変動する可能性も考えられます。

そう、私たちが、配送料が北海道と沖縄を除いてほとんど同一価格だと信じているのはただの神話であり、現実には物流各社が消費者の民度に応じて価格を変えることは充分にありえる話です。

それは、つまり、物流業界の問題はほとんどすべての業界にとって他人事ではなく、これからのビジネスに直結する大きな問題だということです。

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