次世代継承学

【第55話】昨日まで好きだった人について考える。

「モテる要素や理想の相手のイメージはどうやって生み出されるのだろうか?」
現在婚活中ですが若干現実逃避気味になりつつある男性とお話をした際に、人間の嗜好について考えさせられる言葉を頂きました。

「時代の流行やメディアの影響によって、理想のパートナーのイメージが変わるんじゃないか。」
モテる要素や理想の相手のイメージは、経済や文化の影響によるという意見があります。

「人間も動物であり、進化の過程で好みが自然に変化していくのではないか。」
モテる要素や理想の相手のイメージは、生物学的な要因や進化の結果だという意見があります。

モテる要素は、人為的に決まるものなのか、それとも自然に決まるものなのか。
あなたはどう思いますか?

“モテる要素や理想の相手”のイメージが時代や文化によって変化するのは、様々な要因が考えられます。

「適応力のあるオスや繁栄を享受するオスを見て、メスは生命力に惹かれる。性淘汰は生き抜く力に直結する。」
一つは、生物学的な性淘汰のメカニズムです。
性淘汰とは、繁殖に成功する個体が選ばれるという自然の選別過程で、一方の性がもう一方の性を選ぶ形態を配偶者選択と呼びます。

配偶者選択は、オスやメスが持つ特徴や能力によって異なりますが、その基準は時間とともに変化する可能性があります。
例えば、クジャクの尾羽はメスにアピールするために進化したものですが、その長さや色彩はメスの好みによって変わってきました。

「社会を巡る情報と価値観の正解が理想のパートナー像を作り出している。」
もう一つは、社会的・文化的な影響です。
人間は社会的な動物であり、周囲の人々やメディアから受ける情報や価値観によって、理想のイメージ像が決まると。

例えば、時代の流行や美容技術の発展によって、体型や髪型、服装などの外見的な基準が変わりました。
また、教育水準や経済状況、法律制度などの社会的な要素によって、内面的な基準も変わりました。
例えば、女性が社会進出するようになったことで、男性に求める条件や役割も変化しました。

「農業をする方が豊かに暮せるし、文字を使える方が賢く見える。」
ヒトは約5万年前から文化的な進化を始めました。
文化的な進化とは、言語や道具や芸術などの文化的な要素を通じて知識や技能を伝達し、集団内で共有することで起こる進化です。

文化的な進化は、生物学的な進化よりも速く起こります。

例えば、ヒトは約1万年前から農業を始めましたが、その結果として食事や生活環境が大きく変わりました。
これに伴ってヒトの体格や免疫力や代謝も変わりました。
また、ヒトは約5000年前から文字を使い始めましたが、その結果として記憶力や思考力も変わりました。

つまり、文化的な要素が、配偶者選択に大きな影響を与えてきたということです。

しかし、時代や文化の流行や影響は、社会的な構造や権力関係によって操作される可能性があります。

例えば、美容業界やファッション業界は、その時々によって理想的な外見やスタイルを定義しています。
私たち消費者は、最先端のトレンドという名の枠組みを基に趣味嗜好を考えているのかもしれません。

また、政治的な意図やイデオロギーによって、メディアは特定の人種や民族や性別や階級や属性に印象操作を加えています。
これにより、モテる要素や理想は、個人の自由な選択ではなく、社会的な圧力や操作によって形成される可能性があります。

実際に、昭和時代から平成時代にかけて、「いい男」のイメージは大きく変化しました。
昭和時代では、「いい男」は筋肉質でタフでリーダーシップを発揮する男性でした。
しかし、平成時代では、「いい男」は細身で優しくてコミュニケーション能力が高い男性になりました。

この変化は、時代背景や社会情勢だけでなく、メディアや芸能界から発信される男性像にも影響されていると考えられます。

ではここで一緒に考えて頂きたいことがあります。
「若いころは外見を重視するが、年を取ると内面を重視するようになる。」
そのような声を多く聞きますが、それはなぜなのでしょうか。

あなたはどう思いますか?

「古代ギリシャでは、筋肉質で健康的な体を持つ男性が理想とされていた。」
これは、戦士としての能力や健康を重視する文化の影響と言われています。

「中世ヨーロッパでは、太った男性が富や権力の象徴として好まれた。」
これは、食糧が豊富であることの証とされたためです。

これらの事例は、求める要素や理想が客観的な真理ではなく、相対的な価値によるものであることを示唆していると考えられます。
つまり、人間は自分の存在や幸福を他者や社会と比較することで決める存在であるということです。

「人間は自分自身を選ぶことで自由で在り続ける。」
フランスの哲学者ジャン=ポール・サルトルは実存主義を提唱しました。
サルトルは、「他者の視線」を「地獄」と呼び、他者の視線によって自分の存在が決定されることを認めていました。

つまり、モテる要素と理想の相手は、他者の視線によって作られたものであるということです。
さらに言えば、他者の視線は人間の視線であり、私たちの社会や文化の影響によって作られていると考えることが出来るでしょう。

すなわち、青年期と壮年期の違いは知識や経験値であり、尺度の違いが視線の違いを生み出しているのかもしれません。

あなたにも、歳を重ねることで相手に求める要素や理想が変わった経験がありますか?


