次世代継承学

【第53話】サステナブルウォーが現実になる時。

「ソレスタルビーイングという設定は、世界の警察としての軍事大国アメリカが辿るかもしれなかった未来の1つとして見ることが出来るのではないか。たかが開拓地のアメリカがここまで躍進した背景は非常に興味深い。」
防衛大学校を卒業された方とお話をした際に、アメリカの経済発展について考えさせられる言葉を頂きました。

「アメリカの躍進は戦勝国利権によるものであり、すべては戦争を起点として経済が発展してきた。」
アメリカは、戦争を通じて経済的利益を追求してきたという意見があります。
軍需産業の影響力、資源の確保、地政学的な利点など、戦争がもたらす利益があればこそだと。

つまり、ハードパワーによる恩恵が今のアメリカを築き上げたということです。

「アメリカは戦争とは関係なく、開拓者精神や起業家精神という人民による革新と躍進があったからこそ経済発展を成し遂げてきた。」
アメリカの経済繁栄は、文化的な要因だという意見があります。
精神統一、法の支配、自由市場経済など、文化がもたらす利益があればこそだと。

つまり、ソフトパワーによる恩恵が今のアメリカを築き上げたということです。

アメリカの経済繁栄は戦争を起点とするものなのか、それとも文化の浸透が要因だったのか。
あなたはどう思いますか?

アメリカは世界有数の農業国、工業国、資源国であり、経済的な繁栄を享受しています。
しかし、その繁栄の背後には軍需産業や外交政策など、多くの要因が絡み合っている。
例えば、2019年時点でアメリカの軍需産業は約$2300億の売上を上げており、この数字はアメリカのGDPの約1.2%を占めています。

「アメリカの軍需産業は政府から多額の契約や補助金を受けており、戦争や軍事介入が増えれば増えるほどその需要や収益が高まる。」
世界最大の軍事支出国の軍需産業は世界中に武器や装備を輸出しており、その影響力と利権も世界一です。

その反面、アメリカはエネルギーや鉱物などの資源に依存しています。
だからこそ、安定的な供給を確保するために戦争や軍事介入を行って来たという側面もあります。

例えば、湾岸戦争やイラク戦争では、石油産出国にアプローチすることで、石油市場へのアクセスや価格コントロールを目指しました。
また、アフガニスタン戦争では、レアアースなどの鉱物資源に富む地域への進出や開発権獲得を目指しました。

そしてアメリカは、戦争や軍事介入を通じて自国の同盟国や友好国を増やす動きを怠りません。

例えば、第二次世界大戦や朝鮮戦争では、ヨーロッパやアジアにおける民主主義国家の支援や拡大を目指しました。
また、冷戦期には、共産主義国家に対抗するために、中南米や中東などの地域において親米的な政権の樹立や維持を目指しました。

今でこそ世界の警察を辞めると宣言されていますが、自国の利益に沿った政治的・経済的・軍事的な秩序を仕組み化することの価値。
その価値に気付いて仕込んで来たのがアメリカという国です。

しかしながら、戦争がもたらすコストやリスクも当然あります。

「戦争は人命や財産の損失だけでなく、社会的・政治的・環境的な混乱や破壊を引き起こす。そして国際社会との関係や信頼を損ない、反発や敵対を招く。」
例えば、ベトナム戦争では、アメリカは約5万8千人の兵士と約1兆7千億ドルの費用を失いました。
さらに言えば、目的だった共産主義の阻止や民主化の促進は達成することが出来ませんでした。

「アメリカと言えば、自由市場経済の代表的な国であり、政府の介入や規制を最小限に抑えて市場の競争や効率を重視している。」
アメリカは、徹底的に企業や個人に対して自由な選択や活動を可能にし、その結果として生産性や利益を高めています。
また、研究開発に多額の投資を行っており、優秀な人材や資源を世界中から集めています。

