次世代継承学

【第138話】幼稚園 vs 保育園

「子どもの成長に関する最適なアプローチを考える間もなく、経済的な理由や場所の制約によって幼児教育が決まっていく。でも本来は、この園に入れたいからという理由で住まいを決めるご家庭が増えても良いのではないかと思っています。」

ハウスメーカーに勤務されている方とお話をした際に、幼稚園と保育園について考えさせられました。

「保育園が福祉施設であるのに対し、幼稚園は教育施設とされており、この分類により両施設の目的と機能に明確な差が生まれている。」
日本は少子高齢化社会と言われるように、子どもの数が減っています。
その中で選ばれる園になるためにはどうすれば良いのかについて、多くの園長が悩み抜いています。

「安く長く預かってくれるところが良い。」
保育園落ちた日本死ね!という一連の事件が起きた時からもう少しで10年経とうとしています。
今では必ずしもそのようなニーズばかりではなくなって来ており、保育の質が高いことを条件に挙げる親御さんが増えています。

「柔軟に思考して自ら選択肢を増やして決断出来るようになってほしい。」
これまでのように、受験戦争や就活戦争のような画一的なルートを外さず歩ける安定感が求められる側面もあります。
しかしそれ以上に、起業や個人事業主が身近になった現代においては、集約すれば、どのような環境下でも生き抜ける力のようなものが求められています。

それは、つまり、幼稚園における教育カリキュラムに大きな差別化が求められる時代が来たということでもあります。
それが総じて保育の質と表現されています。

「保育の質とは何か、それはどのように測ることができるのか、どのように向上させることができるのか。」
保育の質とは、子どもの発達や幸福にとって重要な要素であり、保育者や保護者、行政などの関係者にとっても共通の目標とされています。
しかし、保育の質を正確に定義して客観的に評価することは簡単なことではありません。

なぜなら、子どもの個性や興味、保育園の特色や環境、保護者の要望や期待など、様々な要因によって変化する多面的な概念だからです。
それは、画一的で統合的な答えというのが存在しないとも言い換えることが出来るでしょう。

また、保育の質を向上しようと思えば、保育者の専門性や教育・研修、保育園の経営や組織、保育園の評価や改善など、様々な要員が複雑に絡み合うことを考慮する必要があります。

つまり、各ステークホルダーの取り組みは必ずしも一律に適用できるものではなく、場合によっては互いに矛盾することさえあるということです。
そして、どの取り組みが良い効果に繋がったのかという要因を特定することが非常に困難です。

しかし、言ってしまえばこれらはどこの業界にもあるアカデミックの弊害です。

私は、保育の質という言葉に囚われずに特色を徹底的に際立たせて良いと考えています。
このままジリ貧で手を打たずに萎んでいくのはもったいないです。

子どもの数が減っていく中でも際立つ園には人が集まります。

例えばサッカークラブと提携している園や英会話教室を実施する園、或いはプログラミングを教える園などは大きな特色を生み出すことに成功しています。
園が広告予算を避けないのであれば、不動産会社やハウスメーカーと連携して幼稚園/保育園の宣伝をしても良いのではないかと。

引っ越した後にたまたま近くにあったからという偶然に頼り続ける園はこの先苦しくなっていくのが想像できます。
それぞれの特色をどのようなアプローチ方法で訴求していくべきなのでしょうか。

ということで、今回はまず幼稚園と保育園に焦点を当てて考えていきたいと思います。

「早くから様々な経験に触れることが大切だ。」

  • 意見1: 幼稚園は教育施設であり、幼児期から教育的価値を重視すべきだという視点。
  • 意見2: 教育を通じて良い子が育つという考え方に基づき、附属中学校などでの成功事例を引用。
  • 意見3: 教育的アプローチは子供の社会的、知的能力の発展を促す。

「心を安定させるための環境が大切だと思う。」

  • 意見1: 保育園は福祉施設であり、子供の安全と健康を第一に考えるべきだという視点。
  • 意見2: 昼寝制度などの福祉的措置は子供の身体的健康を保つために必要。
  • 意見3: 福祉的アプローチは子供が心身ともに健全に成長するためのサポートを提供する。

■幼稚園

  • 目的: 子供たちの知的能力と社会的スキルの発展を最大化する。
  • 建前: すべての子供に質の高い教育を提供することで、将来の成功の基盤を築く。
  • 本音: 学校の評判と生徒の学業成績を重視し、教育成果を最優先する。
  • 信条: 教育は子供の人生における最も重要な投資であり、早期からの質の高い教育が必要。

保育園

  • 目的: 子供たちの心身の健康と幸福を保障し、安全な成長環境を提供する。
  • 建前: 子供たちは愛情とケアを受けることで、最もよく成長し、学ぶ。
  • 本音: 保育士や教育関係者の負担軽減と、子供たちへのストレスの少ない環境を優先する。
  • 信条: 子供の福祉は社会全体の責任であり、その基盤が健全であれば、教育の成果も自然とついてくる。

■乖離を埋めるためのきっかけ

■未来を担うべき主体

政策立案者: 教育と福祉のバランスを法律や政策で促進し、資源の配分を行う。

教育者: 子供たちに直接影響を与え、教育と福祉の統合を実践する役割を持つ。

保護者: 子供たちの最も身近な支援者として、家庭内での教育と福祉のバランスを取る。

地域社会: 子供たちが生活する環境を提供し、教育と福祉のサポートネットワークを形成する。

研究者: 教育と福祉の効果的な統合方法に関する研究を行い、科学的根拠に基づく改善策を提案する。

■理想と現実の間

教育重視のアプローチ

  • 理想: 教育を重視することで、子供たちは知識豊富で社会に貢献できる人材になる。
  • 現実: 教育の圧力が子供たちにストレスを与え、社会性や感情の発達に悪影響を及ぼす可能性がある。
  • 対処法: 学びと遊びの時間をバランスよく組み合わせ、子供たちの精神的な健康を守る。

福祉重視のアプローチ

  • 理想: 子供たちが安全で愛情ある環境で育つことで、幸福な社会人に成長する。
  • 現実: 福祉に重点を置き過ぎると、学習機会の不足により知的発展が遅れる恐れがある。
  • 対処法: 保育園や幼稚園での教育内容に、学習要素を積極的に取り入れる。

統合的アプローチ

  • 理想: 教育と福祉のバランスを取り、子供たちの全面的な発展を支援する。
  • 現実: 現実には、教育と福祉のバランスを取ることは困難であり、しばしば片方に偏る。
  • 対処法: 政策立案者、教育者、保護者、地域社会が連携し、子供の最善の利益を考慮したプログラムを開発する。

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