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コメント

  1. 星屑のかけら

    こんにちは。今回のブログも面白く読ませていただきました。
    恋愛の価値観を入口として、価値観の変遷とその要因について思考をまとめる一連の流れに美しさすら感じました。

    さて、近年の夏の新大久保などには、白や黒のTシャツに、色シャツをボタンを開けて羽織るコディネートを多く見かけるようになりました。人によってはTシャツを涼しげな肌着に変えている人もおり、中には素人目に見ても分かるようなユ〇クロのエアリズムを見せている人もいました。
    肌着を他人へ見せる。これに対して私の偏見も入っていますが、昭和や平成において、家の中でのだらしのない姿の典型であり、家の外では肌着が見えないようにするのが常であったはずです。その肌着を大っぴらに、堂々と家の外で見せびらかすコーディネートをする(人がいる)。
    こういったところにも価値観の変遷は見えるのかと思います。服装よりも、髪型のほうが顕著化もしれませんね。

    おでこを出したほうが清潔感が出る。そういわれるからこそサラリーマンの多くは前髪を上げているのかと思います。
    ですが、その価値観が変わり、おでこは出すべきではない。となったら、多くのサラリーマンはどんな髪型をするのでしょうね。

    • 青木コーチ

      こんにちは、いつもありがとうございます!
      恐縮です!

      「家の外では肌着が見えないようにするのが常であったはずです。」
      この言葉が印象に残りました。

      「ライブでは、わざと一番売れなかったデザインのタオルを巻いていた。ツアーが終わる頃には完売になるんだよね。」
      歌手の矢沢永吉さんが語られていたのを思い出しました。

      常を変えられる人がいる。
      常を追いかける人がいる。
      そんな関係性について考えさせられます。

      BTSが脚光を浴びれば、髪型はBTSに寄る。
      KAT-TUNが流行った頃は、ホストクラブはみんなあの髪型になりました。
      建前は「オリジナリティある自分」だけど、本音は「どんな得が得られるのか」に寄らざるを得ないのかもしれない。

      現代社会は、ストレスを溜め込む装置が初めから内包されているのだと考えさせられました。

  2. AYA

    その人の年代に関係なく見た目の好みは関わる人を選ぶ上で足切り材料になると思います。

    その上で、若い頃はまだ人生経験が少ないので、高いレストラン、見栄えがいい服装、見た目がいい彼氏彼女、というものに興味があります。ある程度の経験を経てから、自分の本当の好みが分かってきたり、心地のいいものを選ぶようになって、その結果見た目の重要度が下がるのだと思います。
    見た目の良さと、相性の良さは比例していかないことは経験からしか学べませんが、年齢が進むと経験は多くなるので、見た目よりは中身に気がいくんだと思います。

    男性の話を聞いていても歳をとった方の方が、体だけの関係でなく好きと言う感情を持ちたい、持たれたい、という人が多いです。おじさんになるほど心の繋がりを求めて単純に風俗に行くよりパパ活をしたり愛人を作りたい、心の関係がある人がいい、と言っている気がします。(お金の関係ではあるものの気持ちが入ってるかどうかが重要みたいです)

    私自身はイケメンと数人お付き合いしましたが、長く続かなかったので私が長く続く人はイケメンではなく私のことが好きな人だ、と気づきました!笑

    • 青木コーチ

      コメントありがとうございます!

      「好きと言う感情を持ちたい、持たれたい」
      特にこの言葉が印象に残りました。

      「自分という存在が、存在していることをわかってほしい。」
      八方美人や承認欲求という言葉は、存在に対する認識欲求なのかなと。

      誰かの意見や周囲の流行に乗るのはなぜなのでしょうか。
      人は根本的に、自分で自分を肯定することが苦手なのかもしれません。
      もしかしたら、背中を押して欲しいという欲求があるのかもしれません。

      だとするならば。
      自分を好きになってくれるというのは、自分を受け入れてくれているということかもしれないですね。
      では、なぜ受け入れてくれることが幸せだと感じるのでしょうか。

      それは、ありのままのワガママを受け入れるという意味ではなく・・・
      「ここにいてもいい」という安心感を幸せだと感じているのかなと勝手に想像しました。

      そんなことを考えさせられました!

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