次世代継承学

【第127話】資源管理の強化 vs 漁業の自由化

「我が国の水産業は、過去30年間で世界の漁業生産量が約2倍になる一方、日本の漁業生産量は約1/2に減少しました。養殖生産においても、世界では約半分を占めるのに対し、日本では約2割に留まっています。漁業者一人当たり・漁船一隻当たりの生産量も、他国と比較して著しく少ない状況です。」

水産庁に関わる方とお話をした際に、漁業の将来性について考えさせられました。

「安かろう、悪かろうの時代から、安いだけでも良いだけでもの時代へ。」
持続可能な社会を作るために、エシカル消費(倫理的消費)という考え方が注目されています。
それは、製品やサービスの価格や品質だけでなく、環境保全、労働者の権利、動物福祉など、その製品がもたらす広範な影響を考慮して購入する消費行動です。

例えば、MSC認証やASC認証などの認証ラベルが付いた水産物は、持続可能な漁業によって獲れたものだということをご存知でしょうか?

ちなみに恥ずかしながら、私はこの分野の話を聞くまでそのようなラベルがあること自体知りませんでした。
そう、倫理観に基づいた行動をするためには、まずは知る必要があります。

つまり私たち消費者は、環境に配慮した財を選択することで、持続可能な漁業に貢献出来ると。
しかしそのためには、知る必要があると。

現在漁業の分野では生産量が減少しています。
ちなみに過去を遡れば江戸時代の日本も同じような事態に直面していました。

「私たちは、将来世代のために、豊かな海洋資源を守っていく責任がある。」
当時の日本は、人口増加による資源の減少という問題を引き起こしていました。
そこで幕府は、漁業資源の保護と持続的な利用を目指して、下記のような様々な漁業管理政策を実施したと言われています。

  • 漁場の区画分け: 漁場を特定の漁業者に割り当てることで、乱獲を防ぎ、資源の保護を図った。
  • 漁獲量の制限: 一定期間における漁獲量を制限することで、資源の過剰利用を防いだ。
  • 漁具の制限: 小型の漁具の使用を禁止することで、幼魚や稚魚の保護を図った。
  • 禁漁期間の設定: 繁殖期など特定の期間に漁を禁止することで、資源の回復を促進した。

概念だけを見れば当たり前のように感じられますが、現代の漁業管理の礎となった政策です。

とはいえ、海洋資源を守るばかりでは漁業者の生活が成り立ちません。
これを両立させてこそ、本当に持続可能な漁業の実現と言えるでしょう。

なぜなら漁獲をするためには、大間のマグロ漁師のような漁業の達人の力が必要だからです。
人の生活を無下にして持続可能な社会を築くことは出来ません。

しかしこのままでは資源消費が底をつき、いずれ手詰まりとなるでしょう。

「漁業生産量を上げるために管理が必要だ。」

  • 意見1: 資源を持続的かつ最大限に利用するためには、科学的根拠に基づく資源評価と漁獲量管理が不可欠。
  • 意見2: 国際的な資源管理の強化、特に近隣国との協調が必要。
  • 意見3: 資源管理計画の具体的な実施により、資源の増加と持続可能な漁業を目指す。

■「漁業生産量を上げるために自由化が必要だ。」

  • 意見1: 漁業の自由化により、漁業者の経済的機動性が向上し、効率的な漁業が促進される。
  • 意見2: 自由化を通じて新技術の導入や新たな市場の開拓が期待される。
  • 意見3: 漁業者の意欲と創意工夫を促進し、多様な漁業形態の発展を促す。

資源管理の強化

  • 目的: 水産資源の持続可能な利用と生態系の保全
  • 建前: 科学的根拠に基づく厳格な資源管理と漁獲制限を通じて、長期的な水産業の安定を目指す。
  • 本音: 短期的な生産量の減少や漁業者の利益の低下を受け入れ、資源の枯渇を防ぐ。
  • 信条: 持続可能な水産業は、将来世代への責任として資源の保護を最優先すべきである。

■漁業の自由化

  • 目的: 漁業者の経済的自立と競争力の強化
  • 建前: 規制の緩和と市場の自由化により、漁業の活性化と効率化を促進する。
  • 本音: 資源管理のコスト削減と漁獲量の増加を通じて、短期的な利益を追求する。
  • 信条: 市場原理に基づく競争と革新が、水産業の発展と漁業者の福祉向上に繋がる。

■乖離を埋めるためのきっかけ

■未来を担うべき主体

  • 政府: 政策の策定、資金提供、国際協力。
  • 水産業界: 持続可能な漁法の実践、技術革新、市場開拓。
  • 研究機関: 科学的根拠の提供、新技術の開発。
  • 消費者: 持続可能な水産物の選択と消費。

■理想と現実の間

資源管理と生態系保護の理想と現実

理想: 科学的根拠に基づく持続可能な資源管理と生態系の完全な保護。
現実: 過剰漁獲や生態系への影響に対する対策が不十分な場合がある。

水産業の経済的自立

理想: 水産業が経済的に自立し、国内外市場で競争力を持つ。
現実: 国際競争の激化やコスト増加により、経済的自立が困難な状況。

新技術の導入と革新

理想: 最新技術を活用した水産業の革新と効率化。
現実: 新技術の導入が遅れることや、伝統的漁法への依存。

消費者との関係

理想: 消費者が水産物の生産背景を理解し、持続可能な消費を行う。
現実: 消費者の意識の低さや情報不足により、持続可能な消費が促進されない場合。

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