問題提起
「明日、あなたのスマートフォンが、ただの文鎮になるかもしれない。」
この一文を耳にして、あなたはどれほどの現実味を感じるでしょうか?
その警告は、遠い砂漠の国の話ではありません。
想像してみてください。
朝、目覚めると、いつものニュースアプリは画面が真っ暗。
友人との連絡手段も、通勤経路を調べる地図アプリも、決済アプリも、すべてが機能を停止。
駅の電光掲示板は消え、ATMは使えず、スーパーのレジも静まり返っている世界を。
「そんなことが起こるはずない。」
多くの人はそう考えるに違いありません。
でも、もしも本当に起きてしまったらどうしますか。
私たちの生活は、デジタルという見えないインフラに、想像以上に深く依存しています。
この当たり前が、もし一瞬にして奪われたとしたら、私たちはどうなるのでしょうか。
「私たちは今、かつてない戦場の只中にいる。」
近年、ウクライナで起きた大規模なサイバー攻撃や情報戦は、もはや他人事ではありません。
それは、物理的な国境や距離を超えてインフラを破壊するだけに留まりません。
私たちの「認識」そのものを狙うものとされています。
その影響は、これから先の私たちの未来にどのような影響を与えるのでしょうか。
背景考察
「世界はまるで長い冬が明けたかのように。」
発端は、少し遡って、冷戦が終わった1990年代から始まります。
「アメリカという唯一の超大国が、自由と民主主義、そして市場経済という価値観を世界中に広めれば、もう大規模な戦争は起こらないだろう。」
ベルリンの壁が崩壊し、ソ連が解体された後。
後に「リベラル・ヘゲモニー」と呼ばれる考え方を多くの人が信じました。
そう、まるで、世界の大家族に賢明な「兄貴分」が現れ、皆が彼の流儀に従えば、きっと幸せになれると。
日本もこの流れに乗りました。
戦後の「平和憲法」と「日米同盟」という強力な“安全保障の傘”の下で、経済成長に邁進しました。
「私たちの食卓に並ぶ鮭はアラスカから、車の部品は中国から、スマホの希少金属はアフリカから。」
世界中から原材料を輸入し、高品質な製品を作り、それをまた世界中に輸出する。
地球の裏側まで広がる「サプライチェーン」という見えない血管が、私たちの暮らしを豊かにして来ました。
しかし、この「平和な時代」には、いくつかの「伏線」ともいえる爆弾が静かに張り巡らされていました。
一つは、かの中国の台頭です。
私たちは彼らを「世界の工場」として、ひたすら経済成長を促してきました。
「経済発展すれば、きっと民主化するはずだ」と楽観的に信じて。
まるで、小さな子どもが成長すれば、自然と大人の分別を身につけるだろう、と期待するかのように。
しかし、現実は違いました。
中国は経済力を背景に軍事力を急速に増強し、海軍は今やアメリカをも凌駕する規模にまで成長しました。
さらに、南シナ海に人工島を次々と作り、それを軍事拠点化するという、国際法では説明のつかない行動に出て、自国の領海だと主張する「九段線」を一方的に引きました。
中国の海軍艦艇数は2000年代初頭には約200隻程度でしたが、現在では370隻を超え、米国の300隻を上回っています。
これは、まさにかつての「大陸国家」が、今や「海洋国家」としての顔も持ち合わせた「両生類国家」へと変貌を遂げた瞬間でした。
そしてもう一つは、世界の「情報」の流れが、まるで血管のように私たちの体内を巡り始めたことです。
インターネットの普及、スマートフォンの登場、そしてSNSの爆発的な広がり。
私たちは瞬時に世界中の情報にアクセスできるようになりました。
しかし同時に、その「情報」が、必ずしも真実であるとは限らない、という新たな脆弱性をも生み出しました。
例えば、YouTubeの奥底に潜む陰謀論や、SNSで拡散される「フェイクニュース」。
これらは時に、現実の政治や経済に甚大な影響を与えることがあります。
まるで、人の心を蝕むウィルスのように、情報が瞬時に拡散し、社会を分断する力を持つように。
例えば2016年の米国大統領選挙では、SNS上での「情報操作」が結果に影響を与えたのではないか、という議論が巻き起こりました。
まるで、映画『マトリックス』の世界のように、私たちの「現実認識」そのものが、誰かの意図によって操作され得る可能性が示唆されたのです。
「映画『アベンジャーズ』の圧倒的な力を持つヒーローたちは世界の平和を守ろうと奮闘する。」
しかし、時にその「正義」が、かえって新たな敵を生み出す皮肉な結果を招くことがあります。
アメリカもまた、冷戦後、自らの「正義」を信じ、世界中に介入しました。
中東での「テロとの戦い」は泥沼化し、膨大な費用と犠牲を伴いました。
たらればではありますが、本来ならば「オフショア・バランシング」という、かつてイギリスが講じた賢明な戦略を思い出すべきだったのかもしれません。
それは、大陸の勢力均衡を保つために、自らは海を隔てた安全な場所から、時には大陸の国々を支援し、時には対立する国を牽制するという、まるで冷静な「盤面の監視者」としての役割です。
しかし、アメリカはそうはしなかった。
過度な介入は、皮肉にもロシアというかつての超大国を刺激し、孤立させた結果、ロシアはより中国に接近するという、地政学的には「愚の骨頂」とも言える結果を招いてしまいました。
まるで、悪役を追い詰めるあまり、別の隠れたボスキャラクターを覚醒させてしまったかのように。
そして日本は、まさにこの「愚の骨頂」の煽りを受けることになりました。
そう、私たちは、世界で唯一、前代未聞の事態。
核を保有する三つの大陸国家(中国、ロシア、そして北朝鮮)に囲まれることになったのです。
あなたは、日々のニュースを見て、それが遠い海の向こうの出来事だと感じていませんか?
