問題提起
「関税を制する者は、本当に経済を制するのだろうか?」
前編では、関税という枠組みがAIとデータ主導の経済構造において形骸化しつつある現状を提示させて頂きました。
2025年、米国は中国からの輸入品全般に対し60%以上の関税を課す可能性を示唆していると。
その一方で、中国は貿易黒字1兆ドルを達成し、世界経済の「製造の中心」としての地位を固めつつある。
では、関税戦争の勝者はどこにいるのでしょうか?
米国は本当に中国経済を締め上げることができるのか?
あるいは中国がこのゲームを制するのか?
それとも、全く異なるプレイヤーがこの戦争の「漁夫の利」を得るのか。
この問いの答えは、関税が生み出す「経済の歪み」にあるのかもしれません。
国家が産業を統制してもしなくても、テクノロジーはそれを上回る速度で変化するのですから。
関税戦争が続く中、新たな勝者が生まれつつある。
それは、国家ではなく、AIとデータを操る経済圏です。
そしてこの現象は未来の私たちにどのような影響を与えていくのでしょうか。
背景考察
「関税が生み出す「裏市場」は、今後見過ごせないレベルに到達する。」
関税は単なる貿易の障壁ではありません。
言ってしまえばそれは、新たな市場を創出する装置です。
歴史を振り返ると、関税戦争のたびに新たな「抜け道」が生まれています。
例えば、19世紀の英国がインド産繊維を抑制するために関税を導入した際、密貿易と違法生産が爆発的に増えました。
そして、20世紀の米国禁酒法時代にはアルコール市場が地下経済を形成し、最終的には「違法経済」が正規市場を凌駕しました。
そう、アル・カポネのようなギャングやマフィアが謳歌した時代というのは関税の抜け道から生まれたとも言えるでしょう。
それと同じことが、関税戦争の最前線でも起きています。
「中国の国家戦略は、関税の回避とサプライチェーンの再構築にある。」
中国は米国の関税を受けてもなお、グローバル経済を支配し続けています。
その理由は、「生産移転」と「経済圏の分断」という二つの戦略にあると考えられるでしょう。
- 生産移転
・中国企業は関税を回避するため、ベトナム、インド、メキシコなどに工場を設置。
・例えば、iPhoneの組み立ては中国からインドへ移行しつつある。
・だが実態は、中国の資本がインドの製造業を間接的に支配している。 - 経済圏の分断
o 米国の輸入関税によって、中国は「新興国市場」へシフト。
o 一帯一路構想を活用し、アフリカ・中東・東南アジアとの貿易を強化。
o 「西側の市場に依存しない経済構造」を構築中。
その結果として、関税戦争は「米中のデカップリング(経済分断)」を加速させ、世界経済が二つの勢力に分かれるリスクが高まっています。
しかし、ここで新たな第三のプレイヤーが登場しようとしています。
それが、「デジタル経済圏」を率いる大手ビッグテック企業たちです。
- AI製造ネットワークの発展
・AIによる自律型生産工場が拡大し、従来の「サプライチェーン依存型経済」が崩壊。
・「関税を課すべき物理的な生産拠点」が次第に不要になっていく。 - デジタル通貨と新たな貿易ルート
・国家の経済支配を回避するため、企業は仮想通貨を用いた国際取引を加速。
・「関税を逃れる金融経済圏」が形成されつつある。
つまり、国家の関税政策は徐々に「旧時代の戦術」へと追いやられ、AIとデジタル技術が新たな経済秩序を築きつつあるということです。
ではテクノロジーが関税を形骸化させる中、次に何が起こるのでしょうか。
それは、「実体のないデジタル製造市場」(造語)の出現です。
例えば、もしもAIと3Dプリンターによって、物理的なモノが「データ」として流通し、世界中で瞬時に生産できる未来が来たらどうなるのか。
そして企業が「国境を越えたデジタル工場」を設立し、消費者が直接アクセスできるようになればどうなるのか。
・国家は関税で経済をコントロールしようとするが、企業はデジタル技術でそれを回避する。
・すでに製造業はAI主導の「分散型生産ネットワーク」へ移行しつつある。
・すると国家が課す関税は、もはや「テクノロジーの進化」に対して無力となる。
「関税戦争の勝者は、国家では無かった。」
言ってしまえば、勝者となるのは「関税という概念を超越したプレイヤー」です。
つまり、「AIとデジタル経済を掌握する者こそが、未来の経済を支配する」のでしょう。
すでに現在、中国・米国・EUが関税戦争を繰り広げる一方で、テクノロジー企業は「新しい経済システム」を構築しつつあります。
