次世代継承学

【第17話】肉体は、心がなくては生きられない。

「医者は人のからだは治せても、歪んだこころまでは治せない。」
手塚治虫『ブラックジャック』において、治すとは何かについて考えさせられるセリフがあります。

身体の治療と心の治療は別物なのでしょうか。
あなたはどう考えますか?

医学の進歩により、多くの疾患や障害に対する治療法が開発されてきました。
しかし、身体の治療と心の治療は、根本的に異なるアプローチが必要であるとされています。

「身体の治療は、病理学的な原因を特定し、それに対する治療を行うことだ!」
それは、身体の異常や機能不全を直接的に修復・改善するものと言われています。
例えば、抗生物質は細菌感染症の治療に用いられ、外科手術は損傷した臓器の修復や除去に利用されています。

「心の治療とは、心理学的、社会学的な要因を考慮に入れ、患者の心の状態や背景を理解することだ。」
一方でそれは、患者の心の状態や思考パターンを探求し、改善を目指すものとされています。
例えば、認知行動療法は、患者の非効果的な思考や行動パターンを変更するために用いられています。

「医師と患者の間に不協和音が鳴り響いている。」
近年は、精神的な健康問題が増加しており、心の治療の重要性が高まっています。
しかしながら、伝統的な医学は、身体の疾患に重点を置いている。
例えば、うつ病に対する処方箋が飲み薬であるように。

つまり、心の治療に対して身体の治療で解決を試みるという現象が起きています。

そのため、心の問題に対する理解や治療法が不足しているとの声が大きくなりつつあります。
また、社会的なプレッシャーやストレスが増加する中、心の問題は複雑化しており、従来の治療では対応しきれないケースも増えました。

「心の状態が身体の健康に影響を与え、逆に身体の状態が心に影響を与える。」
ストレスが免疫機能の低下や心疾患を引き起こすと言われています。
つまり、心と身体の相互作用が思いの外、密接な関わりを持っていたということです。

それは、テクノロジーの進化と共に改めて私たちが考えるべきことかもしれません。

「肉体は、心がなくては生きられない」
ウォシャウスキー兄弟『マトリックス』という未来のメタバースを先取りしたと評される映画があります。
仮想世界で死ぬと、脳が死んだと判断して現実世界の肉体も死んでしまう。
これが映画で語られた世界観です。

それは、仮想世界で起きた異常は、現実にも反映されるということです。
言い換えれば、肉体と精神が不可分であるという立場を示しています。

つまり、もしも心と身体に相互密接な関係性が認められる場合、医師の在り方もより進化していくと考えられます。

「医者は心の問題に無関心だ。」
すでに現在、身体の治療に医師が必要だけど、心の専門家も必要ないかという意見があります。
一方で、身体の疾患も心の問題も同じ医者が治療すべきとの意見もあります。

すなわち未来の治療とは、医療機関と専門家が身体と心の健康の両方に焦点を当て、統合的なアプローチを採用されるでしょう。
そして、患者の生活習慣やストレスレベル、心の状態を詳細に評価し、それに基づいて個別化された治療プランを提供する方向になるでしょう。

また、社会全体でも、心の健康の重要性についての認識を高め、心の健康を支える環境を整備する必要があります。
それは、職場でのメンタルヘルスのサポートの強化や、教育機関での心の健康教育の充実が求められるということです。

身体と心の統合的な治療。
それを支える社会的な取り組みが進むこと。
これにより、人々のQOL(Quality of Life)の向上が保たれるということです。

しかしながら、ここである疑問が生まれてきます。
それらはあくまで、心と身体が不可分であるならばという前提です。

「身体と心は切り離せるものなのだろうか?」
私たち人間は、まだここに明確な答えを出せていません。

すなわち、もしも肉体と精神の切り分けに成功した場合、治療の概念はどう変わると思いますか?

ぜひ一度、考えてみて頂きたいです。


※ブラックジャック とは ※マトリックス とは ※仮想世界と心の在り方について深く知りたい

未来を予測する”きっかけ”を生み出すメルマガ

似たような情報や視点に囲まれてしまう現代社会。
この先もネットの情報はますますあなたに
最適化されていきます。

でもそれで本当に良かったのだろうか?

成功事例の横展開が業界にイノベーションをもたらすように、
身近でない情報が実は突破の糸口になったりする。

共通点を繋ぎ、線と面で捉え直すこと。

それが我々の贈る言葉の特色であり、
情報から光を引き出す編纂技術だと考えています。

考えるきっかけとなるイベント情報や新着記事を
メールでお届けいたします

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA