次世代継承学

【第59話】高価な兵器が人道的に人を殺めている

「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である。」
思想家の二宮尊徳は、道徳規範と経済成長の両立について、考えさせられる言葉を残しています。

「道徳があればこそ、経済は成長する。なぜなら集団で戦うのだから。」
経済よりも道徳を重視するべきだという意見があります。
経済成長は重要ですが、それが環境破壊や労働者の権利侵害を伴うならば、その成長は持続可能ではないと。

例えば、ファストファッション産業は安価な衣服を提供する一方で、環境汚染や劣悪な労働条件が問題視されています。

「経済が成長すれば人々の生活水準を向上させ、貧困を減少させて結果的に道徳は尊重される。」
一方で、道徳よりも経済を重視するべきだという意見があります。
経済の発展なしに道徳を語ることは現実離れしていると。

例えば、過去数十年のグローバル化は多くの発展途上国での貧困削減に貢献してきました。

道徳なき経済と経済なき道徳。
あなたはどちらの世界を支持しますか?

「グローバル経済は複雑性に包まれている。」
経済成長は多くの人々に利益をもたらす一方で、環境や社会に対するコストも発生しています。
国際労働機関(ILO)の統計によると、世界には約2億5000万人の児童労働者がおり、経済活動と道徳の間の緊張関係を示しています。

「30年で35倍成長した中国は、経済発展に環境問題が追い付いていない。」
中国は、急速な経済発展を遂げましたが、それと同時に大気汚染や水質汚染、土壌汚染などの深刻な環境問題に直面しています。
環境問題は、人々の健康や生活の質に悪影響を及ぼすだけでなく、経済活動や社会安定にも障害となっています。

「不法投棄しないこと。」
日本では当たり前のことかもしれませんが、環境問題が不道徳を呼び起こしているとも考えられます。

「インドの経済発展と労働者の権利問題には根深い問題が潜んでいる。」
インドは、世界で最も人口の多い国の一つであり、経済成長のペースも高い国の一つです。
しかし、インドの経済発展は、労働者の権利や福祉の向上には必ずしもつながっていません。

インドには、約4億人の非正規労働者が存在し、最低賃金や社会保障などの法的な保護を受けられない状況にあります。

また、児童労働や強制労働、差別や暴力などの人権侵害も広く存在しています。

それは道徳なき経済の象徴と言えるのかもしれません。

経済成長と道徳規範の両立。
競争社会に組み込まれた私たちにとって、これは難題です。

「経済活動は必ずしも道徳的な価値観や社会正義に反するものではない。」
しかしながら、経済活動には道徳を促進するものが含まれることもあります。

例えば、フェアトレードやマイクロファイナンスは、経済活動を通じて、貧困や不平等などの社会的な問題を解決することを目指しています。
また、環境税や排出量取引などは、経済活動を通じて、環境保護や気候変動対策などの道徳的な目的を達成することを目指しています。

これらの事例は、経済活動は道徳的な価値観や社会的な正義に反するものではないことを示した事例と言えるでしょう。

では、ここで一緒に考えて頂きたいことがあります。
「なぜ、私たちは利他的が正しいと分かっていながら利己に走るのでしょうか?」
あなたはどう思いますか?

「経済活動は必ずしも利己的な動機によって行われるものではない。」
例えば、社会的企業や非営利組織などは、経済的な利益だけでなく、社会的な貢献や変革を目指して経済活動を行っています。
また、消費者や投資家なども、自分の利益だけでなく、環境や人権などの道徳的な価値観に基づいて経済的な選択を行うことがあります。

例えば、企業による人道的な支援は短期的な利益を求めた、効率を求めた施策ではありません。
第三者も視野に入れた利他的な視座に基づいた判断と考えることが出来ます。

そう、短期的な利益を享受しようとした時に、利己的な判断基準が視界を覆うような気がしてならないのです。
我慢が出来ないとでも言うべきなのでしょうか。

「経済活動や道徳的な行為の困難性や矛盾性を認めるべきだ。」
経済活動や道徳的な行為は、総じて利益や幸福だけでなく、コストや苦痛も伴うものです。

つまり、トレードオフやジレンマなどの困難な選択が必要な場合があるということです。

「高価な兵器が人道的に人を殺めている。」
不都合や不平等は解消しなければならないものです。
しかし、すべてを解決するには時間が足りません。

「マイノリティの侵害は、いつも数世紀遅れてやってくる。」
人間が集団として前に進むためには、隠しておかないと成立しないことがあると分かっているからです。
だからこそ、矛盾に満ちた結果を社会は進んで表沙汰にしません。

経済活動や道徳的な行為を一方的に正当化しようとすること。
それは、つまり、困難や矛盾を無視するための手段とも考えられるということです。

利他的な行動をしないのではなく、利己的な行動をしないと生きられない時もある。
そんな苦悩に満ちた選択が背景にあるのかもしれない。
そんなことを考えさせられました。

あなたはどう思いますか?


※二宮尊徳 とは ※道徳と経済についてより深く知りたい ※日本人とインド人 世界市場「最後の成長エンジン」の真実

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