つまり、この対立は、いずれ「国家 vs 企業」の戦争へと変貌するということです。
「では、関税が意味を持たなくなった世界で、国家はどのような立場に立たされるのか?」
もはや経済を管理する手段を失った国家は、税収と福祉でジレンマに陥るため、いずれその存在意義を問われることになります。
つまり、「国家の役割とは何か?」という、より根源的な問いに帰結する可能性があります。
では最後に。
2つの未来シナリオを提示してみます。
- 「国家と企業の覇権争い」▶ テクノロジー企業 vs. 国家
国家が自らの経済主権を維持しようとする一方で、AIとデジタル経済を支配する企業は、もはや国家を必要としない。
これは、いわば「企業国家」と「伝統国家」の対立となる。例えば‥
・AmazonやGoogleが独自の経済圏を形成し、国家の影響力を排除する
・AIが経済を管理する「企業主導のデジタル国家」が誕生する
・国家よりも企業が強い影響力を持ち、国民ではなく「ユーザー」を支配する経済モデルが成立するこうした対立が加速すれば、従来の国家の枠組みは徐々に崩壊し、最終的には「テクノロジー企業が経済の支配者になる」未来が訪れる。
- 「国家によるテクノロジー統制」▶ デジタル監視国家の出現
1.のシナリオに対抗するために、国家はテクノロジーの管理を強化する可能性がある。
具体的には‥
- データの国家管理
・国家単位の「特化型LLM」で法人企業の管理を担い、貿易の自由化を制限。
・もちろん国家主導で運用し、企業活動を監視することで財務省がまたもや力を握る。 - デジタル関税の導入
・モノではなく、「データ」に関税を課すことで、AI製造ネットワークを管理。
・例えば、3Dプリンター用のデザインデータに関税を適用し、製造の自由を制限。 - デジタル通貨の国家支配
・仮想通貨を禁止し、「中央銀行発行のデジタル通貨(デジタル円)」を強制的に導入。
・すべての取引が国家の監視下に置かれ、自由市場を制限。
このシナリオでは、テクノロジーの発展によって、国家の監視能力が飛躍的に向上するでしょう。
結果として、国家は「産業の制御」ではなく、「経済活動の監視」を通じて権力を維持しようとするのではないかと。
しかし、ここで問題となるのが「個人の自由」との衝突です。
デジタル経済が進化するほど、人々は自由な経済活動を求め、国家の管理から逃れようとします。
かつて、産業の成長を管理し、経済をコントロールすることが国家の役割でした。
しかし、テクノロジーの進化によって、その役割は揺らぎつつあります。
今後、関税戦争は「国家 vs 国家」の戦いではなく、「国家 vs テクノロジー」という新たな対立へと変貌するかもしれません。
この変化に対して、我々はどのように向き合うべきなのでしょうか。
それは、国家の外に広がる「新たな経済圏」の中で、個人として、「どこに所属するのか?」を考えることから始まるのかもしれません。
そんなことを考えさせられました。
結論
データを輸出し、製造業がどこでもできるようになった世界
そこで起きるのは様々なデータを制した企業と国との争い
または国家に完全に個人が掌握される世界どちらかの予想が記事では書かれていたが、どちらが実現されるのか?
西側諸国=企業と国の争い
中国=国家が個人を管理になりそう
ここで思い出されるのは現状の「スマホ経済圏」と言われる状態
楽天が大赤字でもモバイル事業を手放さないのは今の楽天経済圏をさらに発展させ、AIと連携させることが近い未来に競争に勝つことと予想しているからなのでは?確固たる経済圏を築いていれば、どこかと合従連衡することもできるだろうし
このように既存の経済圏の拡張も国家を超えた存在になる可能性もあるし、仮想通貨が普通に流通すれば、個人がウォレットを持ち、SNSと暗号資産が
結びつけば個人の間のビジネスが発達し、「個の時代」になり、国家はますます希薄になるかもしれない。その時には会社組織はどうなっているのだろうか?会ったこともない人どうしでデータの交換だけでビジネスが誕生し、運営できる新しい会社が出現しているかもしれない
どこの経済圏に所属するか?どこのプラットフォームに所属するか?が国のような役割をするのではないか?
暗号資産が既存の通貨体制にとって変わるのか?
その時は通貨発行券を持つ国家や中央銀行、そして金融機関はどうなるのか?
本当にそんな未来は訪れるのか?
AIの登場で何が起こってもおかしくはない時代ではあるので、いろいろな可能性を考えることは有用であると思う