次世代継承学

【第123話】技術主導による健康寿命維持 vs 人間による健康寿命底上げ

「もしもこの先、フィットネスクラブの主要顧客がシニア層になっていく場合、この年齢層の健康維持と運動に対する意欲をどのように支援し続ければ良いのでしょうか?」

ジム経営をされている方とお話をした際に、健康寿命について考えさせられました。

「人間は年齢を重ねるごとに記憶力が落ちていくんだよ。」
私たちは漠然とそのように思い込んでいます。
しかし近年の研究の結果、実は脳機能上は75歳くらいまで記憶力はさほど衰えないことが分かって来ています。

つまり、脳細胞は年齢で減少していくわけではないということです。

「病は気から始まる。」
病気は気持ち次第で良くもなれば悪くもなるという意味で使われています。
1712年頃の人形浄瑠璃『夕霧阿波鳴渡』や、1864年頃の歌舞伎『小春隠沖津白波』序章などで「病は気から」が詠まれており、江戸時代には慣用句として成立していたという説があります。

まさにこれと似たようなお話で思い込みや先入観が人間の可能性を狭めてしまっているのかなと。

では何がそうさせているのでしょうか。
それは、「意欲の減衰」に他なりません。

「諦めきれるものならば最初から興味持たない。忘れられるものなら必要さも感じないから。」
dream『Get Over』の印象的な歌詞を思い出します。
興味や必要性というのは、諦めたくないもの気持ちと忘れたくない想いがあるという証拠です。

しかしそれがいつの間にか減衰していく。
非常に罪深いことだと思います。

リスキリング(学び直し)の必要性が語られていますが、それは本来、言われなくてもやり続けることが当たり前だったはずです。
でも今では、効果性を吟味しなければまともに興味も湧かず必要性も感じられなくなりました。
この状態をどうにかして克服しなければ、意欲の減衰という現象に歯止めを掛けることは難しそうです。

賭けているものが無いとき、勝負を制するのはセンスと集中力
しかし、賭けたものがある場合、それらの能力だけでは絶対に勝てない
いくら相手の手の内が読めても、その読みを自分で信じられ無ければ無意味
その読みに、自分の命運を預ける器量が無ければ無意味
つまり、己が能力を信じる心、魂が問われてくる

不安な心と勇気は常に背中合わせになっています。
私は、「まあいっか。」と思い始めた時から、人間の意欲は減衰に向かうのではないかと考えています。

つまり、自分で自分の衰えを実感した時に、自分と対話する必要があるということです。
そして深い対話を通じて、次の一歩を考えていくべきだと。
シニア世代には、そのような自覚を促す落ち着いた時間を提供することがまず必要なのかなと考えました。

■「テクノロジーが健康寿命を引き上げていく。」

  1. 意見1: AIやテクノロジーを活用することで、個々のフィットネスレベルや健康状態に合わせたカスタマイズされたトレーニングプランを提供できる。
  2. 意見2: テクノロジーの導入により、運動フォームの分析や健康管理がリアルタイムで可能になり、より効果的なトレーニングが実現できる。
  3. 意見3: デジタルツールとオンラインプラットフォームを通じて、場所を選ばずにアクセス可能なフィットネスサービスを提供できる。

■「人間同士の交流が健康寿命を引き上げていくはずだ。」

  1. 意見1: トレーナーやインストラクターとの直接的な対話やフィードバックを通じて、モチベーションの維持や適切なフォームの修正が可能。
  2. 意見2: グループレッスンやコミュニティ活動を通じて、社会的なつながりやサポートネットワークを構築し、運動を継続する動機付けに寄与。
  3. 意見3: 人間のトレーナーは、テクノロジーでは対応できない個々のニーズや心理的な側面にも対応できる。

