次世代継承学

【第100話】未来の資産はどう在るべきか。

「アセット(資産)はアナログが基本ですが、それはこの先の未来はそうなのでしょうか。未来においてやはりビットコインやステーブルコインが主流になるのでしょうか。」
暗号通貨の開発に携わる方とお話をした際に、アセット(資産)の未来について考えさせられる言葉を頂きました。

「暗号資産は、中央集権的な金融システムに依存しない、自律的で民主的な経済を実現できる。」
ビットコインのような暗号資産が未来で主流のアセットになるという意見があります。
暗号資産の分散性、透明性、セキュリティの高さを強調し、これらが伝統的な金融システムに代わる新しい形態となると。

暗号資産は、グローバルな市場で、国境や通貨の違いを超えて、安全かつ迅速に取引できるのだと。

「実物資産のトークン化は、現実の資産に裏付けられた、安定した価値を持っている。」
一方、現実資産トークン化することが未来のアセットになるという意見があります。
不動産やアート作品などの実物資産をデジタル権利化することになると。

実物資産がトークンになることで、資産の所有権や収益権を明確にし、透明性や効率性を向上させるのだと。

暗号資産と実物資産のトークン。
そのどちらもブロックチェーン技術を利用したデジタルアセットです。

暗号資産とは、ブロックチェーンと呼ばれる分散型のデータベースに記録された、デジタルな資産のことです。
暗号資産の代表例として、ビットコインがあります。
ビットコインは、中央機関や政府による管理や発行がなく、インターネット上で自由にやり取りできる通貨として、世界中で注目されています。

一方、実物資産のトークン化とは、不動産や金などの現実の資産を、ブロックチェーン上にデジタル化したトークンとして表現することです。
トークンを一言で言うならば、それを保有しているという証明及び権利です。
実物資産のトークン化により、資産の流動性や分割性が高まり、より多くの人が資産にアクセスできるようになります。

「マイクロソフトやスターバックスなどの大手企業が、ビットコインを受け入れる決済プラットフォーム Bakkt を開発している。」
すでに、アメリカでは暗号資産を軸に動こうとする取り組みが活発です。

例えば、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を基盤とした、分散型金融(DeFi)や非代替性トークン(NFT)などの新しい市場が拡大中です。
それにより、メタやテスラなどの巨大企業が、自社の資金の一部をビットコインに投資、そしてビットコインでの決済を可能にしています。

しかし、暗号資産は良いことばかりではありません。

「アメリカの5~10年遅れて日本にも波が来るとすれば、コード決済から次は暗号資産決済が登場する日も近いのかもしれない。」
そう考える人もいますが、暗号資産はまだまだ技術的な知識やスキルが必要で、一般の人にとっては敷居が高い状態です。
スティーブ・ジョブズのように、技術の敷居を凌駕するイノベーションツールが登場するのはまだ先になりそうです。

そして、マウントゴックス事件を思い出すように、規制や監督が不十分によるエラーや、次世代の資産強盗者対策もまだ整備中です。

「金やダイヤモンドなどの貴金属や宝石をトークン化することで、保管や輸送のコストやリスクを削減できるとともに、流動性や透明性が向上する。」
街を歩くと、家と空き地がある。
家は尋ねれば誰のものか分かり、空き地は問い合わせると誰のものか分かります。

「確認するには手間が掛かり、そのアセットを誰かに渡せば税が掛かり、アセットを買うためには厳密な手続きを必要とする。」
確認、移譲、売買、それぞれに専門業者が存在しています。
なぜそこまで複雑で厳重にする必要があったのか。

それは、アセットと権利者を守るためです。

しかしながら、手元にあれば強奪が起きて、アセットを誰かに預けると銀行強盗が起きて、その管理を誰かに任せると詐欺が起きます。

だとするならば、私たちの資産は誰がどのように管理するべきなのか。
これを考えることは、将来においてとても意義があることだと考えています。

「金持ちはあいつだ。あいつの資産を狙え。みんなで協力してハッキング(強奪)しよう。」
トークン化することで流動性と透明性が上がれば、アセットを使った投資の機会は増えるでしょう。
しかし、その権利を保護するという意味では大きなリスクを抱えることになります。

「暗号資産は、現実の資産や権力から自由になることを目指し、資産のトークン化は、現実の資産や権力と調和することを目指している。」
そもそもブロックチェーン技術が発達したことでこの新たなアセットは登場してきました。

「私たちのアセットがどのように変容していくのだろうか。」
インターネットの初期におけるオンラインビジネスモデルの対立や、電気自動車と従来の燃料車の対立。
それらを鑑みると、やはり我々の志向性と市場の需要によって最終的な方向性が決定されて行くでしょう。

その由来を辿ると何に行き着くのか。

暗号資産の哲学は、啓蒙思想や自由主義の影響を受けていると考えられます。
啓蒙思想は、理性や科学によって、人間の無知や迷信を克服し、自由や平等や幸福を追求することを目指す思想です。
また、自由主義は、個人の自由や権利を尊重し、政府の権力を制限し、市場の自由を保障することを目指す思想です。