「人の世紀は人の手によって動くように、イノベーションの創出や新しい産業の勃興もまた人が作り出すものだ。」
人種の坩堝(るつぼ)と言われるアメリカの強さは集団の強さでもあります。
それを機能させるのが法治であり、法律に基づいた公正で透明な社会制度があればこそです。

アメリカの法制度は、憲法によって保障された基本的人権や自由を尊重し、市民や企業に対して平等で公平な扱いをします。
そして、契約の履行や財産権の保護など、市場原理を支える役割も果たしています。

つまり、文化を生み出し動かし束ねるための仕組みが整理されているということです。

ではここで一緒に考えて頂きたいことがあります。
増え続ける人口と減り続ける資源。
この地球規模の問題について、人類はどうしていくべきなのでしょうか。

あなたはどう思いますか?

「第二次世界大戦後のマーシャルプランは、戦争の破壊からヨーロッパ諸国の経済を復興させるためのアメリカの経済援助計画だった。」
この計画は、アメリカの経済的な利益だけでなく、共産主義の拡大を防ぐという政治的な目的も兼ねていたと言われています。
それは、つまり、善く言えば思想の統一です。

「時間の限り、人類は進歩するものだ。」
これまで、アメリカ及び世界の国々は繁栄のために前を向いて来ました。
しかし、もしも陰りが見えて、幕引きを考える時期が来てしまったのだとしたならば。

完全な誇大妄想ですが、そのためにもしも次世代のマーシャルプランが施行されたとしたならば。

例えば、各国は利益配分を終えて、人類は量的個人主義に統一されていき。
揺り籠から墓場まで、人生のライフステージとイベントがおおよそ決まっていて、各個人の差分は限りなく薄まっていき。
そして各国は利益配分を終えて、定期的な思想浄化の実施と利益逓減を防ごうとする世界。

お金のレートも変動せず、お金の概念も変わり始めていき。
何なら必要性が疑問視されてもおかしくない世界。

その時、戦争は人口調節と国家維持の手段に変わっていくのではないかと。
つまり、サステナブルウォー(持続可能戦争)という必要なイベントに変わっていくのではないかと。

「計画的な破壊と分断を正当化する手段、それがサステナブルウォーとなる。初稿はそんな未来を想像していたのかなぁ・・・」
神山健治『攻殻機動隊 SAC_2045』を見た時に、そんなことを考えさせられました。

ついつい私たちは、悲観的な未来を想像してしまいがちです。
でも、問題を見過ごせば予感は的中していきます。
悪い予想を覆すために何が出来るのかを考え続けていきたいと思わされました。

あなたは、増え続ける人口と減り続ける資源の調節をどうすべきだと考えますか?


※機動戦士ガンダム00 とは ※アメリカの戦争についてより深く知りたい ※攻殻機動隊 SAC_2045 とは

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コメント

  1. AYA

    簡単な話ではないと思いますが、資源が足りないなら作り出すことはできないんですかね…
    資源になりうるものが見つかればまた国同士の間でその権利を巡ってバチバチしますよね…それで戦争になれば元も子もないですね…

    教育をしっかりとして、優秀な研究者を増やして新たな技術で平和的に解決するのがいいなと思いましたが、実際言うほど簡単ではなさそうですね。
    今ある資源を大事に使いたいです。

    • 青木コーチ

      いつもコメントありがとうございます!

      「資源が足りないなら作り出すことはできないんですかね…」
      この言葉が印象に残りました。

      資源が足りないなら、無尽蔵に使えるエネルギー源を作り出す。
      そんな発想で太陽光発電など、クリーンエネルギーが注目を集めました。

      でも、考えてみればクリーンエネルギーの発電にもエネルギーが必要です。
      つまり、エネルギーを作るのにもエネルギーを使う必要があるということです。

      エネルギーを使わない生活。
      マッチで生きる原始的な生活に原点回帰すれば或いは・・・。

      全人類にとって共通の課題です。
      私たちに出来ることは、資源を垂れ流さない生活を意識することです。
      改めてそう考えさせられました。

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