次世代継承学

【第101話】記憶の保存 or 記憶の放棄

「死ぬことは怖くない。ただ気掛かりなのは残される側の人。人は残したがる。残すためには繋ぐしかない。しかし、繋がれた者は大変だろうなぁ。」

70歳を越えて今なお現役でご活躍されている方とお話をした際に、記憶について考えさせられました。

記憶のせいで感情が不安定になる人がいます。
例えば、超記憶症候群(ハイパーサイメシア)という病。
それは、見たもの全てを詳細に記憶して、忘れることが出来ない能力です。

だとすれば、忘れること自体が実は、人の精神を守る仕組みとも言えるでしょう。

私たちは、一旗揚げることや歴史に名を残すことを夢見がちです。
もっと上に、もっと高く、もっと強く、、、と。

そこで果たされなかった残留思念は、無意識の内に誰かに託されていく。
例えば、親の夢を背負う子どもは、記憶に縛られた存在と言えるのかもしれません。

それはつまり、関係性が築かれた瞬間から、存在は、誰かに眼差される存在になっていくということです。

あなたはどう思いますか?

■記憶は保持すべき

「歴史的な出来事や個人の経験は、社会の共通の記憶として、文化や伝統の継承に寄与する。」

意義
▶記憶は個人のアイデンティティと経験の連続性を保持する。
フランスの哲学者アンリ・ベルクソンによれば、記憶は過去と現在の結びつきを形成し、個人の存在を豊かにするという。

意図
▶安定と連続性を求める。
過去の経験から学び、それを未来に活かすことで、個人と社会の成長を促進する。

信条
▶「過去を知る者は未来を制御できる。」
過去の経験から学び、それを基に未来を形作る。

■記憶は忘れるべき

「過去の記憶に囚われることは、個人の成長と社会の進歩を妨げる可能性がある。」

意義
▶忘却は新たな可能性を生み出す。
オーストリアの哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインによれば、記憶の放棄は新しい経験への道を開くという。

意図
▶現在の自由と未来の可能性を最大化する。
過去に囚われず、現在の瞬間に集中することで、新しいアイデアや変化を促進する。

信条
▶「現在を生き、未来を創造する。」
過去に縛られることなく、現在の機会を最大限に活用し、未来を形作る。

あなたなら、どうしますか?

■理想と現実の間

理想は過去の記憶を尊重しつつ、現在の経験を最大限に活かし、未来に向けて進歩する社会を形成することかなと。

しかし現実では、過去に囚われ過ぎることや、未来への過度な期待により、現在の重要性が見落とされがちです。

■乖離を埋めるためにどうすべきか

  • 教育: 過去の歴史と現在の重要性を教育する。
  • メディアと文化: 過去の記憶と現在の経験を統合するストーリーテリング。
  • 技術の活用: デジタルアーカイブやソーシャルメディアを通じて記憶を保存し、共有する。
  • コミュニティ活動: 地域社会での伝統と革新の統合。

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コメント

  1. 星屑のかけら

    こんにちは。青木コーチのブログを心待ちにしていました。
    パワーアップして戻ってくると伺っていましたが、余白を埋め門戸を広げにきましたね。
    理解しやすくしつつ内容は深めつつ。流石でございます。

    さて、ブログを拝読する前には記憶は残しておくべきだと考えていましたが、読みながら改めて考えてみると私は、記憶は忘れるべきであるという考えに近いようです。

    というのも、記憶はなくとも正しい記録が残っていれば歴史に学ぶことはでき、鎖に縛られていない状態でアイデアを出し、その実現可能性を上げるために記録を頼ればよいのかなと感じました。

    私の働いている環境が、ベテランさんに囲まれる中だからこその考えかもしれませんが、自分に(圧倒的に)足りない経験=記憶は、ベテランに頼ればよいのです。

    そうしてノウハウを蓄積し、いつしか人を導く立場となったときに、記憶を保持する/忘れるべきだという両側面を伝えれればよいのかなと思います。

    • 青木コーチ

      コメントありがとうございます!

      「自分に(圧倒的に)足りない経験=記憶は、ベテランに頼ればよいのです。」
      この言葉が印象に残りました。

      誰もが初めから得意分野を持っているわけではありません。
      誰にも才能はあるけど初めから開花されているわけではありません。

      戸惑いながら少しずつ磨かれていくものです。
      しかし時間は待ってくれません。

      やってしまえば簡単なことですが、人を頼ることの一歩目のハードルはとてつもなく高いものです。

      「制限時間のない仕事は存在しない。」
      この事実と後に与える損害について、どう受け止めるかによって一歩目が踏み出せるかどうかが変わるのかなと。

      連帯感で動いていることが分かりやすい環境作りが大切なのかなと。
      改めて考えさせられました。

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