或いは、政治家の言葉を、どこか他人事のように受け止めていませんでしたか?
その感覚こそが、最も巧妙な「罠」なのかもしれません。
「今、私たちが本当に狙われているのは何だと思いますか? 領土? 資源? 」
もちろんそれもありますが、もっと根本的なものが標的にされています。
それは、あなたの「認識」であり、そして「感情」です。
つまり、言い換えれば世論です。
世論形成がコントロールされるということは、政治が、政策が、経済が掌握されるということです。
この恐ろしき事態に対して、今の日本人は無自覚で盲目であると。
そんな危機感を募らせる事態が起きています。
結論
私たちは今、歴史の分かれ道に立っています。
スマートフォンが文鎮になる恐怖は、遠い未来のSFではありません。
それは、私たちが今、直面している現実です。
しかし、この現実は、私たちを絶望させるものではありません。
むしろ、それは私たちに、自らの「認識の自律」を取り戻すきっかけと考えられます。
あなたが、今日のニュースを見た時、誰かの言葉を聞いた時、あるいはSNSをスクロールする時。
ふと立ち止まり、問いかけてみてください。
「これは、誰が、何の意図で、私に届けようとしている情報なのだろうか‥?」
その小さな問いかけ一つ一つが、情報戦を戦い抜く術となるでしょう。
私たちは、もはや傍観者ではいられません。
プラットフォームに頼らない。
私たち一人ひとりが、バランサーとなる時代が来ている。
そんなことを考えさせられました。
用語解説
- リベラル・ヘゲモニー:冷戦後、米国が自由と民主主義の価値観を世界に広げようとした外交戦略。ジョン・ミアシャイマーがその失敗を批判した。
- 平和憲法:日本の憲法第9条。戦争放棄と戦力不保持を定めており、日本の戦後安全保障の基盤となった。
- 日米同盟:日本と米国が互いの安全保障のために協力する関係。日本の防衛の要石。
- サプライチェーン:製品が原材料から消費者に届くまでの、企業や国をまたぐ一連の生産・流通経路。
- 九段線:中国が南シナ海のほぼ全域にわたって「歴史的権利」を主張する境界線。国際法に反するとされる。
- 両生類国家:陸軍力と海軍力の双方に強みを持つ国家。中国がその典型とされ、伝統的な地政学的分類を超越する。
- オフショア・バランシング:海洋国家が、大陸の勢力均衡を保つため、直接介入を避け、周辺国を支援することで影響力を行使する戦略。
- 戦後体制:日本の平和憲法、日米同盟、専守防衛を軸とした、戦後の安全保障と社会の枠組み。
「見えない戦争」について
我々の一見平和に見える今の状態は世界情勢により綱渡りのようなものだと私は思う
どこかのバランスが崩れれば脆くも崩れ去る。スマホが文鎮になる可能性については以下の脅威をあげる
1.大規模なサイバー攻撃を被る
今でも大企業のサーバーや銀行のシステムがトラブルを起こしている。それらはサイバー攻撃が原因なのか?ハッキリとは報道されるとき、されないときがあるが、脅威なのは間違いない
また、日本も場合によっては仕掛ける側に回ることも時として必要になるかもしれない。受けることを防ぐ対策とともに仕掛ける対策も準備するべきだと考える
2.大規模自然災害によるインフラの破壊
具体的に言うと首都直下地震など。このエリアが壊滅すれば東北の震災の時のように他のエリアの力で助けられるのであろうか?人口減少により、居住エリアや行政機能の範囲の見直しが避けられなくなるのは間違いない。立ち消えになった首都機能移転や分散を準備する必要がある
3.世界情勢の混乱によるエネルギー安全保障の崩壊
これはつい先日、アメリカのイラン空爆により、現実味を帯びて私は身構えた
しかし、今のところやや沈静化しているが、火種は残っている。原油は血の一滴と大東亜戦争時に言われたがそれは今でも同じであると認識すべきである。原油を輸入できなければ電力が止まるからだ。電力が止まれば病院の設備も動かず、死者が多数出る。食糧生産も農機具が動かない。輸送も壊滅すれば人間の死につながる。幸い戦後、原油の供給が長期間途絶えたことはないが、これこそはすぐそこにある危機と認識すべきである。我々の生殺与奪は中東の安定と世界のパワーバランスに依存しているのである
最後に以前の本講座でも学習したが、サイレントインベージョンが進行している現在、政治そのものが他国に乗っ取られつつある。また日本人の思想やアイデンティティの破壊、自国主義の否定などの洗脳が行われていると感じている
こちらは数十年、数百年単位で仕掛けられる「見えない戦争」だと思う
この影響が徐々に効いてきており、人口減少も重なり、日本消滅の危機の足音が聞こえてきているのが私の認識である
このことに気づき、日本人が目覚めなければ日本人による、日本人のための日本国家はいずれ消えてなくなるだろう