次世代継承学

【第97話】私たちはすでに壊した自然を戻せなくなった。

「ダストは雲や降水の形成に影響し、気候変動を加速させている。異常気象が多くなったのは、ダストが原因じゃないかなと思っています。」
気象予報士として活躍されている方とお話をした際に、ダスト問題について考えさせられる言葉を頂きました。

「ダストが人間の健康や生態系に様々な悪影響を及ぼしている。」
ダストは悪影響を及ぼすため、発生源を特定してその影響を抑えるべきだという意見があります。
ダストは呼吸器系や循環器系の病気の原因となり、死亡率や医療費の増加につながっていると。

特に、粒径が小さいダストは肺の奥まで入り込みやすく、重篤な健康被害を引き起こすのだと。

「ダストは自然の営みの一部であり、その影響は必ずしも悪いとは限らない。」
一方、ダストは自然現象の一部であり、人間の活動に良い影響をもたらすという意見があります。
ダストは大気中のエアロゾルの一種であり、太陽光を散乱したり反射したりすることで、地球の温度を下げる役割を果たすと。

特に、ダストは硫黄や鉄などの微量元素を含み、これらの元素は太陽光を跳ね返す力に優れているのだと。

ダストは非常に複雑な物理的・化学的・生物的な過程によって生成され、大気中でさまざまな変化を起こします。
そのため、現在の人類の科学技術では、ダストの発生源を正確に特定することは困難と言われています。

また、ダストが気候や生態系に与える影響は、時間や空間のスケールによって異なります。
そのため、ダストの影響を一様に評価することはできません。

つまり、ダストの発生源や影響は未だ不確実性に包まれているということです。
次いで言えば、ダストの排出量を削減することが本当に効果的な対策なのか疑問視する余地も残しています。

「ダストは人間の呼吸器系や循環器系に損傷を与えたり、植物の光合成を阻害したり、気候変動を加速させる。」
ダスト由来で起きた環境災害はいくつも存在しています。

例えば、1930年代にアメリカで発生したダストボウル。
それは、過剰な農業開発によって土壌が乾燥し、強風によって大量の土砂が飛散した現象です。
その結果、農業生産の減少や人々の健康被害、大規模な移住などの社会的影響をもたらしました。

「これは、大量生産大量消費が生み出した砂だよ。」
中国の北京や上海を中心に発生しているPM2.5もダスト由来です。
それは、工業や自動車などの排出ガスに含まれる微小な粒子状物質です。

PM2.5の影響は未だに続いており、呼吸器や循環器の病気や死亡率の増加などの健康被害を引き起こしています。

また現在、インドの首都ニューデリーでは過去最悪レベルのスモッグが発生しています。
日本でも光化学スモッグが有名ですが、それらは、排出ガスや燃焼物質などの汚染物質が大気中にたまり、霧のように視界を遮る現象です。

ダストは植物の光合成を阻害し、作物の収量や品質を低下させます。
また、ダストは土壌の肥沃度や水分保持能力を低下させ、砂漠化や土壌侵食を促進させています。

「ダストは環境災害の基になるので、減らす取り組みをしよう。」
しかしながら、そう簡単ではありません。
ダストの排出量を削減するためには、石炭や石油などの化石燃料の使用を減らしたり、農業や工業などの土地利用を制限したりする必要があります。

しかし、これらの措置を取れば、人間のエネルギー需要や食料需要に対応することができない可能性が出てきます。
そうなれば、人間の生活水準や経済発展にも影響を与えるかもしれません。

このように、ダストの排出量を削減するべきだけど、人間の活動や経済を止めるリスクがあります。

「自然は人間にとっての手段であり、人間にとっての価値しか持たない。」
人間中心主義(アントロポセントリズム)という考え方があります。
それは、人間の利益や幸福を最優先する立場です。

この立場は、西洋の近代的な科学や技術、産業や経済の発展に影響を与えた思想です。
実際に人間は、自然を支配して自然を人間の目的に合わせて利用することが出来る力を持っています。
しかし、この立場は、自然の限界や脆弱性を無視し、自然を破壊することにつながるという批判を受けています。

「自然は人間にとっての目的であり、人間は自然に敬意を払うべきだ。」
一方、生命中心主義(バイオセントリズム)は、生命あるものすべてに価値や尊厳があるとする立場です。
それは、人間は自然の一部であり、自然と調和することを求める考え方です。

この立場は、環境保護や動物権などの運動に影響を与えた思想です。
しかし、生命あるものすべてに同じ価値があると考えるのは理想であって実践出来るのかは別問題だと。
そして、人間の利益や幸福を犠牲にすることが正当化されるのかという疑問を呈されています。

「自然を壊すのは簡単だけど、元に戻すのは大変だ。」
私たちは、自然に畏敬の念を抱いているようで驕り高ぶっています。
元の木阿弥が繰り返される歴史を1世紀単位で繰り返しているのが私たち人類の姿です。


※災害復興学事典 ※水と植物の地球環境―環境破壊による気象災害 ※近世都市の常態と非常態―人為的自然環境と災害

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