次世代継承学

【第40話】贈る▶受け取る▶返礼する

「選ぶ楽しさ、贈る幸せ、もらう歓び。ギフトには、物語がある。」
株式会社Francfrancのキャッチコピーから、贈り物について考えさせられました。

「高級な商品を贈ったら、相手が喜んでくれた。価格が高いからこそ、特別感がある。」
ギフトの価格やブランド、質が高いものを選ぶべきだという意見があります。
相手への気持ちの深さや感謝の度合いを示すことができるのだと。

「選んだアイテムはシンプルだけど、相手の好みやニーズを考えて選んだからこそ、喜ばれた。」
一方で、物の価値よりもその背景にある思いや感謝の気持ちが最も重要だという意見があります。
ギフトは気持ちを伝えるためのものなのだと。

ギフトを贈る際、目に見える価値と目に見えない価値のどちらが重要なのか。
あなたはどう思いますか?

近年、消費者の購買行動において「物の価値」よりも「経験の価値」が重視される傾向が強まっています。
例えば、日本の家計調査を見ると、物の購入に対する支出は減少傾向にある一方で、旅行やレジャーに対する支出は増加している。

この背景には、物質的な豊かさよりも経験や思い出を大切にする価値観の変化があるとされています。
つまり、物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを求める傾向があるということです。

では、猫も杓子も精神的な豊かさに向けたギフトを贈れば良いのかと言うとそうでもありません。

「公の贈与とは、物の価値で測られる。」
目上や目下、ビジネス関係など、公に贈り物をする場合、失礼の無いことが重要視されます。

例えば、会社で部下から上司へ誕生日プレゼントを贈る場合、安すぎるものや手作り品は失礼だと見なされます。
なぜかというと、尊敬と敬意が伝わらないからです。

一般的に、尊敬と敬意の基準は社会的な地位や名誉、ステータスによるものと考えられています。
つまり、目に見える価値が相応しさの基準になるということです。

しかし、物の価値を重視するギフトは、贈り物が形式的や義務的になりがちです。
相手に対して本当の気持ちが伝わらないこともあります。
また、価格が高すぎると相手に負担や圧迫感を与えることもあります。

例えば、友人から結婚祝いとして高級車を贈られた場合。
お返しに困ったり、友人との関係性に変化が生じたりするかもしれません。

「私の贈与とは、愛の深さで測られる。」
家族や友人、恋人などにギフトを贈る場合、心が伝わるかが重要視されます。

例えば、母の日に母親へプレゼントを贈る場合、高価なジュエリーやブランド品は必ずしも喜ばれません。
なぜかというと、物語が伝わらないからです。

一般的に、物語が伝わるかどうかの基準は、感謝や思い出が想像できるかどうかにあります。
つまり、目に見えない価値が相応しさの基準になるということです。

しかし、気持ちの価値を重視するギフトは、贈り物が自己満足的や無神経的になりがちです。
相手の好みや状況を考慮しないこともあります。
また、愛が深すぎると相手に恥ずかしさや困惑さを与えることもあります。

例えば、恋人から誕生日プレゼントとして自分の写真入りペンダントを贈られた場合。
他人から見られたくなかったり、恋人との関係性に疑問を感じたりするかもしれません。

贈る▶受け取る▶返礼する
贈り物とは、単純な交換ではありません。
ドイツの哲学者カール・マルクスは、そこに物神が宿っているのだと語られました。

つまり、霊が媒介されているのだと。

では、ここであなたにも一緒に考えて頂きたいことがあります。
「物質的に満たされつつある現代社会において、公の贈与はどうなっていくのでしょうか。」

あなたはどう考えますか?

「物を所有しなくても生きていける。必要ならば借りれば良いのだから。」
シェアリングエコノミーという考え方も社会に浸透してきました。
周囲と良好な関係性さえあれば、誰かと何かを分かち合うことで不自由さを解消出来る余地があります。

「お金を払うことで、人は何を得ているのか。それは経験値だ。」
着飾る、食べる、会話する。
人の所作はすべてビジネスに紐付けられています。

「すべての所作は、より善くなるためにある。」
今はまだ、一人ひとりの体験や経験はその人自身にしか分からない不確定要素として扱われています。
しかしこの先、個々の体験や経験の歴史に対して市場価値のような、基準値のようなものが設定できたらどうなっていくのか。

その時、ギフトの中身が変わるのかもしれません。
しかし、そのためには大量の情報と高度な物語化が必要になるでしょう。

つまり、それは、自分の欲求と所作、変化を自分が認識しないところで体系化される可能性があるということです。

あなたは将来、どのようなギフトが欲しいですか?


※フランフラン とは ※消費者心理についてより深く知りたい ※「持たない時代」のマーケティング

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似たような情報や視点に囲まれてしまう現代社会。
この先もネットの情報はますますあなたに
最適化されていきます。

でもそれで本当に良かったのだろうか?

成功事例の横展開が業界にイノベーションをもたらすように、
身近でない情報が実は突破の糸口になったりする。

共通点を繋ぎ、線と面で捉え直すこと。

それが我々の贈る言葉の特色であり、
情報から光を引き出す編纂技術だと考えています。

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