次世代継承学

【第126話】伝統的な結婚式 vs 新しい形式の結婚式

「結婚式の高額な費用が若者の結婚への二の足を踏む一因になっている可能性はありますよね。伝統的な結婚式に対する固定観念をどう克服するかが課題です。」

日本一と言われる庭園を持つ式場で働く方とお話をした際に、これからの結婚式について考えさせられました。

「いつしか誰のための結婚式なのか分からなくなっていた。」
一生に一度、人生の記念日。
ウェディングプランナーは、その一瞬の輝きをサポートするために新郎新婦と向き合います。

しかし、話を聞いてみるとそこには挫折とも言える物語がありました。

「2人が希望する演出を希望の予算で実現できた結婚式はほとんどありません。」
やはりどこかに妥協点があって、折り合いを付けなければならないことがあるのだと。
それは、やがて夫婦となる2人に最初の試練が訪れるということです。

何のために、何を残して、どうなりたいのか?
この話し合いを通じて多くの喧嘩が生まれるそうです。

優先順位が自分に向くか、相手に向くか、第三者に向くのか。
ある人は第三者(親族への見栄え)に目が向くかもしれません。
またある人は、自分が満足するか(人の目は気にせず)どうかという基準を持つかもしれません。

価値観の相違をどう克服していくのか。
何があればお互いに納得感を得られるのでしょうか。

伝統的な結婚式は、「私も歴史の一員です。」という家族や社会との繋がりを証明するための儀式という意味合いが強いとされてきました。
しかしコロナ禍前後からは、「繋がっているよね?」という絆や関係性を確認する意味合いが強くなってきたようにも感じられます。

それは、単純に式を挙げる資金的な余裕が無いから簡素で多くを求めない様式に変わりつつあるのでしょうか。
それとも、孤独社会や無縁社会と言われるように、紐帯が希薄化したから生まれた欲求なのでしょうか。

いずれにせよ、ウェディング業界は顧客の立場に立って新たな価値を創造するべき時が来ています。

「社会的な連帯感を証明するための場。」

  1. 意見: 社会的な期待と家族間の絆を重視する文化が根強く、大規模な式を好む傾向。
  2. 意見: 歴史と伝統を重んじ、一生に一度の大イベントとしての位置づけ。
  3. 意見: 結婚式を通じて親族間の関係を深め、社会的な認知を高める効果。

「社会的な関係性を確認するための場。 」

  1. 意見: 経済的負担の軽減と、より個人的な経験を重視する若者が増えている。
  2. 意見: オンライン式や家族だけの小規模な式が増加し、個人の価値観に基づく柔軟な選択肢。
  3. 意見: 環境への配慮や、新型コロナウイルスの影響を受けた新しいライフスタイルの適応。

伝統的な結婚式

  • 目的: 二人の結びつきを社会的に公認し、家族や親族間の絆を深める。
  • 建前: 伝統と格式を重んじることで、一生に一度の大切な日を祝う。
  • 本音: 家族や社会からの期待に応える形で式を挙げる圧力を感じることも。
  • 信条: 歴史と文化を尊重し、先祖から受け継がれた伝統を守る。

新しい形式の結婚式

  • 目的: カップルの個性や価値観を反映した形で結婚を祝う。
  • 建前: 費用や形式に縛られず、自分たちにとって意味のある式を。
  • 本音: 伝統的な式のプレッシャーや費用負担を避けたい。
  • 信条: 自由と多様性を尊重し、新しいライフスタイルを受け入れる。

■理想と現実の間

人口減少と高齢化

理想: 豪華で伝統的な結婚式を挙げる。
現実: 若い世代の結婚式への関心の低下や高齢化社会の影響により、大規模な結婚式を挙げることが難しくなっている。

資金とリソースの不足

理想: 理想的な結婚式を挙げるためには、十分な資金が必要。
現実: 経済的な理由で希望する結婚式を挙げることができないカップルが増えている。

地域間格差の拡大

理想: 地域によらず、どこでも理想的な結婚式を挙げることができる。
現実: 地域によって結婚式の風習や利用できるリソースに差があり、理想と現実にギャップが生じる。

持続可能性の確保

理想: 環境に配慮した持続可能な結婚式を実現したい。
現実: 環境への配慮を考えると、伝統的な結婚式の形式を変える必要があり、受け入れがたい場合がある。

地域住民の参加と協働

理想: 地域住民や友人が積極的に結婚式に参加し、祝福してくれる。
現実: 新型コロナウイルスの影響や、現代の忙しい生活スタイルにより、参列できる人数に限りがある。

■乖離を埋めるための事例

季節をテーマにした結婚式

春の結婚式では、桜やチューリップなど季節の花を使った装飾で、自然の美しさを取り入れます。
出典: Niwaka

オリジナリティ溢れるコンセプトウエディング

二人の共通の趣味や出会いのエピソードをテーマにした結婚式で、ゲストにも楽しんでもらえる工夫を凝らします
出典: Zexy

カジュアルなアウトドアウェディング

屋外でのリラックスした雰囲気の中で行う結婚式。自然光の下での写真撮影も魅力の一つです。
出典: Mwed

少人数での家族中心の結婚式

親しい家族や友人だけを招待し、アットホームな雰囲気の中で行う結婚式。個々のゲストと深い交流ができる。
出典: Zexy

オンライン結婚式

遠方にいる親族や友人も参加できるよう、オンラインで結婚式を配信。新型コロナウイルスの影響下でも安全に祝福を共有できる。
出典: マイナビウエディング

これらの事例は、現代のカップルが自分たちの価値観やライフスタイルに合わせて選べる結婚式の多様性を示しています。
個人の自由と多様性を尊重する現代社会において、結婚式もまた、伝統的な枠に囚われずさまざまな形で行われるようになっています。

■未来を担うべき主体

  • カップル自身: 結婚式の計画と実施において主体的な役割を果たす。
  • ウェディングプランナー: カップルの希望を叶えるための具体的なプランニングとサポートを提供。
  • 地域コミュニティ: 地域の伝統や文化を結婚式に取り入れることで、地域全体での祝福の雰囲気を作り出す。
  • 環境団体: 持続可能な結婚式を実現するためのアドバイスやサポートを提供。

■乖離を埋めるための具体的な手段

  1. オンライン結婚式の活用
    • 遠方にいる家族や友人も参加できるように、オンラインでの結婚式を活用する。
  2. 少人数または家族だけの結婚式
    • 経済的な負担を減らし、より親密な結婚式を実現するために、少人数または家族だけの結婚式を選択する。
  3. 地域コミュニティとの協力
    • 地域コミュニティと協力し、地域の伝統や文化を取り入れた結婚式を企画する。
  4. 環境に優しい結婚式の実施
    • 使用する素材や会場選びにおいて、環境に配慮した選択をすることで、持続可能な結婚式を実現する。

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