次世代継承学

【第94話】人手不足ではない、人材が不足している。

「応募者一人ひとりが顧客だと何度教えても無礼を働く採用担当がいる。人手不足を招いているのは自分だと気付いて欲しかった。」
企業の人事採用コンサルをされている方とお話をした際に、人手不足について考えさせられる言葉を頂きました。

「賃金上昇が消費を刺激し、経済成長に寄与するだろう。」
人手不足が労働市場の需給バランスを変え、賃金上昇や労働生産性の向上をもたらすという意見があります。
自動化やAIの導入が加速する前に、まずは各社が目下の人材確保に動き出すと。

人手不足が各企業の賃金上昇を促し、中間層を育てることに繋がるのだと。

「人手不足が業務の遂行を困難にし、経営に悪影響を及ぼす。」
人手不足がビジネスチャンスの損失や企業の倒産を引き起こし、経済にマイナスの影響を与えるという意見があります。
企業が適切な人材を確保できず、ビジネスチャンスを逃すと。

AI自動化が普及する前に、人手不足で多く中小企業は打撃を受けるのだと。

人材は、言わば企業の動力源です。
企業がどれだけ良い商材やサービスを持っていたとしても、それを提供できなければ宝の持ち腐れとなります。

労働市場の需給がひっ迫すれば、企業は競争力を維持するために労働者の獲得や定着に努める必要があります。
つまり、賃金や福利厚生を改善する必要があるということです。

「日本では2018年から2022年にかけて、正社員の平均年収は5年連続で増加し、アルバイトの平均時給も過去最高を更新している。」
そして実際に、平均年収や時給は上昇傾向が続いています。
しかし、この数字を鵜呑みにしてはいけません。

なぜなら、その平均は男女や中小大企業をすべてひっくるめた算出だからです。
つまり、実態には大きな差が生まれているということを忘れてはいけません。

そして、もし仮に賃金が上昇していたとしても、それは手放しに喜べるものではありません。
なぜなら、人件費の高騰が利益率の圧迫を加速させる可能性があるからです。

例えば、外食業界では、人件費の高騰やスタッフの確保が困難なため、店舗の営業時間の短縮や閉店が相次いでいます。
店舗の営業時間の短縮や閉店は、顧客の利便性や選択肢を減らし、サービスの質を低下させることに繋がっています。

「人手不足なのではなく、給与以上の働きが出来る人材を探しきれていないだけ。」
その一方で、人手不足というのは建前だという声もあります。
雇用はリスクなので、慎重に吟味した結果、企業にとってプラスになる見込みが立つ人材が不足しているのだと。

例えば、建設業界では、人手不足により、工事の遅延や中止が多発していると言われています。
しかしそれは建前で、依頼した要求水準を満たせる技能労働者の減少と高齢化が問題と言われています。
工事の遅延や中止は、企業の収益や信用を損なうだけでなく、社会的なインフラや住宅の整備にも影響を与えています。

「では、企業の人手不足問題を解消するためにはどうしていけばよいのでしょうか。」
そのために私は、企業が納得感をもって採用が出来る環境を整えるべきだと考えています。

例えば・・・

■あらゆる媒体に拡張付加できる、ノーコードの推薦型ポートフォリオを作成する
→狙いは、採用のミスマッチを解消すること

企業の目線
・過去の実績を推薦してくれる一筆によって、安心して雇用が出来る
・自前の媒体採用やエージェントの紹介採用で見抜けない、一緒に働いた人の声が聞ける
・推薦状が新たな収益軸になる

応募者の目線
・自分の積み上げてきた人脈や実績を間接的にアピールすることが出来る
・信用を積み重ねた人間ほど推薦状の評価が高まる
・正直者が泣きを見ない転職市場が作れる

↓その影響作用とは・・・

仲介業者の目線
・マッチングサイトのリスクである、ミスマッチを未然に防止する担保が手に入る
・有名人起用で張子の虎になっている練度の低い業者が減る

波及効果
・特殊な技術、及びスキルに対して適正な評価が得られる
・利害関係で毒されつつある市場に、贈与と返礼の文化が蘇る

介在者の目線
・結果だけでなく、各々の状態を評価する素地が出来るため、評価制度に変化が生まれる
・エンゲージの高い人間が生き残るので、礼節を弁えた振舞を意識するようになる

【第94話】人手不足ではない、人材が不足している。

「立つ鳥、跡を濁さず。」
私は、採用媒体とエージェントが増加することが人材不足の解消に繋がるとは思っていません。
苦楽を共にした仲間や企業が推薦状を一筆掛けるくらいの関係性を築くことが解決に繋がると考えています。

この提起は、人手不足を解消するためにどうすべきか、働き手が自己効力感を持って働くためのきっかけになるのかなと思います。

「単純な作業やルーチンワークほど、機械やロボットに置き換えられやすい。」
人手不足を解消すると言われている自動化やAIの導入。
それらは労働生産性を向上させる一方で、人間の仕事を奪い、失業や格差を拡大する可能性があると言われています。

再就職支援やスキルアップの機会を用意するのは国であって、企業ではありません。
国の負担が増えれば社会的に取り残されるリスクが高まり、低所得層や低学歴層を生み出す危険性があります。

つまり、個人事業主の増加と雇用維持率の低下が起きるということです。

しかし一方で、人間を介する労働は付加価値が上がるとも言われています。
もし労働賃金が上がれば、所得が増えて、国内消費や投資に回る可能性があります。
それは、日本が長年抱えてきたデフレや低成長の問題を解決するために必要なインフレや経済活性化に繋がると期待されます。

「人間とロボットは何が違うのだろうか。」
私たちは、どこまで行ったら労働者で無くなるのでしょうか。
いつまで私たちは、勤勉な労働者であり続ける必要があるのでしょうか。

目に見える命令を受けて動くロボットと目に見えない重圧を受けて働く人間。
それもまた、極めて紙一重に近い同義語です。

「プロテスタントの禁欲と勤勉性が社会の発展に大きく貢献した。」
ドイツの社会学者マックス・ヴェーバーは、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で語りました。

私たちは労働によって生み出した財の多寡によってステータスを得ています。
まるで、すべてが労働に結び付くように、労働がすべてのように。
もしそれを否定すれば、負け組や諦観者だと見られてしまいます。

「社長以上の社員が育たないように、社員以上の人材を獲得することは出来ない。」
その事実を克服するために、私たちは、ロボットから人間に戻る必要があると考えました。


※日本一学生が集まる中小企業の秘密 ※人材獲得競争時代の 戦わない採用 「リファラル採用」のすべて ※全員戦力化 戦略人材不足と組織力開発

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コメント

  1. AYA

    人手不足なら一人一人の生産力を上げる必要がありますよね、ただ全員がスーパーマンになれるわけではなく人の育成には限りがあると思います。
    本当に単純作業は機械に任せ、それ以外の仕事はシステムなどによりより効率的にできると思います。

    ただ、単純作業だけをしているように見える人でも職場のムードメーカーもやっていていたりチームワークを良くしていたりと、
    仕事の成果に直結しないいい効果を産んでいる可能性もあるので評価って難しいですね。

    そういうのはお金とかではなく仲間とか、友達とか人との関係性という形でその人に返ってくるものかもしれないとおもいました。

    • 青木コーチ

      いつもコメントありがとうございます!

      「仕事の成果に直結しないいい効果を産んでいる可能性もある。」
      この言葉が印象に残りました。

      そういうところに気付かれているのが素晴らしいなと感じます。
      当然、成果を上げることは大切なことですが、成果を上げるためのサポートも同じく大切です。

      人間が機械に勝る部分は感情的なものだと言われています。
      つまり、それは、成果をサポートする部分にも近いのではないかと考えています。

      もしそうだとするならば、人と人の間に調和を作れる人は重要な価値を持つと。

      「また会いたいです。」
      その一言のために、我々は働いていますから。

      関係性を繋げられる人材に焦点を当てることが、今後のトレンドになっていくと思わされました。

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