テクノロジー主導のフィットネス

  • 目的: 個々の利用者に合わせたカスタマイズされたトレーニングと健康管理を提供する。
  • 建前: テクノロジーを通じて、より効率的でアクセスしやすいフィットネス体験を実現する。
  • 本音: テクノロジーの導入により、市場競争力を高め、顧客基盤を拡大したい。
  • 信条: 革新的なテクノロジーを活用することで、フィットネス業界の未来を形成する。

■人間中心のアプローチ

  • 目的: トレーナーとの直接的な関わりを通じて、個人のモチベーションを高め、健康目標を達成する。
  • 建前: 人間関係を基盤としたアプローチにより、よりパーソナライズされたサポートを提供する。
  • 本音: 顧客との深い関係を築き、長期的な顧客ロイヤルティを確保したい。
  • 信条: 人間の接触とコミュニケーションは、テクノロジーでは代替できない価値を持つ。

■理想と現実の間

技術の進化速度

  • 理想: 最新のテクノロジーを迅速に導入し、顧客に最高のサービスを提供することが可能。
  • 現実: 新しいテクノロジーの導入には時間とコストがかかり、特に小規模なフィットネスクラブでは導入が遅れがち。

教育と意識のギャップ

  • 理想: トレーナーや顧客がテクノロジーの利点を完全に理解し、積極的に活用する。
  • 現実: テクノロジーに対する知識の不足や抵抗感があり、その利用を最大化できていない場合が多い。

人間関係の重要性

  • 理想: テクノロジーが人間関係を補完し、トレーナーと顧客の関係を強化する。
  • 現実: テクノロジーの過度な依存が人間関係を希薄化させる恐れがある。

資源の制約

  • 理想: 必要なテクノロジーへの投資が可能で、すべてのフィットネスクラブが最新の設備を導入できる。
  • 現実: 資金や人材の制約により、テクノロジーの導入が限られる場合がある。

■乖離を埋めるための事例

株式会社limeのフィットネス系事業
事例: パーソナルトレーニングジム運営、パーソナルトレーナー育成スクール運営など、多角的なフィットネス事業を展開。
出典: Geekly

フィットネスジムのDX導入
事例: スポーツクラブやフィットネスジムにおけるDXの導入により、業務フローの改善や顧客との接点創出を実現。
出典: ShopOwner Support

EGYMのソリューション
事例: 世界で成功を収めているEGYMのフィットネスソリューションを日本での活用方法として紹介。
出典: Fitness Club Business

WellPlatのDXプロダクト
事例: デジタル導入による業務フロー改善と利便性の高いアプリ開発を通じて、フィットネスクラブの競争環境に対応。
出典: PR TIMES

hacomonoの会員管理・予約・決済システム
事例: フィットネスクラブ、ヨガスタジオなどに特化した月額店舗向けの会員管理・予約・決済システム。
出典: hacomono

■未来を担うべき主体

  • フィットネスクラブ経営者: テクノロジー導入の意思決定と投資を行う。
  • トレーナー: テクノロジーを活用したトレーニングの提供と顧客教育を担う。
  • 顧客: テクノロジーを積極的に利用し、フィードバックを提供する。
  • テクノロジー提供者: 効果的かつ利用しやすいフィットネス関連テクノロジーの開発と提供を行う。

フィットネス業界におけるテクノロジーの導入と人間中心のアプローチの理想と現実の乖離を埋めるためには、これらの主体が協力し、各々が責任を果たすことが重要だと考えます。

■乖離を埋めるための具体的な手段

継続的な技術革新と導入

  • テクノロジーの最新動向を追跡し、コスト効率の良い方法で迅速に導入する。

教育プログラムの強化

  • トレーナーと顧客向けのテクノロジー教育プログラムを実施し、意識と知識の向上を図る。

人間関係の重視

  • テクノロジーを活用しつつ、トレーナーと顧客の直接的な関係構築を促進する。

資源の効率的な配分

  • 限られた資源を最も効果的に利用するための戦略を策定し、実行する。

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