事例分析

【CASE6】日本型ライドシェア解禁からみた考察

今回は、4月より一部地域で解禁された日本型ライドシェアについて考察していきます。

問題提起

個人が自家用車を使って有償で人を運ぶ「日本型ライドシェア」が、東京や京都で始まりました。

ドライバーはタクシー会社と雇用契約を結ぶ必要があり、タクシー会社の経営に配慮して地域や時間帯を限定するなど制約も多く、乗客の安全を優先しつつ、タクシー不足の緩和を図る制度整備が求められています。

しかし、そもそもなぜ日本でライドシェアを導入する必要があったのでしょうか。

画像:日本交通株式会社


背景考察

▶考察1
日本は今少子高齢化時代に突入して今後十年先を見ても高齢者の方が圧倒的に増えると予測されています。

高齢ドライバー(65歳以上)の事故件数は、平成25年から4年連続で減少しているのですが、他の年齢層の事故の減り方に比べ、高齢ドライバーの事故はあまり減っていません。

それはなぜかと言うと、高齢者という括り方に問題があるからです。

そのため正味な話、高齢ドライバーが危険だという先入観は逆に危険です。

むしろ最も事故を起こす割合が高いのは16~19歳で、30~74歳は比較的低い傾向にあります。

ちなみに75歳以上になると、特に死亡事故件数が増加するが、これも他者を死亡させた事故ばかりではなく、「高齢ゆえに、事故を起こした本人が死亡するケースが、若年層よりも多く含まれているから」です。

だとすれば、そもそも高齢ドライバーに対する先入観が今回のライドシェア導入の一助になったとも考えられるでしょう。


▶考察2
日本版のライドシェアはアメリカ版と違いますので正しく把握することが必要です。

というのもアメリカのウーバーは、普通免許を持つ個人運転手が配車アプリに登録をして自家用車で送迎します。

しかし今回の日本版ライドシェアは普通免許を持つ運転手がタクシー会社に雇用契約をした上で、自家用車で送迎をします。

そのためタクシーが不足している地域や時間帯でのみ運用されて、運賃もタクシーとライドシェアは同一です。

それはつまり、ドライバーの教育や車両の整備、運送の責任についてタクシー会社が引き受けたとも考えられるでしょう。


また、タクシーとライドシェアの最も違う点は行き先と料金が事前に決まっているかどうかです。

タクシーの場合は遠回りをした場合に余分な料金が掛かるという、利用者が最も不快になるデメリットがあります。

しかしライドシェアについてはその課題が解消されています。

画像:日本交通株式会社


▶考察3
ライドシェアは外国人旅行客に喜ばれるサービスとなる可能性があります。

というのも今は不足している地域や時間帯に対してライドシェアが使われていますが、アプリ1つで送迎してもらえる利便性は観光客にとって魅力的です。

そして外国人にとっては馴染み深いサービスである為、抵抗なく利用されるでしょう。

しかしそこで問題となるのが運転手です。

昨今の旅行者の需要と照らし合わせると、運転中の会話に対して付加価値が求められてくるでしょう。

もしそうなった場合、運転手は日本人がメインで良いのか?というのが問題になってきます。

しかしそうなると、外国人労働者に対してタクシー会社は正しく指導と整備が提供出来るのでしょうか。

そして、仮にライドシェアの運転手が外国人労働者によって支えられる状態になった時、日本人の就業者数を増やす取り組みや職業保護の観点が必要になってくるでしょう。


結論:ライドシェアは今後どのような影響をもたらすのだろうか‥?

タクシー業界は許認可と2種免許の取得が義務付けられていることから既得権益に守られているとも言われています。

しかしその背景には安全性の確保という最大の理由が存在しています。

タクシー業界が深刻な人手不足と言われている中で始まったライドシェアですが、不足を補うのは日本人に限りません

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