次世代継承学

【第73話】資源大国日本への布石

「日本はどのようにして近海の資源を活用すべきか。資源の禍福が大国の仮想敵国ならば割に合わない。ポジショニングをどうすべきか。」
第68話に引き続き、エネルギー資源の貿易に携わっている方とお話をした際に、日本の立ち位置について考えさせられる言葉を頂きました。

「経済効果2000兆円。その莫大な資源を独占して外交にされない自給自足の状態を作るべきだ。」
第七鉱区の資源開発は日本の経済復活の鍵であり、国際競争力を高めるためにも積極的な開発が必要だという意見があります。
日本のエネルギー自給率の向上や経済成長の促進を優先するべきだと。

「独占をすることで国際世論から反感を買うこと。それによって国内に起きる混乱とばら撒かれる火種が心配だ。」
一方で、国際関係の悪化と日本に起きるリスクを懸念すべきだという意見があります。
韓国との関係や東アジアの地政学的バランスに影響を与える可能性があると。

第七鉱区は、日本経済にとって重要な地域であり、九州の西側、東シナ海の中央に位置しています。
この地域には、天然ガスや原油などの天然資源が豊富に眠っているとされ、その埋蔵量は推定2000兆円にも上ると言われています。
しかし、この鉱区は日本と韓国の間で領有権の問題があります。

それは、1987年に結ばれた「日韓大陸棚共同開発協定」です。
これにより、2028年まで共同開発が行われることになっています。

「日本政府の重鎮たちは優秀だった。もしも日本が単独で資源開発をして、それが協定により折半されるくらいなら進める必要はないと考えた。」
逆に言えば2028年には日韓大陸棚共同開発協定の期限が切れます。
そう、韓国が資源開発にお金を突っ込めるほどの余裕が無いことを理由に、日本の単独資源開発は理屈に合わないと。

そのため、あえてこの開発を進めなかったというわけです。

しかしながら、問題はこれでは終わりませんでした。
中国が九段線という独自の理屈で、中国はこの地域を自国の排他的経済水域と主張して来ています。

「ICJ(国際司法裁判所)は過去判例で中間線論理を採用している。」
1985年に国際司法裁判所が「リビア・マルタ大陸棚事件」で、中間線を基準にした判決しています。
その意味では、中間線論理が適用されれば、第七鉱区における開発区域の大半が日韓中間線以南の日本側大陸棚に設定されます。

つまり、裁判に持ち込むことが出来れば、間違いなく中国と韓国は日本には勝てないということです。

しかし、厄介な問題があります。
それは、国際司法裁判所に3カ国が出廷しなければならないということです。
負け戦に望むような国ではありません。

「韓国と中国に逆らうと日本は大変なことになるという印象を何とか与えたい。」
だからこそ、尖閣諸島や竹島など、様々な排他的経済水域界隈で大きな揉め事を繰り返して威嚇行為と牽制をしています。

資源開発に関する対立は世界中で起きています。
南シナ海における複数国間の領有権争いや、北極圏における資源開発権の競争。
そこには、経済的利益と環境保護、地政学的な利害が複雑に絡み合っています。

しかし、日本と韓国と中国に関して言えば、ソフトパワーとハードパワーの側面の問題も抱えています。

「数字で困ったらとにかくKpopを出しておけば問題ない。」
ジャニーズで抜けた視聴率の穴は誰が埋めるのか。
それがKpopアイドルです。

韓国のKpopは今では音楽業界最大派閥のムーブメントになりました。
TV関係者も数字でジャニーズとお付き合いしていたように、それが韓国に流れていきました。

ソニーミュージック(日本)×JYP(韓国)の合同オーディション・プロジェクト。
Nizi Projectで1万人から選び抜かれたNiziUは若い世代に絶大な人気です。
私も好きなので邪推な心は持ちたくないのですが、やはりソフトパワーに悪用されてしまう懸念があると考えてしまいます。

