「自治体の収入源は地域内外からの訪問者及び移住者に依存している。自然のままで良いと住民が悟りを開くと地域は衰退する。」
地域プロデューサーとして町興しに携わっている方とお話をした際に、地域創生について考えさせられました。
「日本の多くの地域では、人口減少や高齢化、経済衰退などの課題に直面している。」
これらの課題を克服し、地域の活力を取り戻すために、地方創生が必要だと言われています。
地方創生とは、地域の特性や強みを活かし、持続的かつ魅力的な地域・コミュニティを創出するための活動のことです。
では地方創生を考えることで重要なことは何か。
それは、シビックプライドの醸成だと考えています。
シビックプライドとは、「地域への誇りと愛着」を表す言葉です。
自分たちの住む街をより良いものに、そして誇れるものにしていこうという願いや想いのことです。
「この街は好きですか? 私はとってもとっても好きです。でも、何もかも変わらずにはいられないのです。楽しい事とか、嬉しい事とか、全部・・・、全部、変わらずにはいられないのです。それでも、この場所が好きでいられますか?」
Key『CLANNAD』は、街と命が交錯する物語ですが、それは、月日と共に忘れられていくシビックプライドを取り戻すことで人生が芽吹いていくような展開だなと思わされるものです。
自分自身が地域の構成員であると自覚し、さらに街を良い場所にしていこうとする意志の力。
どれだけ権威性や話題性や風土性を押し出した地方創生であっても、街の人々にそれが無ければ傀儡と同じです。
見栄えや体裁は金で繕うことが出来ますが、人の魂を金で宿すことは出来ません。
遡れば、日本では幕府や藩が、城下町や宿場町などの都市を計画的に整備し、地域の歴史や文化を反映したまちづくりを行ってきました。
江戸では、徳川家康が江戸城を中心に町割りを行い、武家屋敷や町人町、寺社や庭園などを配置し、水路や橋、道路などのインフラも整備しています。
また、京都では、豊臣秀吉が京都復興のために、街路や堀、門などを整備し、寺社や茶屋などの文化施設も建設しています。
これらの都市は、地域の歴史や文化を活かしたまちづくりの優れた事例として、現在でも多くの人々に親しまれていますが、その理由はどこにあるのでしょうか。
それこそがシビックプライドにあると思います。
「京都は建築制限よりも、プライドの制限を考えないと破綻するぞ。」
京都が借金地獄に陥っている中で、京都人からプライドを取ったら何も残らないと揶揄する声が増えています。
しかしそれは、見方を変えればシビックプライドが宿っている証です。
つまり、住民自身が主体者の一人であり、共同体の一員であることに無自覚である限り、どれだけ地方創生プロジェクトを進めても機能しないということです。
「自分に悪い影響が無ければどうでもいい。」
私は根本的に、中長期的にどのような影響が起き得るのかを想像する力が失われていることそのものが問題だと考えています。
中長期的な展望を想像する力があればこそ、街の未来に真剣に問い掛けるし、真剣な眼差しが愛着に変わる。
しかし、経済的な側面や打算的なモノの見方に包められている。
そのため、地域創生プロジェクトとは、そもそも中長期的に発生する影響について気付きを促すことから始める必要があると考えています。
ということで、今回は街作りについて一緒に考えていきたいと思います。
伝統的な街の資産を用いて地域創生を進めるべきか、それとも新たな価値を創出するべきか。
あなたならどちらの方向性で街作りを進めますか?
■「街の記憶を誰かに伝えたい。」
意見1: 地域の歴史や文化を活かしたまちづくりが、地域のアイデンティティを保持し、訪問者に独自の魅力を提供する。
意見2: 既存の地域資源や施設の再活用が、コスト削減と環境保護に貢献する。
意見3: 地域住民の参加と協力に基づくまちづくりが、コミュニティの結束を強化する。
■「街も人も進化を望んでいる。」
意見1: 新しい施設やサービスの提供が、地域外からの訪問者を増加させ、地域経済を活性化する。
意見2: 子育て支援や教育機能を備えた施設は、若い世代の定住促進に貢献する。
意見3: 先進的なまちづくりの取り組みが、他地域からの学びや模範となり、地域ブランドの向上につながる。
■伝統的なまちづくりの維持
- 目的: 地域の歴史と文化を守り、後世に伝える。
- 建前: 伝統は地域の魂であり、それを保護することが私たちの責務である。
- 本音: 変化に対する不安と、新しい取り組みによるリスクを避けたい。
- 信条: 「過去から学び、未来へ継承する」。
■新たな施設による活性化
- 目的: 地域経済を活性化し、新たな交流の場を創出する。
- 建前: 革新は地域を豊かにし、新しい可能性を開く。
- 本音: 短期的な経済効果と注目を集めたい。
- 信条: 「変化を恐れず、常に前進する」。
では、ここで一緒に考えて頂きたいことがあります。
「地域の特性を活かしつつ、新たな活力を生み出す持続可能なまちづくりは可能か?」
あなたはどう思いますか?
■乖離を埋めるためのきっかけ
■未来を担うべき主体
地方自治体: 政策の策定と資金の提供を通じて、まちづくりの方向性を決定する。
地域住民: まちづくりの主体として、そのニーズと期待がプロジェクトに反映されるべき。
事業者・投資家: 資金提供と事業運営を通じて、まちづくりの実現可能性を高める。
文化・教育機関: 地域の歴史や文化を伝え、教育プログラムを通じて意識を高める。
NPO/NGO: 地域社会の活性化と持続可能な開発目標に向けた活動を支援する。
あなたなら、どんな理想の状態を想像しますか?
■理想と現実の間
共存の可能性
- 理想: 伝統と革新は相互に補完し合い、地域の魅力を高める。
- 現実: 伝統と革新の間にはしばしば緊張関係が生じる。
- 対処法: 地域の歴史や文化を尊重しつつ、革新的なアイデアを取り入れる柔軟性を持つ。
地域住民の参加
- 理想: 地域住民がまちづくりのプロセスに積極的に参加し、意思決定に影響を与える。
- 現実: 参加意欲の低下や意見の対立が参加を妨げることがある。
- 対処法: 地域住民に開かれた議論の場を設け、多様な意見を尊重する。
持続可能な発展
- 理想: まちづくりの取り組みが持続可能な発展につながる。
- 現実: 経済的な利益と環境的・社会的な責任の間でバランスを取ることが難しい。
- 対処法: 環境保全、社会的包摂、経済的効果の三つの柱を考慮したプロジェクトの推進。
そしてあなたは、どうやって理想と現実の間を克服していきますか?
この記事へのコメントはありません。