次世代継承学

【第95話】恋愛のコモディティ化を克服するために。

「マッチングアプリの利用者が減少しているようですが、これによって現代の恋愛文化にどのような影響を与えると思いますか?」
婚活アプリの運営に携わる方とお話をした際に、マッチングアプリについて考えさせられる言葉を頂きました。

「マッチングアプリ離れがリアルな人間関係の復活を促し、より深いつながりを生み出す。」
直接対面でのコミュニケーションこそが人間関係の質を高めるという意見があります。
利用者の7割がマッチング疲れで引退を決意しており、辞めた人の6割がリアルな出会いの機会を求めて旅立っています。

そして、友人からの紹介が一番成婚率が高いのだと。

「マッチングアプリの減少が恋愛の機会を減らし、人々の孤立を招く。」
一方、マッチングアプリの減少は、特に都市部での恋愛の機会を減らすことにつながるという意見があります。
出会いが偶然に依存して、さらに相手との距離感や進展速度を調整するのが難しいと。

また、二人の関係が友人や同僚などの第三者に祝福されていない場合や、相手との関係がマンネリ化している場合は前進が困難であると。

「自分の好みや条件に合った相手を効率的に探したい。」
マッチングアプリはなぜ人気を集めたのでしょうか。
それは、無駄な時間や労力を省き、恋愛に集中したいというニーズに合致したからです。
また、自分の年齢や性別、職業や趣味、宗教や人種などの属性に関係なく相手を探すことが出来るため、選択と集中が機能しています。

「外出や対面が制限されたコロナ禍において、出会うきっかけはネットで見つける他なくなってしまった。」
さらに社会状況を踏まえた上で、自分の社会的ネットワークや生活圏に限定されない多様な相手と出会えること。
そして、自分の意思やペースで出会いをコントロールが出来ること。

これによって、自分に合わない相手との関係を断ち切ることや、自分に合った相手との関係を深めることが魅力でした。

「出会いの簡略化は、恋愛を消費や競争の対象にしてしまった。」
しかし、マッチングによる出会いは、人々の目線を変えました。
相手を人間としてではなく、商品やステータスとして見るようになりました。

そして、恋愛における選択肢や可能性を増やしていたはずが、いつの間にか自分の好みや条件に合わせて相手を選ぶことを促していました。
つまり、それは、実際には恋愛における規範や制約を作り出していたということです。

「自由を求めて不自由になってしまった。」
なぜマッチングアプリ離れが起きているのか。
それは一言で言えば、自由が飽和して不自由な状態を自ら作り出してしまったからだと考えています。

「では、出会いが不自由な状態はどうすれば克服出来るのでしょうか?」
そのために私は、共通のプレイスで繋がるべきだと考えています。

例えば・・・

■セカンドプレイスを軸に、業界や職種で繋がるプラットフォーム
→狙いは、置かれている境遇を共感の軸にすることで恋愛観のコモディティ化を解消すること

利用者の目線
・共通の属性及び類似するコミュニティなど、経済的な共通点を見つけることが出来る
・年収や顔などのプロフィール詐欺は、業界相場と職種平均年収で概ね見分けることが出来る

運営者の目線
・採用に課題を抱えている企業もスポンサーに迎えられるなど、広告ジャンルの幅を広く見積もることが出来る
・サードプレイス周りのマッチングは飽和しているので差別化が出来る

↓その影響作用とは・・・

広告出稿者の目線
・顕在層が転職サイトに流れる中で、構えのない潜在層に向けたきっかけを提供することが出来る
・書いたけど母集団にリーチが取れなかったブログをキュレーション配信する場としても使える可能性がある

波及効果
・恋愛は会話ではなく対話から始まるという文化が生まれる
・物質的な豊かさと精神的な豊かさのどちらを目指すのか合意が生まれやすくなる

介在者の目線
・対話には語彙力が必要であることから、リスキリング関連のビジネスが次の展開候補に入る
・マッチングがそれでも上手く行かない場合は選択肢の限界を超えるための力や支えが求められる

