「小売業界は、消費者が商品を購入する場所でブランドや商品の価値を効果的に伝える手段について、各社がしのぎを削っています。」
実店舗の販促担当をされている方とお話をした際に、について考えさせられました。
■「心理学と行動経済学で顧客の趣向をデータ化せよ。」
- 意見1: デジタル技術を活用した効果的な広告配信をすべき。
- 意見2: 消費者データの分析に基づくパーソナライズされたマーケティングが価値を生む。
- 意見3: 新しい収益源としての広告収入の増加が期待できる。
■「あくまで人間関係から欲求は対面で引き出すべき。」
- 意見1: 既存の顧客との信頼関係とブランドイメージの維持が大切だ。
- 意見2: 対面販売による個人的な顧客サービスが最も価値を生む。
- 意見3: 長期的な顧客関係の構築が収入増加に繋がっていく。
顧客の欲求をデジタルにパターン化していくべきか、それともハートを動かす人間ならではの価値提供をすべきか。
あなたはどう思いますか?
■リテールメディア戦略
- 目的: デジタル技術を活用して新しい収益源を確保し、市場での競争力を高める。
- 建前: 消費者に対してパーソナライズされた広告とショッピング体験を提供。
- 本音: データ分析に基づく効率的な広告配信で最大限の収益を追求。
- 信条: デジタルイノベーションを通じて小売業界をリードする。
■伝統的な小売戦略
- 目的: 安定した顧客基盤の維持と対面販売による個人的な顧客サービスの提供。
- 建前: 高品質な商品とサービスを通じて顧客の信頼を獲得。
- 本音: 既存のビジネスモデルを維持し、長期的な顧客関係を構築。
- 信条: 伝統的な小売の価値と顧客との直接的な関係を重視。
では、ここで一緒に考えて頂きたいことがあります。
「リテールメディアはこの先どうなっていくのでしょうか。」
あなたはどう思いますか?
■理想と現実の間
「どうすればLTV(顧客生涯価値)は伸びるのだろうか?」
経営者及び事業責任者であれば、基本的に利益を最大化することが求められています。
そのために、1つの正攻法として顧客と中長期的な関係性を築くというアイディアが出てきます。
言ってしまえば、リテールメディア戦略と伝統的な小売戦略は手法論の違いです。
リテールメディアは、ビッグデータから顧客の趣向や行動パターンを探り、顧客に寄り添う発想です。
従来型は、対面接客でハートフルなコミュニケーションを駆使して、顧客に寄り添う発想です。
DX化が盛んにトレンドで騒がれるように、今後もITテクノロジーによるリテールメディアは攻勢を強めるでしょう。
しかし私は、顧客の回遊や購入情報を見ていて、不思議であると同時にある意味で限界を感じたことがあります。
それは、「移り変わる人間をデータで捉えることは本当に出来るのだろうか?」というものです。
行動経済学の本を開けば、人間はバグだらけだという話がこれでもかというくらい出てきます。
人間は効率的で合理的に判断していると言われているけど実はそうでもないのではないかと。
「皆さんは西洋文明が人類の最先端で未開の部族は劣った文明だと思っているそうですが、実は高度な知的文化を築いていましたよ。」
フランスの哲学者レヴィ・ストロースは、人間は所属する構造(社会や文化)によって形作られるという、構造主義を唱えました。
「その場の感情でいとも簡単に心模様は変わっていくけれども、複数事例を相対化して捉えたら規則性が見えてきました。」
つまり行動経済学とは、構造主義で言えば、対象が未開の部族から市場経済に視点を変えたものと考えることが出来るでしょう。
私はリテールメディアとは、人間の決断した理由を解析して、場面や話法などの条件をセッティングすれば人間の決断をコントロールするものと解釈しています。
しかしそこで問題だと思うのが、「購入するという決断の再現性を高めるためにはやはり魔法の粉が必要なのではないか」というものです。
魔法の粉とは介在価値そのものであり、外部から判断基準に影響を行使する存在のことです。
それは、つまり、リテールメディア戦略と伝統的なコミュニケーション戦略は単体だと機能しないということです。
そして、今は黎明期に近い時代からもてはやされているだけで、いずれ人間のバグはデータで追えないという結論が出ると考えています。
パターンを揃えるために、「◯◯系女子や◯◯な人にありがちなこと」という特性を集約する情報発信が人気トピックですけど、バグは無軌道だからバグなんです。
人間と対話が出来るのは、やはり人間だけなのではないだろうか。
そんなことに薄々気付きつつも、人工知能やテクノロジーが見せる法則化にも活路を見出したい。
どうすればファンをコアファンに底上げしてLTVが上がる仕組みが生み出せるのだろうか。
関係性を編纂しようと進化を続けているところが、この業界の面白いところだなと感じています。
あなたなら、どんな理想の状態を想像しますか?
■乖離を埋めるための事例
- クリテオのリテールメディアネットワークガイド
- クリテオは、リテールメディアネットワークの概要とその活用方法を提供しています。出典: Criteo
- リテールメディア戦略による販売促進
- リテールメディア戦略を活用してeコマースの販売を促進する10の効果的な方法。出典: LinkedIn
- リテールメディアキャンペーンのベストプラクティス
- 効果的なリテールメディアキャンペーンを実施するためのベストプラクティス。出典: Medium
- バザーボイスのリテールメディアネットワーク
- リテールメディアネットワークの主要な利点と戦略。出典: Bazaarvoice
- リテールメディアの包括的な解説
- リテールメディアの概要、利点、戦略に関する包括的な情報。出典: Retail TouchPoints
■未来を担うべき主体
リテールメディア戦略は、企業の経営陣、マーケティングチーム、データアナリスト、およびIT専門家の力によって複合的な戦略に進化していく必要があります。
これらの主体が市場の動向を理解し、適切な戦略を策定して各業界で特有の成功体験を獲得していければと考えています。
■乖離を埋めるための具体的な手段
- データ分析の強化: データの透明性と分析能力の向上。
- 技術的な導入: 最新のデジタル技術とツールの導入。
- 市場適応性の向上: 市場の変動に迅速に対応するための柔軟な戦略。
そしてあなたは、どうやって理想と現実の間を克服していきますか?
こんにちは。今回のブログも楽しく拝読させていただきました。
私が住宅を主に扱う工務店に務めているからこそだと思いますが、リテールメディア戦略には限界があると感じています。
というのも、個々人の理想や欲を体現して当然であると思われている住宅を提供する企業からしてみれば、同一の顧客というものは一件も存在せず、たとえ同じ欲求をもち同一の志向性を備える顧客がいたとしても、全く同じ土地はこの世に存在しない為、土地ありきの建物(住宅)のため、同一のものを提供できないのです。
規格住宅が世に登場し、その低価格さから若者を中心に支持を集めていますが、一定以上の収入を得ている層からの支持は薄いようにも感じます。(根拠は全くありませんが。)
さて。なぜ一定以上の収入を得ている層と若者世代を比較すると、規格住宅の支持率に差が生まれるのでしょうね。
金額を絶対値で見れば、規格住宅が安価で、”住”の機能を提供するに耐えうるのに。
逆に、リテールメディア戦略は規格品の販売に適しているかと思います。
同一で同質(全く同じ)商品を作れるのであれば、ロット数が多いほど、顧客数/購入数が多いほど利益が上がるのですから。
いつもありがとうございます!!
「なぜ一定以上の収入を得ている層と若者世代を比較すると、規格住宅の支持率に差が生まれるのでしょうね。」
この言葉が印象に残りました。
ボードリヤールならば、オリジナリティを求めるからだと結論付けるでしょうね。
複製されたものが溢れかえる世の中になれば、独自性を求めることは高価な選択肢になると。
日本人は、購入自体の欲求に慣れてしまいました。
お出掛けすること、何かを買うことが新鮮だった高度成長期とはもう違います。
プリンを初めて見て感動した体験やパフェを食べることが夢だった時代はもう過ぎ去りました。
とはいえ、それだとボードリヤールの90年代から思考が抜け出せていません。
なので、あえてここで思うのは、アリストテレスは人間を社会的な生物だと言いましたが、それに匹敵する法則を唱えても良いのかなと。
それは、「人間は主体験的な生物なのだ」ということです。
例えば、車の運転が自動になることを本当に人間は望んでいるのでしょうか?
三菱自動車の結論はNOだったと聞いています。
主体的に関わるとはどういうことなのかについて、改めて考えさせられました。