次世代継承学

【第41話】正直者が馬鹿を見る時代になったのか?

「やる気がある人は定時に帰らないよ。」
私が日本一営業をする会社にいた頃、朝の9時から19時までがコアタイムでした。
電話営業、社長のアポイントを獲得するためにテレアポをする日々。
その出社1日目に言われた言葉です。

「健康を守るためにも、定時で帰るのは当然。長時間労働は生産性を下げるだけ。」
個人の健康やプライベートの時間を尊重すべきだという意見があります。
労働時間内に業務を完了させるのは企業の責任なのだと。

「業務が終わっていないのに帰るのはプロとしての責任を放棄する行為。残業は避けたいが、必要な場合は避けられない。」
一方、職責として与えられた業務を完了させることが最優先だという意見があります。
そのためには残業も必要なのだと。

業務が残っている場合、残業せずに帰るのは当然の権利なのか。
それとも業務を完了させるべきなのか。
あなたはどう思いますか?

労働者は、自分の生活や健康を守るために、労働時間を制限し、残業代を受け取ることを望む。
その一方で、雇用者は自分の事業や利益を守るために、労働者にできるだけ多くの仕事をさせ、残業代を抑えることを望みます。

近年、ワークライフバランスの重要性が強調される中で、残業を避ける動きが強まっています。
しかし、業務の量や緊急性によっては残業が避けられない場面も存在します。

「会社は、自分のお金を稼ぐ場所だ。」
労働基準法では、1日8時間以内、週40時間以内という法定労働時間が定められています。
労働契約に基づいて仕事をすること、労働条件の変更に同意するかどうかを選択すること。
それは労働者の権利です。

しかし、労働者が自分の権利ばかりを主張し、自分の仕事に対する責任や義務を軽視したらどうなってしまうのか。
仕事の質や量が低下し、会社の利益や顧客の満足度が損なわれることに繋がるでしょう。

つまり、それは、1人の態度で会社全体の利益が損なわれる可能性があるということです。

「会社は、社会に貢献する共同体だ。」
残業してでも働く理由は、社会的な責任や義務、または職業倫理や使命感に基づいています。
私たちの仕事は、他人や社会に影響を与えています。
自分の仕事に対する誇りや情熱が社会への貢献度合いを高めていきます。

しかし、雇用者がその想いを受け止めきれず、労働者の権利や福祉を無視すればどうなってしまうのか。
いずれ労働者の心身の健康や生活の質が低下し、ストレスや疲労、不満や不幸が増加することにつながります。

つまり、それも、1人の態度で会社全体の利益が損なわれる可能性があるということです。

ではここで、あなたにも考えて頂きたいことがあります。
雇用者と労働者が多様性と個性を認め合う関係を築くためにはどうすれば良いのでしょうか。
あなたはどうすれば善いと考えますか?

20世紀から21世紀にかけて、情報革命によって知識労働が普及し、専門職やクリエイターなどが増えました。
そして労働者はスキルや能力や創造性などに応じて評価されるようになりました。

すると労働者は自分たちの個性を表現するために、フリーランスや副業などの多様な働き方を選択するようになりました。
個人事業主の増加、副業フリーランスの増加です。

しかしそれは、労働者の保障や福祉が低下し、不安と不満が噴出する事態を招きました。

「スキルや能力や創造性は実績に括られる。面接で真実しか言わなかった人間を見たことあるかね?実績も同じだよ。」
目の前の人は、試用期間を経ない限り、その実績通りの実力を持つか分からない、判断しようがない。

「人を育てるために利益を度外視した仕事なんて今の御時世に存在しない。余裕を持って育てられる人も見極められる人もいない。」
時代は、マネージャーをプレイングマネージャーに変えました。

だから、リスクを取らないことが最善手となる。

雇用者と労働者が多様性と個性を認め合う関係を築きたいけど、築けない。
個人事業主増加と副業フリーランスの時代が来る前に、私たちは基準を整理すべきだったのかもしれない。
そんなことを考えさせられました。

「正直者が馬鹿を見る時代を作るなよ。」
その言葉を思い出しました。

あなたの立場から見て、どうして行くべきだと考えますか?


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コメント

  1. RC

    私の働いていた前の会社は、個人を非常に重視してくれる会社でした。
    趣味に時間を割きたいため、労働時間の融通をきかせてくれたり業務内容を少し変更してくれたりと、たった一個人のためにシステムの変更を惜しまない会社です。

    そのため、私はその会社のために自分に時間があるときは業務時間外でも尽くしたいと思えましたし、残業なんて考え方をせずにやりたいことをやる気持ちで働くことができていたかと思います。

    ただ、私は運が良かった方で、みんながみんなその働き方をできるわけではありません。
    全員の要望を叶えようと思うと、きっと会社はうまく機能しないんだと思います。

    でも、どこかお互いが歩み寄る部分を作れたら「仕事をさせられている」という気持ち自体がなくなるのかな、と思います。

    私は仕事が好きです。結果が出るのはもちろんではありますが、人のために何かをしたいと心の底から思えるからです。

    その人のために、会社のために働きたい、という気持ちは一歩間違えればブラックな考え方なのかもしれませんが、
    自分が満足して働けていることは幸せだなと思います。

    何が正解かは難しいですが、少なくとも会社も一個人もお互いが良い環境で働こうと思える気持ちが一番大切かなと思いました。

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