次世代継承学

【第132話】メンバーシップ型雇用 vs ジョブ型雇用

「メンバーシップ型雇用が、社員に対して企業全体に適応する能力と忠誠心を求める一方で、ジョブ型雇用は、特定の職務に適したスキルと成果を重視する雇用形態です。労働者は会社をどのような存在として受け止めるべきなのだろうか?」

人事コンサル会社の方とお話をした際に、雇用形態について考えさせられました。

「会社とは、お金を稼ぐ手段になってしまったのだろうか?」
素朴な疑問ですが現代社会においてこの問いはとても重要なものだと思わざるを得ません。
私たちはもともと単一の存在でしたが、集団になることで出来ることの幅と深さが広がりました。

アメリカの社会学者であるロバート・M・マッキーバーによれば、社会集団の種類はコミュニティとアソシエーションに分類出来ると言います。

コミュニティとは、一定の地域(村、町、地方など)において人々に共通する諸特徴(風習、伝統、言葉遣いなど)により統合された包括的な共同生活の領域と称されています。
一方で、アソシエーションはコミュニティを基礎としてある共同の利害や諸関心を追求し、一定の目的を達成するために形成される社会生活の組織体と定義されています。

私たちは大小に関わらず、必ず何かしらの集団に属しています。
そして、その集団がアソシエーションだった場合、我々は何かしらの恩恵を享受しているから、その集団に身を置いています。
例えば会社ならば金銭、NPO団体だったら友情というように。

以前のように企業が終身雇用制度を設けていた時代。
当然、しがらみやパワハラなど明るみに出ていない闇は多々あることでしょう。
しかし一方で、家族のような一体感、或いはこの会社で全力を尽くすことに喜びを感じられるような状態だったのかなと想像できます。

「なぜ我々は全力で頑張れなくなってしまったのだろうか?」
ここでこのような疑問が浮かんできます。
会社のために自分の持てる力を精一杯全力で粉骨砕身出し続けること。

いつからそれが、=消耗だと認識され始めたのでしょうか。

会社で働く一日8時間は、何の益にもならないただの消耗なのだと。
そんな若手人材に対して我々はどのような態度と姿勢を示すべきなのでしょうか。

「ウチの会社は関係ないです。そもそもやる気のない奴は採用しないから問題ないです。」
もうこれが通用しないことは明白です。
覚悟と誠意を確認する圧迫面接をしようが、信頼出来る縁故採用しようが、何も変わりません。

なぜなら、人間の精神は入社前よりも入社後にいとも簡単に変わってしまうからです。
それは、つまり、人は環境に染まるものだということです。

「あなたはなぜ、この会社で働いているの?」
経営者及び人事担当者は、企業というアソシエーションが所属する人間たちにどのような恩恵を与えることが出来ているのかを言語化していく必要があります。
問い掛ければきっと、給与や労働時間やワークライフバランスなどという没個性的な回答に収まらないはずです。

そこにいる自分が、誇りに思えるような関係。
例えば私であれば、お互いにそのような状態で在りたいと思って様々な方たちと関わらせて頂いています。

長くなりましたが、本日のテーマは雇用形態です。
どのような関係性が望ましいのかについて、一緒に考えて行ければ幸いです。

「中長期的な目線で安定した環境を作るべきだ。」

  1. 意見1: 組織への帰属意識とチームワークの強化が最優先
  2. 意見2: 長期的な人材育成とキャリア形成のサポートをするべき
  3. 意見3: 安定した雇用環境による社会的安定性の保持が重要だ

「短期的に適材適所で活躍できる環境を作るべきだ。」

  1. 意見1: 効率的な人材活用と経済的効率性の向上が最優先
  2. 意見2: 多様なキャリアパスと働き方の選択肢を示すべきだ
  3. 意見3: 国際的な競争力の強化とグローバルスタンダードへの適応が重要だ

■メンバーシップ型雇用

  • 目的: 長期的な雇用を通じて、従業員と企業間の強い結びつきを築き、組織全体の安定と成長を図る。
  • 建前: 全ての従業員は組織の重要な一員であり、会社は従業員の成長と福祉をサポートする。
  • 本音: 経済的な変動や外部環境の変化に対して、リスクを分散し、安定した労働力を確保すること。
  • 信条: 長期的な雇用関係は、従業員の忠誠心と企業文化の維持に貢献する。

ジョブ型雇用

  • 目的: 職務に対する明確な要件と成果を基に、適切なスキルと能力を持つ人材を配置し、企業の柔軟性と競争力を高める。
  • 建前: 効率性と成果主義に基づいた公平な評価と報酬システムを提供し、個人の能力と成長を促進する。
  • 本音: 労働市場の変化に迅速に対応し、必要なスキルセットを持つ人材を確保すること。
  • 信条: 個人の成果と貢献は明確な評価基準によって測定され、適正に報酬を受けるべきである。

■乖離を埋めるためのきっかけ

■未来を担うべき主体

  1. 政府・政策立案者
    • 理由: 労働市場の規制と保護政策の策定、教育・訓練支援プログラムの提供
  2. 企業・雇用主
    • 理由: 働き方改革の推進、従業員のキャリア開発とメンタルヘルス支援の実施
  3. 教育機関
    • 理由: 労働市場のニーズに応じたスキル教育の提供、生涯学習の機会拡大
  4. 労働者・労働組合
    • 理由: 労働条件の交渉、労働者の権利保護と福祉の向上に関する活動

■理想と現実の間

労働市場の柔軟性

理想: 労働市場は個人のスキルとキャリアの多様性を受け入れ、柔軟に対応する。
現実: 既存の雇用形態や業界の慣習が変化に対する障壁となることがある。
対処法: 教育制度や職業訓練の強化を通じて、労働力のスキルアップと適応能力の向上を図る。

雇用安定性とキャリアの多様性

理想: 個人は安定した雇用の下で、キャリアの多様性を追求できる。
現実: 雇用の安定性とキャリアの多様性の間にトレードオフが存在する場合がある。
対処法: ライフステージや個人のニーズに応じた柔軟な雇用形態の提供。

グローバル競争と雇用形態の適応

理想: 日本の企業もグローバルな競争に対応するため、効率的な雇用形態へと適応する。
現実: 文化的、社会的な価値観の違いがグローバルスタンダードへの適応を難しくする。
対処法: 国際的な視点を取り入れた経営戦略の策定と、柔軟な人材管理の実践。

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