次世代継承学

【第33話】人間の堕落は避けられない運命なのか?

「人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ。戦争に負けたから堕ちるのではない。人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけである。」
小説家の坂口安吾さんは、堕落することについて考えさせられる言葉を残しています。

「人間は欲望の生き物。その欲望を満たすためにはどんな手段を選ぶことも厭わない。」
人間の欲望や感情は制御が難しく、それが原因で堕落することが多いという意見があります。
どの時代のどのような歴史を見ても、堕落のない文明は存在しないことから分かるように。
人間の心の中には、善と悪が共存しており、時として悪が優勢になるのだと。

「社会の価値観や圧力が人を追い詰める。その結果、人は堕落することがある。」
一方で、社会の変化や環境の変動が人間の行動や考え方に影響を与えるという意見があります。
戦争や経済の不況などの外部要因が人間の堕落を引き起こすのだと。
社会的な圧力や期待に応えられないと感じるから、人は堕落していくのだということです。

人間は本質的に堕落する存在なのか。
それとも外部の環境や社会的要因によって堕落するのか。

あなたはどう思いますか?

「人間の性質や本能が邪悪であり、道徳や理性によって抑制されなければ、自己中心的で暴力的な行動に走る。」
イングランドの哲学者ホッブズは、人間は自然状態では互いに敵対し、戦争状態にあると主張しました。
つまり、人間は外部の環境や社会的要因に関係なく、堕落する傾向があるということです。

しかし、人間が本質的に堕落する存在であるとする主張は、すべての人間を一律に判断する危険性があります。

「人間とは本質的に善いものであり、堕落しているのは社会のほうである。」
フランスの哲学者ルソーは、人間は生まれたときから善良であるという考えを示しました。
つまり、社会や環境が人間を堕落させるのだということです。

しかし、外部の環境や社会的要因が主な原因であるとする主張は、個人の責任を軽視する可能性があります。

では、ここであなたにも考えて頂きたいことがあります。
「人間の堕落は避けられない運命なのでしょうか?」

あなたは、どう思いますか?

「人類はどのような国家の市民的な堕落によっても卑劣になり下がるし、また社会的な自立によってすべての市民的な徳へ向かって向上する。」
スイスの教育家ペスタロッチーによれば、外部の環境や社会的要因が人間の行動や性格に影響を与えるという考えを示しています。

人間は個人差や多様性を持ち、また成長や変化を遂げる生き物です。
したがって、人間の性質や本能は一義的に善悪に分けることが出来ません。
また環境や社会的要因によって単純に決定されるものではありません。

しかし、私たちが社会の中に活かされていることは確かなことです。
もしも、人間の堕落は避けられない運命なのだとしたら。

堕落の原因を個人の性格や本質に求めるのか、それとも環境や社会的要因に求めるのか。
いずれにせよ堕落が進めば、民主主義は機能不全に陥るでしょう。

機能不全は国を緩やかな死に追いやります。

だとすれば、今後、人間の心や行動をコントロールする技術が現れる可能性があります。
つまり、それは、堕落という概念を排除或いは抑制するシステムです。

しかし、そのような技術は倫理的な問題を引き起こし、また、人間の自由意志を奪う可能性も考えられるでしょう。

あなたなら、どうやって人間の堕落を防ぎますか?


※坂口安吾 とは ※ペスタロッチーについてより深く知りたい ※自由の限界についてより深く知りたい

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