次世代継承学

【第143話】公共空間は誰のためにどう在るべきなのか?

「土地には値段が付いている。でも、空間そのものには値付けが出来ない。空気に値段が付けられていないように。公共とは本来どうあるべきなのかは未だに答えがない部分です。」

地域プロデューサーとして活躍されている方とお話をした際に、公共空間について考えさせられました。

「東京都府中市では、中心市街地の活性化を目指し、公共空間の利活用に関する実証実験を行っている。」
一般社団法人まちづくり府中が主導し、府中駅周辺の公共空間を市民や訪問者が気軽に利用できるような仕組み作りを進めています。
例えば、府中ストリートテラスの設置や、様々なイベントの開催が含まれており、地域の賑わい創出と交流拠点としての強化を目指している最中です。

「公共空間とは、人々が共有する場であり、その場における人々の関係や行動が、公共空間の意味や機能を形成する。」
有って無いようなもの。
平たく言えば、公共空間の価値とは、人々のニーズや価値観に応じて、変化するものと言えます。

「公共空間は、人の意志が集積して、痕跡を残して初めて場として認知される。」
何もない空間に痕跡が残れば価値になると。
では、その瞬間とはどのようなものなのでしょうか。

例えば、2014年9月に香港で民主化を求める大規模な市民運動が起きました。
それが雨傘運動です。

この運動では、公共空間が市民の抗議や表現の場として機能しました。
例えば、金鐘や銅鑼湾などの主要な道路や広場では、数十万人の市民が集まり、雨傘を持って警察の催涙弾や威嚇に抵抗しました。
また、中環や旺角などの公共壁や階段では、市民が自由や民主主義に関するメッセージや絵を貼り付ける「レノン・ウォール」が作られました。

これらの公共空間は、香港の市民の声とアートの象徴となっています。

別の事例で言えば、フランス革命は、公共空間の意義や利用に関する歴史的な転換点となりました。
革命前のフランスでは、公共空間は王権や貴族の権威を示す場であり、市民の利用は制限されていた。

しかし、革命によって王権が打倒され、市民が主権者となり、公共空間は市民の自由や平等、博愛を象徴する場となりました。

つまり、公共空間は、市民の政治参加や社会運動、文化交流などの舞台となり、都市の活性化や民主化に寄与したということです。
このように、公共空間は、社会や政治の変化に応じてその意味や機能が変化するという捉え方が出来ます。

ではここでさらに追求していくと、公共空間は誰のために機能するのが望ましいのでしょうか。
例えば、市民や訪問者などすべてに開いた公共空間が望ましいとする一方で、パーソナルスペースと言いますか、内に閉じた安らぎの場としての公共空間も存在し得るのではないかと。

付和雷同とも取れる地方の根強い関係性を否定して、フランクにスマートにシームレスに交流関係を作ることに違和感。
そう、私は、公共空間は誰にでも開いたものとして、交流の場とすることに対して疑問を持つようになっているのかもしれません。

なぜなら人流が増えて得をする人と損をする人で、圧倒的に得をする人が限られて来ているから。
もしかしたら、我々は緩やかな閉鎖と減速を求め始めているのかもしれないと。

都市では交流が不活性で生きづらいという意見がある一方で、地方では交流が活性して生きづらいという意見もあります。
交流してもしなくても、いずれにせよ血縁関係は狭まり孤独は深まっていく。
孤独大国日本において、我々は公共空間をどう使うべきなのでしょうか。

ということで、今回は公共空間がどう在るべきなのかについて一緒に考えていきたいと思います。

「開かれた公共空間であるべき。」

意見1: 新しい活用方法が地域の賑わいを創出し、経済活動を活性化させる。
意見2: 民間の創造性とイノベーションを取り入れることで、公共空間の価値を高める。
意見3: 市民や訪問者に新たな体験機会を提供し、地域への関心を深める。

「奥まった公共空間が望ましい。」

意見1: 公共空間は市民全体の利益のために保持されるべきであり、商業活動に利用されるべきではない。
意見2: 民間利用が進むと、公共空間の公平なアクセスが制限される可能性がある。
意見3: 伝統的な公共空間の利用方法が、地域の文化や歴史を保持する上で重要である。

公共空間の民間利用の推進

  • 目的: 公共空間を活用して新たな経済活動を促進し、地域の賑わいを創出する。
  • 建前: 民間の活力を公共空間に取り入れることで、地域全体の活性化を図る。
  • 本音: 短期的な収益向上と地域の注目度アップを狙う。
  • 信条: 革新と柔軟性を持って、時代の変化に対応する。

■伝統的な公共空間の利用保持

  • 目的: 公共空間を市民全体のために保持し、伝統的なコミュニティの場としての価値を維持する。
  • 建前: 公共空間は市民の憩いの場であり、その公共性を守るべきである。
  • 本音: 変化に対する抵抗感と、民間利用による公共空間の価値低下を懸念する。
  • 信条: 地域の伝統と歴史を尊重し、後世に継承する。

■乖離を埋めるためのきっかけ

■未来を担うべき主体

地方自治体: 公共空間の管理と利用方針の策定に責任がある。

民間企業: 新たなビジネスモデルと活動を通じて公共空間の活性化に貢献する。

市民団体: 公共空間の公共性を守り、地域コミュニティの声を代表する。

地域住民: 公共空間の主要な利用者として、その利用方法に直接的な関心を持つ。

専門家(都市計画、社会学など): 公共空間の効果的な利用と持続可能なまちづくりに関する専門知識を提供する。

■理想と現実の間

共存のモデルの開発

  • 理想: 民間の活力と公共性を両立させる共存のモデルが開発される。
  • 現実: 利害の衝突が共存のモデル開発を困難にする。
  • 対処法: ステークホルダー間の対話を促進し、共通の理解を築く。

地域コミュニティの強化

  • 理想: 公共空間の利用が地域コミュニティを強化する。
  • 現実: 公共空間の民間利用がコミュニティの分断を招く可能性がある。
  • 対処法: 地域コミュニティの参加と協働を基盤としたプロジェクトの推進。

持続可能な活性化策の確立

  • 理想: 持続可能な活性化策が確立され、長期的な地域の発展に寄与する。
  • 現実: 短期的な利益追求が持続可能性を損なう。
  • 対処法: 長期的な視点を持った計画立案と、多様な意見の収集。

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