次世代継承学

【第56話】遺伝子操作による社会最適化プランについて

「ガンダムSEEDに登場するデスティニープランをご存知ですか?人間の遺伝子を解析し、その適性に基づき職業を割り当てれば社会の不満や争いを無くなり理想的な社会を目指せるというけど、それは本当かな?」
脚本家をされている方とお話をした際に、人間の遺伝子操作について考えさせられる言葉を頂きました。

「デスティニープランによって、適性に合った仕事に就けるのは素晴らしい。これにより、社会的な争いやストレスが減少するだろう。」
適性に基づく職業割り当てにより、人々は自分の能力を最大限発揮して最高の満足感が得られるという意見があります。
社会の不満や争いを根絶することができ、平和な社会を実現できるのだと。

「人間の選択や自由を奪うシステムは、絶対に許されない。遺伝子だけで人間の価値を決めることは、非人道的だ。」
一方で、適性と本人の希望が一致しない場合、不満やストレスが生じる可能性が高いという意見があります。
また、プランの導入により、一部の特権階級が人類を遺伝子で支配する社会構造が生まれる恐れも考えられると。

人間は自分の遺伝子に合った仕事や生活をするべきか、それとも遺伝子に関係なく自由に選択するべきか。
あなたはどう思いますか?

「遺伝子情報は個人の特性や可能性を決定する重要な要素であるが、それだけではない。環境や教育、経験なども個人を形成する要素であり、遺伝子情報だけでは個人の全体像を把握することはできない。」
デスティニープランとは、遺伝子に基づく適性判断による社会最適化施策です。
人間の遺伝子情報を解析し、その人が最も得意とする能力や職業を見出すこと。
それが、科学的な根拠や客観的な指標に基づいて行われるため、個人の能力開発や社会的な役割分担に有効であると考えられます。

しかし、このような判断は、個人の自由意志や選択の権利に反するという批判もあります。
自由意志や選択の権利とは、人間が自分の生き方や価値観を自分で決めることができるという権利です。
この権利は人間の尊厳や幸福に不可欠であると考えられています。

つまり、遺伝子に基づく適性判断と個人の自由意志や選択の権利は、互いに相反する価値観だということです。

「君は戦闘に向いた遺伝子を持っているな、戦場に行くことは天命だ。さあ行け、殺らなきゃ殺られるだけだぞ。」
自分の意思に関係なく戦争に駆り出される。
デスティニープランでは、自分が望まない仕事や生活を強制される可能性があります。
これは人間の尊厳や権利を侵害する施策と言えるでしょう。

「音楽を好きなのは分かるけど、君には向いてないよ。君にとって音楽は演るものじゃない、聞くだけのものだよ。それがあなたの生きる道。」
また、自分が変わろうとする可能性やチャンスも奪われます。
音楽に興味が湧いても才能が認められなければやるだけ無駄なので、音楽の勉強や演奏をすることが禁じられていきます。
これは人間の多様性や創造性を否定することです。

「嬉しいけどごめんなさい。想いは強さと深さは関係ありません。あなたの遺伝子だと生まれて来る子どもが不幸になるので私を選ばないでください。」
かつてこんなに心をエグるような断り文句があったでしょうか。
自分が責任を持って選択することができず、相性の良い遺伝子を持つ相手と強制的に結びつけられることになります。
これは人間の感情や意志を無視することです。

しかし、人間の選択や自由を重視する主張は、遺伝子が人間の特徴に一定の影響を与えるという科学的な事実を無視することになります。
つまり、社会的な効率や公平性を損なうことによる実務的な問題です。

例えば、努力を継続できない人。
そんな人について、私たちはつい努力不足だと思ってしまいますが、研究によれば遺伝子による影響です。
つまり、個人の特性による結果は努力でどうにかなるものではなく、先天的な不平等であるということです。

また、人間の選択や自由を尊重すると社会の生産性は伸び悩みます。
なぜなら、社会的なニーズやバランスが無視され、仕事や生活における不適合や不満が増加する可能性があるからです。

「自分で選んだ道なら、黙って成果を出すために頑張れよ!!」
そんなことを言いたいところですが、それが遺伝的に不得意な人もいるということです。
つまり、個人の自由と選択を重視する社会は、社会の効率性と公平性を犠牲にしている可能性があるということです。

GDPが世界4位に後退して、社会が思うように発展しない日本。
実は自由と選択を追求した結果と考えることも出来るのかもしれません。

ではここで、一緒に考えて頂きたいことがあります。
「遺伝子操作により運を克服した最適な人生か、それとも見えない幸運に期待を寄せる人生か。」
あなたはどちらを選びますか?

「遺伝子検査では予測できないものが存在する。」
それは、環境要因による個人差です。
遺伝子だけでは能力や性格、行動を正確に判断できない場合があります。

人間は、個人の希望や夢、努力や成長といった要素で自身を作り変えることが出来る生き物です。

「キャリア教育や進路指導はデスティニープランなのか。」
学校や社会は、生徒や学生に対して、自分の能力や興味に合った仕事や進学先を選ぶことを助けています。
その多くは、各自の自己決定権や多様性を尊重することであり、多くの若者が自分の夢や希望を追求することができます。

「君の才能を思えば、君は必ずプロ野球選手を目指すべきだ。」
この進言によって、若者がプロ野球選手を目指して野球クラブ入った場合。
それはデスティニープランなのでしょうか。

「もしも大谷翔平選手やリオネル・メッシ選手が、凡人達のいじめによってキャリアを喪失したらどう思うか。」
日本が誇る天才、小野伸二選手に怪我を負わせた選手がいます。
才能を摘む機会はいつでもどこにでも潜んでいます。

あなたが同じ立場だったら、その事実・運命を許せますか?

もしかしたら、目に見えない偶然の確率を操作することが、才能を救うことに繋がるかもしれません。
それでも、人生にレールを敷くことは非人道的なのでしょうか。

「優生学運動は、いずれもう一度来るだろう。」
過去には、民族浄化や結婚制限などの政策が行われていました。
”良質な血”にこだわったナチス・ドイツは、レーベンスボルン計画を発動しています。

個人の自由と選択は、時に社会を壊す可能性がある。
DNA操作が一人ひとりの才能を救うこともある。
人間開花の仕組みがこれなのかもしれない。

「バナージ、たとえどんな現実が突きつけられようと、”それでも”と言い続けろ。自分を見失うな。」
それでもあなたは、デスティニープランを否定出来ますか?


※機動戦士ガンダムSEED DESTINY とは ※弱者に仕掛けた戦争: アメリカ優生学運動の歴史 ※バカと無知

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コメント

  1. AYA

    私はもしデステニープランがあるとするとどんなものか知りたいと思います。

    自分自身が気づけていない才能とかセンスみたいなものが活かせられるとしたら、すごく可能性が広がると思うからです。

    なんとなく仕事が苦痛の人って多いと思いますが、仕事がうまく行くからこそ満足感ややりがいも感じるものだと思います。
    デステニープランを多くの人が選べば、やりがいが生まれて、生き生きとできる方が増えるのではないかと思います。

    • 青木コーチ

      いつもありがとうございます!

      「仕事がうまく行くからこそ満足感ややりがいも感じるものだと思います。」
      この言葉が印象に残りました!

      どんな業務でも、どんな環境でも、結果が付いてくると人は頑張れてしまったりするものです。

      「傍目からはブラック企業なのになぜ辞めないのか。」
      一説によれば、承認欲求を満たされているからだという意見があります。

      運命決定論的に、自分の人生を規定されてしまっていたとても。
      それによって承認されて結果が出せるようであれば、確かにそんなに悪くないのかなと。

      ただし、市場規模の多寡によって経済圏が決まるように、役割にも量が規定されそうです。
      だとすると、才能の良し悪し、或いは評価によって、なりたい職業となれる職業に乖離が生まれる可能性があるのかもしれないですね。

      そんなことを考えさせられました。

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