次世代継承学

【第35話】良い逆境と悪い逆境がある。

「社員が労働環境の不安に怯えながら作ったゲームソフトでは、人の心を動かせない。」
実業家の岩田聡さんは、重要な意思決定をする上で考えさせられる言葉を残しています。

任天堂の代表を務めた際、経営が傾き、株主総会でリストラを打診されました。
しかしそこで岩田さんは、リストラを良しとしませんでした。
経営を立て直すために、労働環境の改善に着手されました。

労働環境の不安がある中でのゲーム制作。
それは、どのような結果をもたらすのでしょうか。
あなたはどう思いますか?

「長時間労働や残業代の未払い、会社都合の大量レイオフなど、悪習慣が横行する環境で良いゲームは作られない。」
不安やプレッシャーが創造性を阻害するという意見があります。
労働環境の不安や過重労働は、クリエイターの心身を圧迫するのだと。
つまり、安定した環境での制作が、より高品質な作品を生み出す鍵だということです。

「ゲーム業界の厳しい環境が、逆に我々を鍛え、革新的なアイディアを生み出す原動力となっている。」
しかし一方で、逆境がクリエイティビティを高めるという意見があります。
プレッシャーがあるからこそ、スタッフは最高のパフォーマンスを発揮するのだと。
つまり、労働環境の不安が、新しいアイディアや解決策を生み出す触媒となるということです。

20世紀初頭のアメリカの映画業界では、多くの映画スタッフが過酷な労働環境の中で働いていました。
しかし、その中で生まれた作品は、現代でも高く評価されています。

この事例から、労働環境の不安やプレッシャーがクリエイティブな作品を生む要因となることもあると言えるでしょう。

ゲーム業界は競争が激しく、市場の要求も高まっています。
企業は高品質なゲームを短期間で生産するプレッシャーを感じています。

良好な労働環境は、従業員の安心感や満足度を高めることができます。
しかし、過度な快適さが向上心を削いでいく可能性もあります。

長期的なストレスや不安は従業員の健康やモチベーションに悪影響を及ぼす可能性があります。
しかし、その逆境がクリエイティビティを刺激することがあります。

最高のパフォーマンスを引き出すとも言われる緊張感。
では、どのような場合に緊張感は良い結果をもたらすのでしょうか。

つまり、そこには、良い逆境と悪い逆境のようなものがあるのではないかと考えさせられました。

また、或いは逆境の受け止め方に差があるのかもしれません。

「自分に厳しく、人にやさしく。」
自分の夢を叶えるために、好きなもののために、守るもののために徹底して磨き上げられる人。
どのような境遇に置かれても、困難を克服して羽ばたける人がいます。

何がそうさせているのでしょうか。
あなたはどう思いますか?


※岩田聡 とは ※ハリウッド映画についてより深く知りたい ※やり抜く力(GRIT) とは

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コメント

  1. KN

    悪い逆境というのはたとえプラスに働く要素があったとしても、
    給料が低いや労働環境への不満が思考の妨げになるので、クリエイティブさを求められる企業では長期的に持続しにくいのではないかと思いました!

    もちろんそれぞれ折り合いを付けようって話が前提であると思いますが、
    低賃金、労働環境が長いといった形で悪い逆境を細分化しどれがプラスのインパクトがあるのか要素を分ける。

    良い逆境も同じようにするといいのかなって思いました!

    個人によると思いますが、例えば僕の場合だと、
    良い逆境=期待されている状況、頑張ったらそれに見合う報酬がもらえる。

    悪い逆境=長時間労働
    だいたいこのふたつが重なったら上手くいく傾向にあるので、良い悪いのレイヤーの分け方かなって感じもしました!

    事前に良い逆境と悪い逆境をリストアップして、本人に選択させて働いてもらうとかは、個人のKGIやKPIを達成するためのロードマップを作りやすそうですし面白そうです!

    • 青木コーチ

      コメントありがとうございます!

      「低賃金、労働環境が長いといった形で悪い逆境を細分化しどれがプラスのインパクトがあるのか要素を分ける。」
      こちらが印象に残りました。

      確かに、事前に「これはプラスのインパクトだね」って主観的に逆境状態を分けることは出来そうですよね。
      そうすれば、逆境に対して適切なサポート体制も組みやすくなりそうです。

      とはいえ、すべてものは、良い側面と悪い側面があります。
      状況変化と本人の受容次第で逆境がプラスからマイナスに転じることもありそうですね。
      仮説上は善きものでも、やはりやってみないと分からない部分があるので、そこをどうすべきか。

      そこでふと、個人のKGI・KPIやロードマップはRPGに似ているなと想いました。

      「自分の人生をゲーム化して、やる気の維持とやるべきことの整理する。」
      例えば、Habiticaというアプリは、人生をゲームに見立てることで楽しく習慣や日課をこなせる事を目的にしたタスク管理サービスです。

      タスクをクリアすることで経験値とゲーム内マネーが手に入り、レベルが上がったり武器・防具が買えるという設定。
      そして、同じような習慣や目標を持っている人同士で組むギルドや、モンスター討伐などのクエストを協力してクリアしていくパーティー制度もあります。

      そう、逆境には壁(タスクや課題)があるので、それが可視化出来たら面白いなと。
      そんなことを考えさせられました。

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