次世代継承学

【第136話】ライドシェアの規制緩和 vs 現行制度の維持

「技能実習生を利用した外国人ドライバーの低コスト化は、経営の面では良い施策に見えるけども、倫理的問題は付きまとう。クルド人問題を考えると個人的には乗りたくないと思ってしまいますね。」

国内のシンクタンクに勤めている方とお話をした際に、ライドシェアについて考えさせられました。

タクシーは公共交通としての役割や社会的責任を果たしており、無くてはならないインフラに数えられることもあります。
しかしその一方で、人材不足や高齢化、競争力の低下などの課題も抱えています。

また、言ってしまえばタクシーもビジネスです。
どうしても過疎化が進行している地域や一通りの少ない時間帯はタクシーの数も不足する傾向にあります。

そこで政府は、2024年4月からライドシェアを部分的に解禁することを決定しました。

ライドシェアとは、自動車や自転車を相乗りすることです。
車の空いた座席を活用し、他者とガソリン代などを負担し合うことで交通費が節約できるため、欧米では安価な交通手段として広く浸透していました。

また、ライドシェアには2つのパターンがあります。
1つは、出発地や目的地が同一の人々が相乗りしてドライバーが無償で運転するパターン。
もう一つは、ドライバーが有料で利用客を送迎するパターンです。

「白タクに乗ってはいけない、特に女性一人で乗ったら絶対にダメだぞ。」
白タクとは、国の許可なく白色ナンバーのまま個人が旅客輸送業を行う違法タクシーです。
通常のタクシーは国から営業許可を得て緑色のナンバーをつけているため、区別するために「白タク」と呼ばれるようになりました。

もちろん、ライドシェアは白タクと見分けが付くような工夫が施されるのですが、まだまだ馴染みの薄い我々にとっては白タクの怖いイメージが付きまとっています。
そう、本当に安全なのか最初はどうしても不安になってしまいます。

当然、タクシー業界も既得権益が損なわれるので激しく抵抗しています。
そのため、ライドシェアの規制緩和にはまだまだ利害関係者の合意形成や社会的受容性の確保が必要だと言われています。

規制緩和とは、国や自治体が行う法律や規則などの規制を緩和することです。
規制緩和には、市場の活性化や競争力の向上、消費者の選択肢の拡大などのメリットがあります。
しかしその一方で、公共性や公益性の低下、社会的不平等や不安定性の増大などのデメリットもあります。

よく政治を志す方は公共性を高めると仰りますが、やはり簡単なことではありません。
そのためには、規制緩和に伴うリスクやコストを適切に分配し、利害関係者の合意形成や社会的受容性の確保を行うことが必要ですから。

タクシー業界が人手不足ならば、自動運転にすれば良いという意見があります。
或いは、日本人ではなく外国人に運転してもらおうという意見もあります。
その一方では、ライドシェアのように一般人が参入すれば良いという意見があります。

「間違いなくライドシェア関係で殺人事件が起きる。」
幼稚園に相乗りで分担して乗せ合いをしていたら、その日担当していたママが事故を起こして子どもが亡くなったという事件もあります。
タクシーによる運転事故が避けられないように、ライドシェアによる事故も避けられないでしょう。

その時、民意と世論はどのような判定を下すのでしょうか。

生産労働人口が確実に減少の一途を辿る中で、私たちは大きな岐路に立たされています。
今回は、タクシー業界に関わるライドシェアについて考えていきたいと思います。

人手不足と買い物難民が解決されると思う。

  • 意見1: 新規事業者の参入による競争促進は、サービスの質向上とイノベーションを促す。
  • 意見2: ライドシェアは、タクシー不足や過疎地の公共交通問題の解決に貢献する。
  • 意見3: 技術の進歩による自動運転などの将来的な展望を考慮すると、柔軟な規制が必要。

技能実習生や仕組み化を通して業界を守れ!

  • 意見1: 新規参入の制限は、乗客の安全性を確保し、犯罪率の上昇を防ぐ。
  • 意見2: 技能実習生の利用は、人手不足が深刻なタクシー業界のコスト削減に貢献する。
  • 意見3: 現行の制度は、既存のタクシー業界を保護し、安定した運行を維持するために必要。

ライドシェアの規制緩和

  • 目的: 公共交通の利便性向上とサービスの多様化
  • 建前: 新規事業者の参入を通じた競争促進
  • 本音: 既存タクシー業界に対する挑戦と市場の再編
  • 信条: 技術革新による社会問題の解決

■現行制度の維持

  • 目的: 既存のタクシー業界の保護と安定化
  • 建前: 乗客の安全とサービス品質の確保
  • 本音: 新規参入の阻止と業界の既得権益の維持
  • 信条: 伝統的な業界構造の維持と外国人労働力の活用

■乖離を埋めるためのきっかけ

■未来を担うべき主体

政府: ライドシェア関連の規制と政策の策定者として中心的な役割を果たす。

既存のタクシー業界: ライドシェアの導入による直接的な影響を受ける主要な利害関係者。

新規事業者: ライドシェア市場への参入を目指し、イノベーションと競争を促進。

消費者・利用者: より多様で質の高いサービスを求める最終的なサービス受益者。

労働組合・労働者団体: ライドシェアドライバーを含む労働者の権利と待遇の改善を目指す。

■理想と現実の間

ライドシェアと既存の公共交通の統合

  • 理想: ライドシェアは公共交通の補完として機能し、アクセスが困難な地域の移動手段を提供する。
  • 現実: 規制と業界の抵抗により、ライドシェアと公共交通のシームレスな統合が困難。
  • 対処法: 公共交通とライドシェア間のパートナーシップを促進し、統合プラットフォームを開発。

労働市場への影響

  • 理想: ライドシェアは新たな雇用機会を創出し、労働市場に柔軟性をもたらす。
  • 現実: 技能実習生を含む外国人労働者の権利と待遇の問題が顕在化。
  • 対処法: 法律と規制の改正を通じて、ドライバーの権利保護と公正な労働条件を確立。

技術革新と社会受容性

  • 理想: ライドシェアと自動運転技術の組み合わせが、効率的かつ持続可能な移動手段を提供。
  • 現実: 技術革新への不安と個人情報の保護に関する懸念が社会受容性の障壁となる。
  • 対処法: プライバシー保護とセキュリティの強化、並びに公開討論と教育による理解促進。

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