「もし28年の資源開発争いが本格化した時、日本人は韓国にNoと言えるのだろうか。何だかんだでなし崩しになるのではないか?」
ソフトパワーというのは文化的な侵略です。
古くはBOAが日本で活動して大人気となり、現代では日韓交流の架け橋としてNiziUは韓国進出を果たしました。

韓国側はNiziUを実力で認めたのか、後の政治利用を見越して受け入れているのでしょうか。
その真意は分かりません。

「中国は日本の意向はお構いなしに経済文化面において一帯一路の基盤を着々と進めているのではないか?」
ハードパワーは軍事的な侵略です。
日本の土地、それも水源地を中心に買われているという周知の事実があります。
もちろん、過疎化している土地に資金が入ることは良い側面もあります。

しかし、不動産と里山が買われて、佐渡の留学受け入れ、国内大学の孔子学院開設、新潟領事館の設置。日本国籍取得の増加。
軍事面においては東シナ海、琉球列島周辺で不法に活発な行動、調査を行っている現実。

性善説でも無ければ、何かしら疑いたくなってしまうような話が転がっています。
そのうち、参政権を認めるような運動が始まったらいよいよです。

「仮に資源開発を韓国と日本が協同で進める話になったとしても、それでも中国はまだ奥の手がある。」
それは、中国が韓国を併合に持ち込むというプランです。
過去の歴史から見て、血が流れるそのプランをもし本当に実行したならば、韓国の得た資源は中国に流れるでしょう。

すべては考え過ぎかもしれないですし、メディアやネット記事にはならないただの誇大妄想に過ぎないのかもしれません。

「邪推かもしれないけれど、そんなこともあるかもしれないと考えてみること。」
想像力を豊かにするには、観点の幅を増やすことが必要です。
もしソフトパワーとハードパワーの侵略に耐えられなければ日本は資源貧困国となるでしょう。

「日本は資源貧困国と言われる現状から、一気に資源大国になるチャンスが巡って来ている。」
もしも第七鉱区、さらに小笠原諸島の南鳥島を守りきることが出来れば。
そして、石油と天然ガスを水素とアンモニアを用いたCCUS(炭素の別エネルギーに変換)技術を守ることが出来れば。

日本は世界を驚かせる資源大国になれる可能性があります。

しかしその場合、最悪の最悪は中国とロシアの仮想敵国が日本に代わり、アメリカは手の平を返して日本を助けない可能性があります。
現にアメリカはシェールガスとSMRを売りたいので、第七鉱区については無関心を貫いています。

国のトップが頻繁に変わる日本は世界的に見ても異様です。
私は、日本にはそれ相応の外交力を持つ人間を立て続けて無ければいけないと思っています。

「資源大国でありながら消費大国でもある。それはアメリカと同じ立場だ。サウジアラビアとの連携を強化して世界のゲームメイクに有利な立場を目指すべき。」
つまり私は、やはり世界の風紀委員として国際関係を編み直す役割を担うべきだと考えています。

そして、技術流出を避けることと国際法で不利にならない状態を作ることを目指すべきではないかと。
改めて、そんなことを考えさせられました。


※ジパングの海 資源大国ニッポンへの道 ※人口・資源・領土 – 近代日本の外交思想と国際政治学 ※田中角栄の資源戦争

未来を予測する”きっかけ”を生み出すメルマガ

似たような情報や視点に囲まれてしまう現代社会。
この先もネットの情報はますますあなたに
最適化されていきます。

でもそれで本当に良かったのだろうか?

成功事例の横展開が業界にイノベーションをもたらすように、
身近でない情報が実は突破の糸口になったりする。

共通点を繋ぎ、線と面で捉え直すこと。

それが我々の贈る言葉の特色であり、
情報から光を引き出す編纂技術だと考えています。

考えるきっかけとなるイベント情報や新着記事を
メールでお届けいたします

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA