次世代継承学

【第98話】何かと何かが対立すると、そこに動機が生まれる。

「就活生に企業の状況から課題を推測してもらって、課題と解決策を記した企画書を作成してもらえれば、選考も出来てタダで考察も出来る。素晴らしい選考方法だと思います。」
人事を担当されている方とお話をした際に、選考プロセスについて考えさせられる言葉を頂きました。

「面接の課題を通じて、候補者のスキルやモチベーションを評価したい。」
宿題は、自発的に働く意欲のあるスタッフを採用するために必要だという意見があります。
リモートワークの普及に伴い、従業員の動機を生み出す手法が限られていると。

だからこそ、面接時点で候補者のスキルと仕事に対する熱意を評価することが重要になるのだと。

「面接の課題は、時間や労力を要するものであり、無報酬でやれるようなものではない。」
一方、宿題で候補者のスキルやモチベーションを正確に反映することは出来ないという意見があります。
時間的、経済的余裕がない人にとっては、不公平な障壁になっていると。

またそれは、雇用主の利益のために、候補者の知識やアイデアを搾取しているのだと。

そもそもなぜ企業は選考プロセスに宿題を組み込んだのでしょうか。
それは、働き方改革により、社内のラポール形成が滞るようになったからです。

ラポールとは、調和した関係性を指す言葉です。
具体的に言えば、自身と会話相手の心が通じ合い、安心でき、自己開示のできる関係性が成立している状態を指します。

「リモートで業務が完結出来る反面、仕事と私生活の境界が曖昧になった。」
チャットでやり取りすることは、手軽かつ高速である反面、意図を汲み取りにくいという弱点を抱えています。
そしてログに残ることで雑談が怠惰に映るため、次第に業務以外のコミュニケーション量が減っていきます。

そして、協働意識とモチベーションを減衰させていったのだと考えられます。

「従業員のモチベーションを高める方法を見つけることは、昔からの課題だ。」
そもそもモチベーションとは、人が行動する動機や原因であり、人の行動や成果に影響を与える要因です。
モチベーションには、外発的動機づけと内発的動機づけの二種類があります。

外発的動機づけとは、報酬や罰など、行動の外部にある要因によって引き起こされるモチベーションです。
内発的動機づけとは、興味や楽しさなど、行動そのものにある要因によって引き起こされるモチベーションです。

しかしながら、それらが上手く社内で醸成出来なくなってしまった。
だからこそ、入社前にその源泉を見付けたいと。
そして、選考プロセスに宿題が組み込まれていきました。

とはいえ、宿題による見極めには反対意見もあります。

「課題を提出しても十分なフィードバックや評価を得られない。」
求職者は、求めに応じて対応するものの、採用されないことがあります。
合否については百歩譲ったとしても、提出物の評価が見えないことが苦痛だと。

つまり、宿題のための努力に終わるため、その後の採用に活かせず、不安を抱えて次のスタートを切らなければなりません。

それは、結果的に企業にヘイトを集めることに繋がっています。

企業は、従業員のモチベーションを高めるために、以下の手段を講じてきました。
・報酬や昇進などの外発的動機づけの要因を提供すること
・目標設定やフィードバックなどの自己決定感を高める要因を提供すること
・職務の多様化や拡大などの仕事の特性を改善すること
・チームワークやリーダーシップなどの社会的関係を強化すること
・学習やキャリア開発などの成長の機会を提供すること

一般に、内発的動機づけの方が、外発的動機づけよりも、人の行動や成果により良い影響を与えると考えられています。

「何かと何かが対立すると、そこに動機が生まれる。」
例えば、私たちは、敵や相手を見付けると、競争意識が芽生えると言われています。

1960年代から1970年代。
女性や黒人や学生などが、男性や白人や権力者などに対して、平等や自由や民主主義などを主張して運動や抗議や暴力が横行しました。

1980年代から1990年代。
東欧や中南米やアフリカなどの国々が、共産主義や独裁制や軍事政権などに対して、自由や民主主義や人権などを求めて、革命と崩壊が起きました。

2000年代から2010年代。
中東や北アフリカやヨーロッパなどの地域が、独裁政権や不正選挙や経済危機などに対して、民主化や改革や正義などを要求して、抗議や暴動や戦争が勃発しました。

「あるのは責務だけ。」
私は、モチベーションは存在しないのではないかと考えています。
なぜなら、自分という存在は自然と同一線上にあるからです。

初めにあったのは、光でも言葉でも神でもありません。
ロゴスです。


※「正しい努力」で結果を出す 図解 戦略就活メソッド ※モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか ※RAPPORT 最強の心理術:謙虚なネズミが、独善的なライオンを動かす方法モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

未来を予測する”きっかけ”を生み出すメルマガ

似たような情報や視点に囲まれてしまう現代社会。
この先もネットの情報はますますあなたに
最適化されていきます。

でもそれで本当に良かったのだろうか?

成功事例の横展開が業界にイノベーションをもたらすように、
身近でない情報が実は突破の糸口になったりする。

共通点を繋ぎ、線と面で捉え直すこと。

それが我々の贈る言葉の特色であり、
情報から光を引き出す編纂技術だと考えています。

考えるきっかけとなるイベント情報や新着記事を
メールでお届けいたします

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA