次世代継承学

【第23話】何を残すかで覚悟が問われる。

「未来を創ることと、過去を語り伝えることは同じなんだ。」
小島秀夫『メタルギアソリッド』には、今というこの瞬間をどう知覚していくべきかについて考えさせられるセリフがあります。

止めどなく流れていく瞬間に焦点を合わせること。
それは、人間が永遠に出来ない極値なのかもしれません。

「過去の出来事や文化を正確に理解し、それを現代や未来の世代に伝えることが重要だ。」
歴史家は過去の出来事や文化、社会の変遷を研究し、それらの事実や背景を解明することを目的としています。
なぜなら、過去の事実やデータに基づいて分析を行うことで、現代の問題や課題に対する洞察が得られるからです。

そして過去の出来事から価値観や文化を研究し、それを現代に継承しようとします。

「未来の可能性やシナリオを予測し、現代の決定を導くための情報を提供することが重要だ。」
一方で未来学者は未来の可能性や予測を研究し、将来の社会や技術の動向を探ることを目的としています。
なぜなら、トレンドとデータからシナリオを予測することで、リスクやチャンスの把握が出来るからです。

そして、未来の可能性やシナリオを予測し、現代の決定を導くための情報を提供します。

「解釈は常に人間の思惑が介在する。」
AIやロボティクスの発展により、未来の労働市場や社会構造に大きな変化が予測されています。
それは、安心と安定を求める人間に正体不明の不安を提供します。

「未来予想とは、動向を予測して対策と準備を整えることだ。」
そして、不安が募れば不満となり、やがて閉塞感に繋がる。
つまり、予測には、リスクとリターンの変動率を把握することが求められているということです。

しかし一方で、解釈多様性が謳われる世界では、納得感が無ければ集団の統治が進みません。
過去の事実やデータに基づいた情報だけでは、意志を揃えることが出来ません。

「歴史研究とは、動向を解釈して理解を助ける物語を創ることだ。」
それは、振り返ることで得られる情報には、納得感が必要だということです。
つまり、解釈には、常に物語化が求められているということです。

では、なぜ予測と解釈が必要なのでしょうか。

「自然と共生するべきだ。SDGsは必要だ。動植物を大切にしよう。」
これは、過去からも未来からも肯定されるべきことだと思われています。

しかし、将来的にこのような意見を持つ集団が現れたらどう思いますか?

森は空気を清浄化して、適切な酸素濃度を保ってくれている。
だから森林伐採は控えて、自然を保護しなければならない。
さもなければ、人類の生活居住区域が適切に保たれない。

…と言うのであれば、適切な酸素濃度を保つ空気清浄装置を設置する。
或いは素材を生成して製品加工まで実施する3Dプリンターを設置してはどうだろうか。
自然などという不確定要素を消せば人類の生活居住区域はより一層高まるのではないか?

あなたは、この意見に賛同出来ますか?

命の数だけ主張があるのは善いことでもあります。
しかしこれから先、一人ひとりに、世界を揺るがす裁量を与えるような技術が発表されようとしています。

それがどれだけの危険性を生み出していくのか。
資本主義の競争は、時に想定外の悪意を引き寄せます。

だから、予測と解釈は決して無くならない永遠のテーマだと考えます。
そして同時に、今というこの瞬間をどう知覚すべきかを考えさせてくれます。

「何を捨てるかで誇りが問われ、何を守るかで愛情が問われる。」
過去の事実やデータ、未来の予測やシナリオをどう扱うのか。
それらがどう在るべきかを問う術は未だに確立されていません。

「何を残すかで覚悟が問われる。」
そして私は、”残すべきものを見極める基準が必要だ”という結論に至りました。
それが、方向性を定めるからです。

だから、二元論を越えた先に次世代継承学という分野が必要なのだと信じています。

あなたは、過去に何を残して未来にどのような影響を与えていきたいですか?


※MGS ガンズ オブ ザ パトリオット とは ※未来予測についてより深く知りたい ※スティーブ・ジョブズ とは

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