次世代継承学

【第149話】私たちはデジタルウォレットを歓迎するべきなのか?

「エンベデッドファイナンスの普及は、消費者にとって便利である一方で、データプライバシー、セキュリティリスクの増大、金融サービスの質に関する懸念、市場における独占や寡占化の進行など、いくつかの懸念点を提起している。」

ほぼ毎日5ちゃんねる掲示板にいる方とお話をした際に、金融の民主化について考えさせられました。

PwC Japanグループは、エンベデッドファイナンス(組込型金融)が、融資、保険、デジタルウォレットなどの金融サービスを非金融企業が提供することにより、金融業界におけるイノベーションと将来の成長の中心的存在となっていくことを示唆しています。
現に、2022年の市場規模は543億米ドルから2032年には2,484億米ドルと約5倍に成長すると予測されており、非金融系アプリやウェブサイトへの金融サービスの統合が増加しているのだと。

「エンベデッドファイナンスとは、非金融企業が自社の商品やサービスに金融機能を組み込むことで、従来の金融機関に依存せず金融サービスを提供すること。」
例えば、Eコマースのプラットフォームが決済やローン、保険などの金融サービスを提供することや、SNSが送金や投資などの金融サービスを提供することなどが挙げられます。

これにより、非金融企業にとっては収益源の多様化や顧客ロイヤリティの向上などのメリットがあります。
また、消費者にとっては、利便性やコストの低減、カスタマイズなどのメリットがあります。
さらに、従来の金融機関にアクセスできなかった消費者にも金融サービスを提供することで、金融の包括性を高めるという社会的なメリットもあります。

しかし、エンベデッドファイナンスには、規制や競争、プライバシーなどの課題も存在します。

「強いものはより強く。」
その果てにあるものは、寡占状態です。

生活にまつわるあらゆるものが包括的に1社に握られていること。
その恐ろしさについて、まだ私たちは知る由もありません。

「お金を儲けるために仮想通貨に投資していたはずが、実生活がハイパーインフレを起こしていた。」
仮想通貨が上がれば現物通貨は落ちる。
現物通貨が落ちるということは、物価が上がる。

非金融事業者の金融サービス介入というのは、決済手段や現物通貨との調整が必要です。
そこを考えずに金融の民主化を推進しようとすれば、大きな反動が待っていると考えられるでしょう。

ということで、今回はエンベデッドファイナンスの是非について一緒に考えて行ければと思います。

「すべての人にバッファをもたらす。」

意見1: エンベデッドファイナンスは、非金融企業による金融サービスの提供を可能にし、従来の金融機関にアクセスできなかった消費者にも金融サービスを提供することで、金融の包括性を高める。
意見2: 新しい技術やサービスモデルの導入により、消費者に対してよりパーソナライズされたサービスが提供され、顧客体験の向上に寄与している。
意見3: 低コストで効率的な金融サービスの提供が可能になり、消費者の利便性が高まる。

■「持て余すだけだ、やめておけ。」

意見1: 市場における大手テクノロジー企業やフィンテック企業の独占的な地位が強化され、消費者の選択肢が限定される可能性がある。
意見2: エンベデッドファイナンスによるサービスの複雑化は、消費者が金融サービスのリスクを完全に理解できない場合があり、金融の透明性が低下する。
意見3: データプライバシーとセキュリティの問題が増大し、消費者の信頼性に影響を及ぼす可能性がある。

金融の民主化を促進する

  • 目的: 金融サービスの普及とアクセス性の向上を通じて、より多くの人々が金融サービスを利用できるようにする。
  • 建前: すべての人々に平等に金融サービスを提供することで、社会全体の経済的福祉を向上させる。
  • 本音: 新しい技術やビジネスモデルを利用して、市場シェアを拡大し、収益性を高める。
  • 信条: 金融の民主化は経済的包摂を促進し、社会全体の繁栄に寄与する。

消費者の選択肢を制限し、複雑化を招く

  • 目的: 市場の支配的地位を確立し、経済的利益を最大化する。
  • 建前: イノベーションと効率性の向上を通じて、消費者に新たな価値を提供する。
  • 本音: 市場の独占または寡占を通じて、競争を制限し、利益率を高める。
  • 信条: 技術革新は市場競争を超越し、最終的には消費者に利益をもたらす。

■乖離を埋めるためのきっかけ

■未来を担うべき主体

政府・規制当局

  • 理由: 公平な競争と消費者保護を確保するための規制策定と監督が必要。

フィンテック企業

  • 理由: イノベーションを推進し、新しい金融サービスモデルを開発する主要な役割を担う。

伝統的金融機関

  • 理由: エンベデッドファイナンスのエコシステム内で競争力を保持し、協力関係を築く必要がある。

消費者団体

  • 理由: 消費者の権利と利益を代表し、政策策定プロセスに参加する。

技術開発者・セキュリティ専門家

  • 理由: プラットフォームの安全性と信頼性を確保するための技術的解決策を提供する。

■理想と現実の間

エンベデッドファイナンスの普及が社会的包摂を促進する

  • 理想: すべての人々が金融サービスへのアクセスを持ち、経済的機会を享受できる。
  • 現実: 技術や情報へのアクセスが不均等で、特定の層が恩恵を受けやすい。
  • 対処法: 教育と啓蒙活動を通じて金融リテラシーを向上させ、アクセスの格差を解消する。

エンベデッドファイナンスによるデータプライバシーとセキュリティの懸念

  • 理想: 個人のデータは厳重に保護され、消費者の同意なしに使用されることはない。
  • 現実: データ漏洩や不正使用のリスクが増大しており、消費者の信頼が損なわれる。
  • 対処法: 厳格なデータ保護規制の実施と、技術的なセキュリティ対策の強化。

エンベデッドファイナンスが市場独占につながる可能性

  • 理想: イノベーションが活発に行われ、多様なプレーヤーが健全な競争を繰り広げる。
  • 現実: 大手テクノロジー企業やフィンテックが市場を支配し、新規参入の障壁が高まる。
  • 対処法: 公正な競争を促進するための規制の整備と、小規模プレーヤーへの支援。

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