次世代継承学

【第115話】音楽自然発生説 vs 音楽意図的創造説

「人間以外の動物には音楽がほとんど存在しません。人間はなぜ音楽的能力が高いのかは謎です。元々音楽は、猛獣や害虫、天災から身を守るための手段でしたが、後に祈りや祝祭、狩猟や儀式などに用途を変えたらしいです。」

音大に通う学生とお話をした際に、音楽の起源について考えさせられました。

■音楽の自然発生説

  1. 意見1: 人間の自然な発声能力から音楽が生まれたのではないか。
  2. 意見2: 生物学的・進化的観点から、音楽は人間の自然な進化の産物だ。
  3. 意見3: 音楽は言語の発展と並行して自然に進化した。

■音楽の意図的創造説

  1. 意見1: 特定の目的(例:儀式、コミュニケーション)のために創造された。
  2. 意見2: 文化的・社会的要因が音楽の発展を促進した。
  3. 意見3: 音楽は人間の創造性の表れであり、意図的な芸術的表現の一形態。

「音楽は言語を操る力と共に発見された。」

  1. 目的: 音楽を人間の自然な進化の産物として理解し、その起源を科学的に解明する。
  2. 建前: 音楽は人間の基本的な感情やコミュニケーションの手段として自然に発展した。
  3. 本音: 音楽の起源と進化に関する具体的な証拠や理論の確立にはまだ遠い。
  4. 信条: 音楽は人間の進化と深く関連しており、その研究は人間理解の拡大に寄与する。

「音楽は神と繋がるための手段として発明された。」

  1. 目的: 音楽を人間の意図的な創造物として捉え、その文化的・社会的役割を理解する。
  2. 建前: 音楽は特定の目的や機能を果たすために人間によって創造された。
  3. 本音: 音楽の多様性と複雑性は、単一の起源理論では説明が困難。
  4. 信条: 音楽は文化的・社会的な表現であり、その研究は文化理解の深化に寄与する。

■理想と現実の間

音楽とは何か。
それは、メロディー(旋律)、ハーモニー(和音)、リズム(律動)の3要素が合わさることで出来ていると言われています。

では、音楽とは発見されたのか、それとも発明されたのでしょうか。

「歌はいいね。歌は心を潤してくれる。リリン(人間)が生み出した文化の極みだよ。」
新世紀エヴァンゲリオンに登場する渚カヲルは、音楽を人間が発明したものと定義しているようです。
エヴァのOPにはセフィロトの樹が登場するように、同作にはカバラ思想が反映されています。
※カナダの作家マンリー・P・ホールの『カバラと薔薇十字団』から引用されている

カバラとはヘブライ語で「伝承」を意味し、ユダヤ教の神秘的な秘法を司る教えを持つ宗教結社と言われています。
カバラでは、魂は個体の記憶の集合体であり、唯一神は全ての生命に内在し、唯一神は永遠の魂(生命の樹)であると考えられています。
極端にシンプルに言えば、セフィロトの樹(生命の樹)から循環する力が宇宙を形成しているという思想です。

ちなみにその典籍はゾハルであり、カバラ思想はスクウェアの名作『ゼノギアス』の物語の根幹を担う思想でもあります。

つまり、人類は最高の智慧を持っており、音楽は儀式や秘術、或いは神とコミュニケーションを取るために発明されたということです。

「音楽は音を感情的な意味として強調し、言語は音を参照的な意味として強調する。」
一方で、スティーヴン・ブラウンは『音楽の起源』において、ミュージランゲージという言葉を提唱しています。
それは、言語と音楽能力は同時発生的に進化をしたことを示すための造語です。

まるで、スマホを買うとプリセットでメーカー指定アプリが初めから導入されているように。
言語には、予め音楽という機能が備わっているのだと。

つまり、原始音楽の3要素とはメロディ、リズム、フレーズ(言語)だったのではないかとも言われています。

テクノロジーの進化と共に、音楽を学ぶ時代が過ぎ去ろうとしています。
音色を学ぶのではなく、音色をどう扱うかが問われていく。

それは、世界で唯一音で感情を表現出来ると評された世界三大ギタリストのジェフ・ベックのような存在。
或いは、あらゆる楽器に精通していたとされる、紫の貴公子プリンスのような存在がもう二度と歴史に登場しないということです。

在るを作る時代から、在るを使う時代へ。
そんな変化の中で、音楽がこれから先どのような進化を遂げていくのかがこのテーマの魅力だと感じました。

■乖離を埋めるための事例

  1. 音楽と性選択: ダーウィンの理論に基づき、音楽が性選択の一環として発展した可能性。音楽はパートナーに愛を伝える手段だったとされる。 出典:jglobal.jst.go.jp
  2. 社会的結束の促進: 音楽が社会的結束を促進する手段として発展したという考え。音楽が集団内の絆を強化し、協力を促進する役割を果たした可能性があります。 出典:www.udiscovermusic.jp
  3. 音楽と言語の共通起源: 「ミュージランゲージ」仮説によると、音楽と言語は共通の起源を持ち、音楽は感情的な意味を、言語は参照的な意味を強調するとされます。 出典:navymule9.sakura.ne.jp
  4. 音楽と母子相互作用: 音楽が母子間の聴覚的相互作用から発展した可能性。人間の長い幼児期間と母子間の音楽的なやり取りが音楽の起源に影響を与えたと考えられます。 出典:u-sacred-heart.repo.nii.ac.jp
  5. 音楽と狩猟採集活動: 音楽が狩猟採集活動中の集団の同期と協力を促進するために発展した可能性。音楽は集団の動きを同期させ、効率的な協力を可能にしたとされます。 出典:eprints.lib.hokudai.ac.jp

■未来を担うべき主体

音楽の起源と進化の研究は、音楽学者、心理学者、文化人類学者、社会学者、および一般市民によって推進されるべきかなと。

■乖離を埋めるための具体的な手段

  1. 多角的な研究: 音楽の起源と進化に関する多角的な研究を通じて、理解を深める。
  2. 文化間の比較研究: 異なる文化間の音楽を比較研究し、音楽の多様性と普遍性を理解する。
  3. 音楽心理学の応用: 音楽心理学を応用して、音楽が人間の感情や行動に与える影響を研究する。

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