資産トークン化の哲学は、実証主義や社会契約論の影響を受けていると考えられます。
実証主義は、現実の事象や現象を観察や実験によって、客観的に分析し、法則や原理を導き出すことを目指す思想です。
また、社会契約論は、人間は自然状態から脱して、社会や国家という制度を作り、互いの利益や義務を調整することを目指す思想です。

「お金に換算できない価値は暗号資産にもトークンにもならない。」
私たちはアセットをどう定義していくべきなのでしょうか。
そして、これからどうやってそのアセットを増やし築き守るべきなのでしょうか。


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コメント

  1. 星屑のかけら

    こんにちは。毎日投稿100話目。おめでとうございます。
    1話たりともやっつけのブログがなく、毎回考えさせていただいています。
    恐らく、1度目の考察と、1年後に読んだ2度目の考察は異なるので、そういった楽しみ方もさせていただければな。なんて思っています。

    さて、一番大切な資産。
    思考力(マクロ/ミクロ双方に考える。記憶する。)と肉体的資本(特に頑張れる身体)が肝要なのかと思います。が、上記2点は資産というよりも資本な気がしますので別解を出します。
    やはり、信用。な気がします。人にとっても。モノにとっても。

    通貨が一番わかりやすいですね。
    信用がなければ通貨の一番の役割である価値の交換を成すことはできなくなりますし、そもそも通貨に価値が付けられないかもしれません。
    国の発行する通貨も、仮想通貨も、与信するのが国(組織)なのか民間(相互監視)なのかの違いが大きいです。

    また、資格試験なんかもわかりやすいですね。
    国家資格は国が信用を与えていますし、民間資格は企業が信用を与えています(MOSなんかは浸透しすぎて民間資格でないと思っていた時期もありました)。その資格を持っている人は、資格試験に合格するだけのチカラは持っていますよ。という信用にもなるわけですね。

    営業さんもわかりやすく信用を売っているのかもしれません。
    低額の商品は別として、高額商品を信用のおけない営業マンから買いたい人はいないと思います。

    同時に、信用は数値化できないものであり、相対評価しかできない感覚的なものかと思います。
    信用度が数値化されたとしても、その数値への信用がおけるのかは別問題ですしね。

    とある仮想通貨は半減期を迎え、価値また動きが出てきました。
    目先の額にとらわれず、その”モノ”へ信用がおけるかで意思決定しても面白そうです。

    • 青木コーチ

      コメントありがとうございます!
      おかげさまで100話です。
      また次の100話を目指して、どこかで再開させて頂きます。

      「低額の商品は別として、高額商品を信用のおけない営業マンから買いたい人はいないと思います。」
      この言葉が印象に残りました。

      経験を積めば積むほど、何を買うかよりも誰から買うかという基準に変わっていくように思います。
      商品のスペックはもちろん大切です。

      「やっぱりあっちのスマホを買えば良かった・・・!」
      スマホの買い替えでどれが一番最善かを見極めようとすることは、誰もが通る道です。
      でも、いつしか毎年アップデートされていく光景を目の当たりにして絶望します。

      そして優越感は一過性であることに気付きます。

      何を手に入れようとしているのか。
      これを真剣に考えて突き詰めていくと、買うことがゴールじゃないことに気付きます。

      スーパーな実績を持っていてもいなくても。
      その人と繋がりたいかどうか。

      見えないその価値にこそ人は惹かれるのだなと。
      そんなことを考えさせられました。

  2. 齋藤 良介

    私にとって1番大切な資産は、人へ何かを与える考えを保つこと。

    それをするために、一般的な生活水準を保つ社会活動をすること。

    そのベースとなる資金が次に大切。

    車は持たずとも移動できれば良い、満足しなくともお腹に溜まる食事をすれば良いと考えます。

    時間の短縮と身体への負担を軽減するための金融資産があれば、生きていくことはできる。

    会社・個人においても資産はなるべく最小化し、AIにはできない人間ができることをして生きていくことが大切だと考えます。

    また、活動するための資金は必要なので、自分の規模の経済を把握し、可能な範囲で人の役にたつ資産を維持しなくてはいけないと考えます。

    • 青木コーチ

      コメントありがとうございます!

      「私にとって1番大切な資産は、人へ何かを与える考えを保つこと。」
      この言葉が印象に残りました。

      「ボランティアは自分に余裕があって初めて出来る。」
      自分の足元を固めていない人がボランティア活動をすると碌なことがないと。
      そんなことが言われた時代もありました。

      「自分に余裕がある時は、誰もが誰かに優しくなれる。でも、余裕が無くなるとその人の本性が現れる。」
      長年ボランティア活動をされている方が口にされていました。
      状況に左右されず、常に一定の態度を保ち続けることは本当に難しいことです。

      理想かもしれませんが、想いだけでも意識だけでも、忘れずにいたいなと。
      そんなことを考えさせられました。

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