【第95話】恋愛のコモディティ化を克服するために。

「私は◯◯が好きなんだけど、、、分かる?」
私は、マッチングアプリが普及すれば未婚率に歯止めが掛かるとは思っていません。
趣味で繋がる関係は肯定する会話に終始することが多いのではないでしょうか。

肯定すること、されることは共感とは言えません。
私は、属性と居場所に共感することが対話のきっかけに繋がると考えています。

この提起は、未婚率の低下を抑制するためにはどうすべきか、より善く人と人が結ばれるためのきっかけになるのかなと思います。

「恋愛における自己と他者の対立と共存は、個人主義と共同体主義の関係に似ている。」
個人主義は、個人の自由や権利、利益などを重視する思想であり、主に西洋の社会で発展しました。

例えば、フロイトやユングなどの心理学者は、恋愛を自己の欲望や願望に基づくものとして分析しています。
また、サルトルやボーヴォワールなどの実存主義者は、恋愛を自己の選択や責任に基づくものとして主張しています。

つまり、個人主義では、恋愛を自己中心的に捉えることが推奨されているということです。

一方、共同体主義は、集団の秩序や規範、利益などを重視する思想であり、主に東洋の社会で発展しました。
例えば、孔子や孟子などの儒学者は、恋愛を人間関係や道徳に基づくものとして教えています。
また、仏陀や菩薩などの仏教者は、恋愛を慈悲や智慧に基づくものとして説いています。

つまり、共同体主義では、恋愛を他者中心的に捉えることが推奨されているということです。

「人は無意識の内に、自分の都合や目的に合わせて相手との関係を調整するようになった。」
マッチングアプリは、恋愛を自己中心的に捉えることを加速させました。
年齢と年収と容姿が判断基準で、その他はおまけだと。

自分の好みや条件に合う相手を探すことも出来るため、恋愛を自己中心的に捉えることが可能になりました。

それは、効率的に合理的に最善の「物件」を探すゲームになったということです。
つまり、コモディティ化です。

しかし、そこで私は思いました。
自分で選んだ道を正解に出来ない人は、その時に恋愛の最善手を選べたとしても、中長期的な繁栄には繋がらないのではないかと。

つまり、私たちは選択肢を正解に変える力に目を向ける必要があるのではないかと考えました。


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コメント

  1. AYA

    自分で選んだ道を正解にする。というのが腑に落ちました。
    昔の方が今より離婚率は低かったですが昔の時代も、みんながみんな運命的な相手と出会って結婚し、普通に過ごすだけで幸せだったというわけではないと思います。辛いことや我慢もあったかと思いますが、今あるものの中での満足や、幸せを感じるようにしていたのかなと想像します。
    お見合い結婚がうまくいくことが多かったり、かと思えば現代でいうとバチェラーのようにかなり多い候補者から相手を厳選したつもりが、あっけなく破局したりしているので、誰と結婚するかよりもその後の方が重要なのではないかと感じさせられます。
    妥協したくない、失敗したくないという思いでなんとか自分の理想の条件に合う人を探そうとしますがその結果、晩婚化になったり、結婚しても相手が期待外れの場合離婚したりしていると思います。
    愛だとか幸せだとかはもらうものじゃなく自分で作り出すことができると、よりストレスフリーに生きられそうだと思いました。

    • 青木コーチ

      いつもコメントありがとうございます!

      「愛だとか幸せだとかはもらうものじゃなく自分で作り出すこと。」
      この言葉が印象に残りました。

      自分が幸せかどうか。
      他人から見れば不幸に見えても、本人は幸福かもしれない。
      それは自分にしか分からないものです。

      自分がどんな時に幸せを感じるのか自覚していないのに、幸せを求めようとする人。
      それは、本人も周囲の人も対応が大変です。

      何を求めていて、どうなりたいのか。
      それが見えない中で、お互いの関係を築くことは大変労力が掛かります。

      しかし言い換えれば、それが分かってさえいれば、ゆっくりでも少しずつでも前に進めます。
      真実に向かおうとする意志がそこに生まれるなと。

      そんなことを考えさせられました。

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